レピュテーションリスクの原因を作らないための対策とは?顕在化したときの対処法も解説
近年注視されるようになったレピュテーションリスクは、企業活動において回避することが重要になります。
この記事では、レピュテーションリスクの3つの主な原因を解説し、原因を作らないための対策も紹介します。
また、レピュテーションリスクが顕在化してしまった場合の対処法も解説していきます。
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目次[非表示]
- 1.レピュテーションリスクとは
- 1.1.レピュテーションリスクが注視される背景
- 1.2.レピュテーションリスクの3つの主な原因
- 1.2.1.企業の法令・条例違反
- 1.2.2.社員・役員による不祥事
- 1.2.3.一般消費者の評判
- 2.レピュテーションリスクの顕在化で発生する損失
- 2.1.企業価値・収益の低下
- 2.2.事態収拾や信頼回復のためのコスト
- 2.3.行政手続きによる損失
- 3.レピュテーションリスクの原因を作らないための対策
- 3.1.現状を把握する
- 3.2.従業員の教育を徹底する
- 3.3.商品・サービスの質を上げる
- 3.4.積極的な情報発信を行う
- 3.5.企業・人物調査を行う
- 3.6.ネット情報を管理する
- 4.レピュテーションリスクが顕在化してしまったときの対処法
- 4.1.危機管理マニュアルに従って対応する
- 4.2.出来事の真偽・原因を迅速かつ的確に把握する
- 4.3.再発防止策を講じる
- 4.4.悪質な風評被害に対しては、法的措置を講じる
- 5.レピュテーションリスクの対策には反社チェック(コンプライアンスチェック)が有効
- 5.1.反社チェックとは
- 5.2.反社チェックの実施方法
- 6.まとめ
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レピュテーションリスクとは
レピュテーションは日本語で、「評判」「評価」「信用」などの意味を持つ言葉で、直訳すると「評判リスク」となります。
企業におけるレピュテーションリスクとは、企業に関するマイナスな情報が世間に広がり、企業の評判が悪化し、信用やブランドイメージを損ねてしまうリスクのことです。
世間からの評判が悪くなれば、商品やサービスが売れなくなり、金融機関などから評価が悪くなれば資金調達ができなくなります。
その結果、経営が悪化して倒産してしまう恐れもあるのがレピュテーションリスクです。
レピュテーションリスクが注視される背景
レピュテーションリスクが注視されるようになった背景として、SNSの普及が大きく影響しています。
近年ニュースで目撃することの多かったバイトテロですが、アルバイト店員がSNSに不適切な写真や動画をアップしたことで大炎上しました。
またインターネットやSNSの普及によって、情報が拡散されやすくなったことも影響しており、良い評判や口コミだけではなく悪評の拡散するスピードと拡散力も以前とは比較できないほどになっています。
一度拡散された情報は完全に消すことが難しいため、イメージや名誉を回復するのも簡単ではありません。
こういった背景から、レピュテーションリスクが注視されるようになりました。
関連記事:レピュテーションリスクとなりうる事例や回避方法を解説
レピュテーションリスクの3つの主な原因
レピュテーションリスクは、身近で発生する可能性があるものも多く、その要因となるものは企業活動を行っていれば多分に転がっています。
その中でも主な原因は以下の3つです。
- 企業の法令・条例違反
- 社員・役員による不祥事
- 一般消費者の評判
それぞれ解説します。
企業の法令・条例違反
1つ目は企業の法令・条例違反で、企業自体がコンプライアンス違反を起こしているケースです。
例を挙げると、不正会計や税務・労務上の法令違反、産地偽装や違法契約、違法建築があります。
法令・条例違反を起こした場合、行政から行政処分や勧告を受ける可能性もあり、マスコミなどで報道されることもあります。
事件として明るみに出なかった場合でも、従業員からの内部告発によって発覚することもあります。
社員・役員による不祥事
2つ目は社員・役員による不祥事で、これは正社員だけでなく派遣社員やアルバイトも含まれます。
身近な例ですと、前述のバイトテロも従業員の不祥事の1つです。
アルバイトによる不適切な行動だった場合でも、お店や企業側の管理責任を問われ、企業のイメージが悪化することになります。
バイトテロ以外にも、社員のミスなどによる個人情報の流出や、社内でのパワハラなどもレピュテーションリスクの原因になります。
