バックグラウンドチェックで休職歴は確認できる?発覚した場合の対応についても解説
バックグラウンドチェックは元々、外資系企業で導入されていましたが、中途採用が増加する現代において、日本企業での導入率も増加しています。
そして、採用選考を行う上で休職歴は確認しておきたい項目の1つでしょう。
今回の記事では、バックグラウンドチェックで休職歴が確認できるかについて解説します。
また、休職歴が発覚した場合に、企業がどういった対応を取ることができるのかについても解説します。
【参考】より深く知るための『オススメ』コラム
👉「採用」時のバックグラウンドチェックとは 必要性とメリット・デメリットについて解説
👉バックグラウンドチェックは拒否できる?企業側の対策方法も解説
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目次[非表示]
- 1.バックグラウンドチェックとは
- 1.1.バックグラウンドチェックの調査項目
- 1.1.1.候補者の学歴・職歴
- 1.1.2.民事訴訟歴・破産歴
- 1.1.3.リファレンスチェック
- 1.1.4.反社チェック
- 2.バックグラウンドチェックで休職理由は確認できるか
- 2.1.休職の種類
- 2.2.SNSの調査で確認することもある
- 2.3.休職情報を調査するならリファレンスチェックを行うのがよい
- 3.バックグラウンドチェックで休職歴が発覚した場合の対応
- 3.1.内定前に休職歴が発覚した場合
- 3.2.内定後に休職歴が発覚した場合
- 4.休職歴がある人材を採用する際の注意点
- 5.バックグラウンドチェックで行うべき反社チェック
- 6.まとめ
バックグラウンドチェックとは
バックグラウンドチェックとは、人事採用を行う際、採用候補者に対して行う身元調査のことです。
調査を実施することで、経歴詐称を防ぎ、信頼性をチェックすることが主な目的です。
海外の企業や国内の外資系・金融系企業では、バックグラウンドチェックの実施は珍しいことではありません。
実雇用形態が変化し、転職回数が増加していることから、過去の経歴や実績を把握したうえで選考したいと思う企業が増え、日本でもバックグラウンドチェックを実施する企業が増えました。
関連記事:バックグラウンドチェックと在籍確認が必要な理由を詳しく解説
バックグラウンドチェックの調査項目
バックグラウンドチェックでは、履歴書や職務経歴書、面接だけでは判断できない情報を調査します。
ただし、採用とは無関係な情報を調査することは原則として認められていないため、注意が必要です。
また、バックグラウンドチェックを実施する際は、個人情報保護の観点から、採用候補者から事前に同意を得ることが必要になります。
バックグラウンドチェックの主な調査項目は以下の4つです。
- 候補者の学歴・職歴
- 民事訴訟歴・破産歴
- リファレンスチェック
- 反社チェック
順番に解説していきます。
候補者の学歴・職歴
候補者の学歴については、卒業証明書の提出を依頼したり、出身大学への学歴照会を行ったりすることで調査をします。
実際に通っていたかどうかだけでなく、学部や卒業年月の詐称も学歴詐称になります。
職歴は、社歴や在籍期間などの内容に虚偽がないかを調査します。
源泉徴収票の確認や、国民年金の加入履歴を確認することで、調査を行います。
また、メンタル疾患などで休職をしていた場合、休職期間の偽装や、休職していたことを申告しないケースもあります。
休職期間は職務経歴書に記載する必要がないため、自ら申告をする候補者は少ないですが、源泉徴収票などの書類での確認や、健康状態に関する書類を記入してもらうことで確認することも可能です。
民事訴訟歴・破産歴
民事訴訟歴は公的機関のデータベースなどが存在しないため、最高裁の判決以外の過去の記録の照会は容易ではなく、調査したい場合は、専門の調査機関に依頼することが必要になります。
破産歴は、国が発行する官報で公開されている情報を確認することで確認できます。
リファレンスチェック
リファレンスチェックとは、採用候補者の現職・前職の上司や同僚にインタビューを行う調査のことです。
主に外資系企業で実施されていた調査ですが、近年では日本企業での実施も増加しています。
職歴の確認と同じく、在籍期間や職位などに虚偽がないかを確認するほか、勤務態度や人柄、経歴などの情報を第三者目線から得ることができます。
面接ではわからなかったポジティブな情報が得られることもあれば、自社とはスキルがマッチしないと判断する材料になることもあります。
また、リファレンスチェックを行うことで休職歴が発覚するケースもあります。
反社チェック
反社チェックとは、採用候補者が反社会的勢力と関わりがないかを調査することです。
反社会的勢力と関わりのある人材を採用してしまった場合、会社が大きなリスクを背負うことになるため、事前に反社チェックを行うことを推奨します。
関連記事:バックグラウンドチェックとは?リファレンスチェックとの違いも解説
バックグラウンドチェックで休職理由は確認できるか
バックグラウンドチェックを行えば、休職歴が判明することがあるでしょう。
もし休職歴があった場合、企業側が採用候補者に対して休職理由を確認することは可能です。
しかし、確認する際には、採用候補者のプライバシー保護や差別を避けることなど、細心の注意が必要です。
健康上の理由や家族の問題など、個人的でデリケートな内容を深く聞くのは避けた方が良いでしょう。
また、病歴の調査はプライバシー保護の観点から違反とされているため注意が必要です。
関連記事:個人情報保護法に基づくバックグラウンドチェックの必要性と合法性について
休職の種類
休職とは、1か月から1年ほど、労働者の都合で中長期的に会社を休むことです。
