社内コンプライアンスを高める方法とは?対策や違反事例も解説
企業の事業活動において、社内コンプライアンスを高めることは大変重要な位置づけです。
しかし、コンプライアンスの重要性の認識が不足していると、適切な対策がとれず、社会から信用を失いかねません。
今回は、社会コンプライアンスの意識を高める方法や対策、違反事例、併せてコンプライアンスチェック・反社チェックも具体的に解説します。
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目次[非表示]
- 1.社内コンプライアンスとは何か?
- 1.1.社内コンプライアンスを重要視する背景
- 1.2.社内コンプライアンスにおいて守るべき法律・ルールとは
- 1.2.1.社内規則や行動規範を遵守する
- 1.2.2.労働問題の解決やハラスメント対策を徹底する
- 1.2.3.個人情報の漏洩を防止する
- 1.2.4.企業活動の透明性に努める
- 2.社内コンプライアンスの違反事例とは
- 2.1.社内コンプライアンス違反の具体的な事例と事後対策
- 2.1.1.企業ぐるみの性能偽装
- 2.1.2.大手企業の社員の過労死
- 2.1.3.個人が企業の顧客情報流出
- 2.1.4.社内コンプライアンス違反による影響
- 2.1.5.社内コンプライアンス違反を防止するためには
- 3.社内コンプライアンス違反を起こさせないためのポイント
- 3.1.社内の職種毎に具体的な対策を決めておく
- 3.2.社内規程やマニュアルを文書化し、社員に周知する
- 3.3.社内で内部監査体制を構築し、定期的にチェックする
- 3.4.職場環境を見直す
- 3.5.コンプライアンス研修の実施とチェック
- 4.コンプライアンス遵守に必要な反社チェック・コンプライアンスチェックとは
- 5.まとめ
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社内コンプライアンスとは何か?
社内コンプライアンスとは、社員が自社の営業活動に関連する法令やルールを意識し、遵守しながら仕事を進めるという意味があります。
企業や社員として果たす役割は次の4つです。
- 社会的責任を果たし、信用を得る
- 企業倫理やモラルを遵守する
- 法令や社内ルールを知り、遵守する
- コンプライアンス意識の高い企業づくりに貢献する
企業が法令を遵守するのは勿論のこと、社員が企業倫理や社会的な良識、モラルを遵守することもコンプライアンスに含まれます。
関連記事:コンプライアンスとは?わかりやすく・簡単に意味や使い方を解説
社内コンプライアンスを重要視する背景
企業が社内コンプライアンスを重要視する背景は、以下のとおりです。
- 企業に求められる社会的責任が重要視されている
- コンプライアンス違反により、社会からの信用を失う恐れがある
- 社会から信用を失った企業は経営が悪化し、最悪倒産につながる
- コンプライアンス意識の低い社員の行動が企業の責任問題になる
社内コンプライアンスを徹底していない企業は、自社の利益が最優先となり、社会に与える影響や利害関係者に応えないなどの弊害が生じます。
一方で、コンプライアンス意識の高い企業は、社会から信用され、顧客や投資家の離脱を防止できます。
関連記事:コンプライアンスが重要視される理由とは?必要なワケを解説
社内コンプライアンスにおいて守るべき法律・ルールとは
社内コンプライアンスにおいて守るべき法律・ルールとは、企業が法令やルールを守り、公正かつ公平な業務を遂行するための基準となるものです。
社内コンプライアンスにおいて守るべき法律・ルールの内容については次のとおりです。
- 社内規則や行動規範を遵守する
- 労働問題の解決やハラスメント対策を徹底する
- 個人情報の漏洩を防止する
- 企業活動の透明性に努める
具体的に解説します。
関連記事:社内のコンプライアンス意識を高めるためにやるべきことは?効果的な手段を解説
社内規則や行動規範を遵守する
企業は法令や条例などに基づき、社内規則を定めています。
社内で定めたルールやマニュアルをはじめ、社会人が守るべき倫理に基づく行動規範も意識し、行動することが求められています。
労働問題の解決やハラスメント対策を徹底する
働き方改革による過重労働や社内のハラスメントによって社員に与える肉体的、精神的苦痛もコンプライアンス違反です。
社内の労働環境を整備し、根本的な対策が求められます。
個人情報の漏洩を防止する
企業の顧客情報など個人情報の漏洩を防止することも守るべき法律・ルールの1つです。
特に社員のモラル欠如によるものが多く、発覚すれば顧客や取引先との信頼関係を失います。
社員がセキュリティ対策を徹底し、情報漏洩を防止することで、コンプライアンス意識の高い企業である証明にもなります。
企業活動の透明性に努める
経営の健全性を証明することで、企業の説明責任が果たせ、業務の効率化につながります。