一般消費者の評判
3つ目は一般消費者の評判で、悪い口コミやネガティブな情報などが広がってしまい、企業の評判が悪化してしまうというリスクです。
これにはSNSの発達も大きく影響しており、大手口コミサイトなどで悪い口コミが多く投稿されてしまった結果、客足が激減してしまったというケースがあります。
また「店員の態度が良くない」「届いた商品が写真と全然違う」などの評価によって評判が下がることもあります。
ただ、一部悪意のある口コミや投稿を除いて、商品やサービスを評価するのは一般消費者ですので、提供する商品・サービスの質を向上させることも大切です。
関連記事:レピュテーションリスクを回避する方法とは?リスクが顕在化した際の対処法も紹介
レピュテーションリスクの顕在化で発生する損失
レピュテーションリスクが顕在化した際に発生する損失は想像しているよりも大きいものになる場合があります。
リスクの大小によっても差異はありますが、主な損失は以下の3つです。
企業価値・収益の低下
レピュテーションリスクの顕在化によって、企業の評判やイメージとともに企業価値も低下します。
したがって商品やサービスを求める顧客も減少し、収益の低下にもつながります。
短期的な低下だと思われがちですが、アルバイトの不祥事や個人情報の流出によって顧客離れが発生し、赤字になった企業や、倒産に追い込まれた企業も存在します。
ネガティブな情報や評判は拡散するスピードが速いため、評判が低下するだけで済まず、消費者はその評判をもとにして企業の商品・サービスを選んでいることを理解しておくことが重要です。
事態収拾や信頼回復のためのコスト
レピュテーションリスクが顕在化する際は、何かの不祥事や不始末が起こることがほとんどで、その事態を収拾するために多額の賠償金が発生することもあります。
また一度信頼を失ってしまったら、信頼を回復するのは長期的な企業努力が必要になり、多くの費用と時間がかかってしまうでしょう。
行政手続きによる損失
レピュテーションリスクの原因によっては、刑事罰が科されることや、業務停止命令、免許停止などの行政処分を受けることがあります。
行政処分によって世間からの評判が下がる恐れがあることもリスクですが、もし業務や免許を停止された場合、その間は売上が作れず業績にも影響を与えかねません。
関連記事:コンプライアンス違反の身近な事例から学ぶ個人レベルで注意すべきコンプライアンス遵守!
レピュテーションリスクの原因を作らないための対策
世間からの信用を維持し、レピュテーションリスクの原因を作らないためには企業での対策が必要です。
企業が実施するべき6つの対策を紹介します。
現状を把握する
レピュテーションリスク対策をするためには、まず現状を把握する必要があります。
レピュテーションリスクを測定するには、新聞や雑誌などが実施しているランキング調査などで確認する報道調査、SNSで自社名を検索して調査するSNS調査、従業員や顧客、取引先や株主などを対象にアンケートで意見を募るアンケート調査などがあります。
企業の現状の評判や第三者の意見を入手することで、現状を把握し、これからとるべき対策づくりの基礎にすることができます。
従業員の教育を徹底する
従業員の意識の低さや知識不足が、レピュテーションリスクを高める原因になることは少なくありません。
普段の教育だけでなく、コンプライアンス研修などを行い、レピュテーションリスクの重要性について従業員に常に意識をさせることが、リスクを回避するためのポイントです。
また、マニュアルなどの業務に関するルールを明確にしておくことも重要で、従業員の業務スキルや意識を均一化しやすくなり、社内秩序に反しないような統制にもつながります。
商品・サービスの質を上げる
商品・サービスの質が低下し、悪評が広まることによってレピュテーションリスクが顕在化するケースは少なくありません。
口コミや評判が広がりやすい時代だからこそ、提供するものの品質向上を目指し、顧客の満足度を上げることも大切になります。
積極的な情報発信を行う
インターネットやSNSでは、多くの人が商品やサービスに対して様々な評価をしていますが、中には個人的な感情が含まれるものや誤解を招くような表現がされていることもあります。
企業に関してネガティブな情報が出回ったとき、企業が情報発信をしなければ、消費者はインターネット上の口コミや評価を参考にするしかありません。
しかし、企業側から情報発信をしていれば、ネット上の情報に流されずに企業の情報を信用する人も出てくるため、誤解を招くことも減少するでしょう。
企業・人物調査を行う
新しく取引を開始する取引先企業や、人材採用の際の採用候補者、また自社の従業員に対して、調査を行うことも大切です。