休職にはさまざまな理由があり、代表されるものとして以下の7つに分類されます。
- 傷病による休職
- 事故による休職
- ボランティアの参加や家族の病気など自己都合による休職
- 留学のための休職
- 国会議員や地方議員など公職就任による休職
- 起訴による休職
- 組合業務に専従するための休職
SNSの調査で確認することもある
バックグラウンドチェックの際にSNSを調査することもあります。
これは人柄や不適切な投稿がないかを確認する目的もありますが、休職歴や精神状況を確認することもできます。
精神疾患に懸念がある人物の場合、高確率でSNSにネガティブな投稿をしており、職場や上司、同僚に対する悪口や退職宣言などの投稿が見受けられます。
SNS投稿は実名ではなくニックネームなどで登録されていることがほとんどですので、専門機関に依頼したほうが情報を得られる可能性は高まるでしょう。
休職情報を調査するならリファレンスチェックを行うのがよい
バックグラウンドチェックから休職情報を得られる可能性はありますが、病歴の調査がプライバシー違反になる恐れがあるだけでなく、SNSの専門的な分析もプライバシー侵害に繋がる可能性があり、調査項目によっては違法性が問われることもあります。
それに対しリファレンスチェックは、休職情報についても余計な調査を必要とせず、第三者からの情報を得られるため、休職情報を調査するのであればリファレンスチェックを行うのが良いでしょう。
関連記事:採用のミスマッチを防ぐリファレンスチェックとは?メリット・デメリットについて解説
バックグラウンドチェックで休職歴が発覚した場合の対応
休職歴が発覚した場合、事前に申告がなければ不信感が生まれることや、業務への支障を危惧することから選考に影響が及ぶこともあるでしょう。
休職歴が発覚した際に、企業側はどのような対応が可能かどうか、内定前と内定後に分けて解説します。
内定前に休職歴が発覚した場合
内定前の場合、バックグラウンドチェックで経歴詐称があったり、犯罪歴や反社会的勢力との関わり、SNSでの不適切な投稿が判明したり、人物像が不一致だと判断された場合はそれを理由に不採用とすることができます。
内定前であれば雇用契約などを締結していない状況であるため、採用するかどうかは企業側の判断で決定できるということになります。
内定後に休職歴が発覚した場合
内定後に休職歴が発覚した場合、休職歴だけを理由として内定取り消しすることはかなり難しいです。
というのも、内定を出した時点で雇用契約が発生しているため、内定取り消しには従業員を解雇するのと同等の理由が必要になります。
もし、自病によって休職していた候補者がおり、その自病によって今後業務を履行することができない可能性があり、それを企業側が事前に把握していれば不採用としていた場合などは、経歴詐称として内定取り消しができるケースもあります。
関連記事:バックグラウンドチェック後に内定取り消しはできるか?様々なケースごとに解説
休職歴がある人材を採用する際の注意点
休職歴がある人材を採用する場合、傷病の再発や介護など家庭の事情により再び休職する可能性や、勤怠が不安定になるなど、業務に影響が出る恐れがあります。
しかし、休職歴にもさまざまなケースがあるため、休職歴があるからといってネガティブな判断を下すべきではないという多様性を認める風潮もあります。
休職の理由にもよりますが、入社後の環境づくりや適切なマネジメントにより、候補者が入社後に活躍できる可能性は大いにあります。
候補者の特性や性格、過去の休職理由に関する現在の状況を把握し、相性の良い配属先に配属する、他のメンバーに事情を伝えてサポートを依頼するなど、働きやすい環境を整えておくのが良いでしょう。
また採用選考時、休職歴ばかりに着目せず、候補者の客観的な情報を幅広く収集したうえで採用の決断をすることが重要になります。
関連記事:バックグラウンドチェックはどこまで調査が必要なのか?採用ターゲット層に合わせた調査とは
バックグラウンドチェックで行うべき反社チェック
バックグラウンドチェックの調査項目の1つでもある反社チェックですが、人材採用を行う際は必ず実施したい調査の1つです。
近年、反社会的勢力排除の動きが高まっており、企業側にも反社チェックの実施が努力義務とされていることから、バックグラウンドチェックは不実施でも反社チェックのみ実施する企業も多いです。
反社会的勢力と関わりのある人物を採用してしまうと、上場廃止や銀行からの融資停止、行政処分を受ける可能性があり、企業存続が危ぶまれる恐れもあります。
また、反社会的勢力に関割る人物が社内に入り込むことで、従業員や企業が危険にさらされる可能性や、不当な要求をされるリスクもあります。
反社チェックは内定前に行うのが良いですが、もしも結果が先にわからない場合は、契約書に暴排条項を盛り込むなどの対応をしておきましょう。
関連記事:反社チェックはどこまで行うべきか 実施対象・方法を解説
まとめ
バックグラウンドチェックを実施することで、休職歴を確認することは可能です。
調査方法としてはリファレンスチェックを行うことが有効ですが、他にも源泉徴収などの書類で確認することも可能です。
バックグラウンドチェックの調査項目として、病歴や宗教など業務と関係のない項目を調査することは、プライバシー保護の観点から違法になる恐れがあるので注意が必要です。
また、休職歴が判明した場合でも、内定を取り消すことは難しいため、業務の遂行に問題がないか、事前調査することで確認しておくことが大切です。
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関連記事:反社チェックは義務なのか?反社会的勢力に関わる法令やチェックの方法を解説