社員が企業に対して信頼感を持ち、働きがいのある会社と認識することで、優秀な人材の確保につながります。
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社内コンプライアンスの違反事例とは
社内コンプライアンスの違反事例は、企業ぐるみと社員個人のコンプライアンス違反に分かれるのが一般的です。
コンプライアンス意識の低い企業や社員が起こした不祥事は、経営の悪化を招き、企業の存続も危ぶまれる状況に陥る可能性があります。
ここでは、社内コンプライアンス違反の具体的な事例と対策について紹介します。
実際に起きたコンプライアンス事例により原因や対策を知ることで、社内のコンプライアンス体制の再構築に役立ててください。
関連記事:コンプライアンス違反の罰則とは 起こさないための対策と事例を詳しく解説
社内コンプライアンス違反の具体的な事例と事後対策
過去から企業の規模にかかわらず、さまざまなコンプライアンス違反が起きています。
ここでは、社内コンプライアンス違反の具体的な事例と事後対策を見ていきましょう。
企業ぐるみの性能偽装
ここでは企業ぐるみの性能偽装について紹介します。
経緯
自動車用タイヤの生産・販売メーカーが建物に使用する免震ゴムのデータを改ざんし、国交省の認定を不正に取得していました。
偽装に関わった人数は開発部門と品質保証部門の4人で、クレームを避けるため、製品別にデータを細かく変え、顧客に提供していたことも判明しました。
また、問題発覚から公表までの対応の遅れに社会から批判が集まり、経営陣の辞任に至ったのです。
事後対応
- 監査機能強化を含む「コーポレート・ガバナンス体制」の構築
- コンプライアンス事案の直接通報・相談できる「ホットライン窓口」の設置、運営
- 危機管理規程を策定し、「危機管理体制」の構築、運用
- 社長を責任者とする「コンプライアンス推進体制」の整備、構築
- コンプライアンス委員会をはじめとする「腐敗行為・贈収賄行為の防止に関する方針」の策定
社会のために正しい仕事で役立つことを判断基準とし、役員や社員へコンプライアンス最優先の意識浸透に取り組んでいます。
関連記事:コンプライアンス違反の身近な事例から学ぶ個人レベルで注意すべきコンプライアンス遵守!
大手企業の社員の過労死
ここでは大手企業の社員の過労死について紹介します。
経緯
入社直後より上司から過大なノルマを与えられたため、過労によるストレスで抑うつ状態になり、自殺に至りました。
残業や休日出勤により月当たりの時間外労働が100時間を超える労働環境が原因と判断され、労災に認定、遺族に賠償金を支払うことで和解が成立しました。
この企業は過去にも同様の過労死問題があり、遺族に賠償金を支払っていたにもかかわらず、再度、同じ過ちを繰り返したのです。
事後対策
- コンプライアンス体制は重要な柱とした「グループ行動憲章」の策定
- コンプライアンス委員会を統括する「グループコンプライアンス会議」の設置
- 内部監査計画書に基づく定期的な法令遵守状況のモニタリング
- 内部通報制度「コンプライアンスライン」の運用
コンプライアンスプログラム策定にはじまり、プログラム周知徹底、状況確認、継続的改善のPDCAサイクルを回し、コンプライアンスの維持・向上を図っています。
関連記事:コンプライアンス違反とは?事例や法令遵守のための取り組みを解説
個人が企業の顧客情報流出
ここでは個人が企業の顧客情報流出事例について紹介します。
経緯
業務委託先のシステムエンジニアによって企業の持つ顧客情報が不正に持ち出され、売却されたことが、顧客からの問い合わせにより発覚しました。
被害者や関連団体への賠償などで200億円以上の赤字となったうえ、顧客からの信頼が失墜、顧客離れにつながった情報漏洩です。
事後対策
- リスク・コンプライアンス委員会を設置し、リスク評価や対策、進捗管理の継続
- 「緊急事案通報窓口」を設置し、緊急危機対応を迅速に行う体制を構築
- 内部監査部門のモニタリングによるコンプライアンスの徹底
- 社員のコンプライアンス研修の年1回実施
- 法令等遵守体制の構築および研修を通じたコンプライアンスチェックの実施
企業や社員のグループ全体の行動指針を制定し、業務遂行上の適法性・適正化を目的とした体制を構築し、コンプライアンスの徹底を図っています。
関連記事:企業イメージをアップさせるコンプライアンス遵守を解説
社内コンプライアンス違反による影響
社内コンプライアンス違反が企業に与える影響は多大です。
具体的には下記のような影響が想定されます。
- 業務停止命令や業務改善命令などの行政処分を受ける
- 企業ブランド力が低下し、顧客離れが起こる
- 投資家や株主離れによる株価が暴落する
- 不正に失望した従業員が離職する
社会から厳しい目を向けられるとともに、顧客や株主から見放されるため、企業としての存続も困難な状況になります。
社内コンプライアンス違反を防止するためには