いくら自社でレピュテーションリスク回避のために対策を取っていても、取引先や従業員が問題を起こせば、企業の信用問題にも関わってきます。
反社会的勢力排除の流れが高まっている現代において、反社チェックは最も重要ですが、他にも取引先に対しては与信調査、採用候補者に対してはバックグラウンドチェックなど様々な調査が存在します。
ネット情報を管理する
インターネット上で、企業に関するネガティブ情報が出回っていないかを管理することもレピュテーションリスクの対策になります。
レピュテーションリスクが注視されるようになり、ネット上で企業の悪評や誹謗中傷をチェックするサービスなども登場しています。
根拠のない情報などに対しては、削除を依頼するなどの対応を取るのが有効です。
関連記事:安心して取引先するために、企業調査・リスク管理を見直そう 今から始める反社チェック
レピュテーションリスクが顕在化してしまったときの対処法
対策を行っていても、図らずしてレピュテーションが顕在化してしまうケースもあります。
もしもの時にスムーズに対応できるよう、顕在化してしまったときの対処法を解説します。
危機管理マニュアルに従って対応する
事前に危機管理マニュアルを作成している場合、マニュアルを土台にして対応します。
指揮・統制をとるタスクなどを整理しておけば、マニュアルに従って対応することで、損失を最低限に抑えることにつながる可能性もあります。
事前に社内で整理された危機管理マニュアルを整備しておくのが良いでしょう。
出来事の真偽・原因を迅速かつ的確に把握する
実際に発生した出来事の真偽・原因を迅速に把握、情報を的確に整理することが重要です。
ただし、スピードに追われるまま謝罪記事などを表明し、真偽に誤りがあった場合などは逆効果になりかねないため、問題の根本的な原因をしっかりと突き止め、迅速さと的確さのバランスをもって対応することが大切です。
再発防止策を講じる
もし企業の評判や評価が下がってしまった場合でも、その後の真摯な対応によって、社会からの信用を回復することは不可能ではありません。
その中で重要になるのが、再発防止策を講じることです。
今回の不祥事・トラブルがなぜ発生してしまったのかを勘案して、再発を防ぐための改善策を考案し、公表するのが良いでしょう。
また、再発防止策を検討する際は、弁護士などの有識者で構成された第三者委員会で行うことを推奨します。
悪質な風評被害に対しては、法的措置を講じる
インターネットやSNSでの悪評の中には、根拠のない誹謗中傷や悪質な口コミも含まれています。
削除依頼をすることも有効ですが、対応に取り合ってもらえない場合は法的措置を講じ、加害者側の責任を追及することで、企業の信頼回復につながることもあります。
悪質な場合には損害賠償請求を行ってもよいでしょう。
関連記事:コンプライアンス・リスクとは?リスク管理方法とフローを解説
レピュテーションリスクの対策には反社チェック(コンプライアンスチェック)が有効
企業が反社会的勢力と関わりがあると判明した場合、信用と評判が一気に失墜するだけでなく、不当な要求をされるなど企業が危険にさらされる恐れもあります。
反社チェックとは
反社チェックとは、取引先や自社の従業員が反社会的勢力と関わりがないかを調査することです。
反社会的勢力は、暴力団だけでなく準暴力団やフロント企業など多岐にわたります。
相手が反社会的勢力だと知らなかった場合でも、関りが世間に露見すれば、企業への批判は避けられないでしょう。
レピュテーションリスクを回避するためにも、反社チェックは必要になっています。
関連記事:反社チェックは義務なのか?反社会的勢力に関わる法令やチェックの方法を解説
反社チェックの実施方法
反社チェックの実施方法は主に以下の4つです。
- インターネット・SNSで検索する
- 警察・暴追センターに相談する
- 調査会社に調査依頼する
- 反社チェックツールを導入する
それぞれに強み・弱みがありますので、自社にあった方法で調査を実施するのが良いでしょう。
関連記事:反社チェックはどこまで行うべきか 実施対象・方法を解説
まとめ
インターネット・SNSの普及によって注視されているレピュテーションリスクですが、その原因は企業や従業員によるものだけではなく、一般消費者側によって発生することもあります。
原因を作らないための対策はもちろん、もしレピュテーションリスクが顕在化してしまった場合の対処法もしっかり知っておくことで、損失を低減することにもつながるでしょう。
関連記事:反社チェックを行うタイミングとは?チェック方法も解説
関連記事:コンプライアンス違反の罰則とは 起こさないための対策と事例を詳しく解説