社内コンプライアンス違反を防止するためには、企業毎に有効な予防策を検討、運用しなければなりません。
企業活動の業種によって詳細な防止策は異なりますが、共通する対策としては次のとおりです。
- 社内規定の整備や情報管理、権限の変更による情報漏洩の防止
- 社内コンプライアンス研修による企業リスク低減や社員意識の向上
- 企業の営業活動に関連する法令や条例の見直しに対する定期的な社内マニュアルの見直し
- コンプライアンス窓口の設置および活用によるハラスメント防止
- 内部監査体制の構築による定期的なコンプライアンスチェック
- コンプライアンスに関するリスクアセスメントの実施
社内コンプライアンス違反が発覚すれば、企業や関係した社員に重大な影響を与えることを認識し、可能性がある場合は適切な処置が必要です。
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社内コンプライアンス違反を起こさせないためのポイント
社内コンプライアンス違反を起こさせないためのポイントを具体的に解説します。
社内の職種毎に具体的な対策を決めておく
社内で起こりうるリスクを職種毎に洗い出し、具体的な対策を決めておくことが大切です。
自社で発生しそうな法令や社内ルール違反に対し、ケース別に考えられる対策を講じておけば社内コンプライアンス違反の予防策になります。
関連記事:コンプライアンス・リスクとは?リスク管理方法とフローを解説
社内規程やマニュアルを文書化し、社員に周知する
具体的な対策を決めれば、文書化し社内規程やマニュアルに反映しておきましょう。
見直した社内規程やマニュアルは社内コンプライアンス維持のため、社員に情報として周知、共有化しておきます。
関連記事:コンプライアンスマニュアルの作成方法 手順や作成例も解説
社内で内部監査体制を構築し、定期的にチェックする
具体的な対策を社内規程やマニュアルに反映した後は、社内で内部監査体制を早急に構築し、定期的にチェックすることが大切です。
内部監査員を主とする専門の監査チームを設け、最新の法令や条例に見直しているか、業務遂行上で問題は発生していないかなどのチェックが必要です。
関連記事:コンプライアンスチェックシートの必要性とは?チェックすべき項目を解説
職場環境を見直す
社内の迅速な情報共有のためには、職場環境を見直すことも大切です。
コンプライアンス違反を未然に防止するためには、早期に適切な対応が必要です。
また、問題が発生しても最小限の影響に抑えられる可能性が高くなるため、気をつけておきたいポイントの1つです。
コンプライアンス研修の実施とチェック
社員にコンプライアンス意識を浸透させるためには、定期的なコンプライアンス研修の実施とチェックが必要です。
特に社内の体制や改編など新たな仕組みになった場合には重要です。
1人1人の社員が社内規程やルールを理解し業務に活かせれば、コンプライアンスを意識した企業風土構築につながります。
関連記事:コンプライアンス研修の目的と内容 テーマ別事例や実施方法を解説
コンプライアンス遵守に必要な反社チェック・コンプライアンスチェックとは
コンプライアンス遵守に必要な反社チェック・コンプライアンスチェックとは、企業が暴力団などの反社会的勢力との取引を回避するためのチェックです。
また、自社のレピュテーションリスクを回避するために、犯罪などの反社会的行動をとった企業や個人も合わせてチェックすることで、よりコンプライアンスを意識したリスク管理が可能です。
各自治体では独自に定めている暴力団排除条例が設けられており、取引前の反社チェックを推奨しています。
ただし、企業が反社を見極めるのは困難なため、さまざまなチェック方法を組み合わせた判断が必要です。
反社チェックの主な方法は次のとおりです。
- 新聞記事のデータベースやインターネットで検索する
- 公知情報を有する反社チェックツールで確認する
- 取引予定の企業情報を法人登記で確認する
- 専門調査機関に依頼する
- 行政に問い合わせる
反社チェック方法によって取引リスクの精度が大きく変わります。
はじめは、チェックが容易な新聞記事のデータベースやインターネットの検索で行い、必要に応じて、ツールや調査機関に頼る方法に変更してもよいでしょう。
また新たな取引先だけでなく、現在の取引先も定期的にチェックすることが大切です。
関連記事:反社チェックを無料で行う方法 ツール利用についても解説
まとめ
企業のリスクを最小限に抑えるためには、社内コンプライアンス意識を高めることが先決です。
自社の事業活動に関連する法令などを業務と紐づけした社内規程やルールをつくり、コンプライアンス違反事例と照らし合わせることが大切です。
また、第三者機関や社内でのチェック、社員研修を定期的に実施することで、コンプライアンス遵守を徹底した企業になるでしょう。
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