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コンプライアンス違反の事例を紹介 ハラスメントとの関係も解説

コンプライアンス違反に対する社会の目が厳しくなる中で、人権意識や環境意識の高まりによって企業コンプライアンスの内容も変化しつつあります。

この記事では、近年のコンプライアンス違反の事例を紹介し、近年とくに注意が必要となったコンプライアンスとハラスメントの関係を分かりやすく解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.コンプライアンス違反とは?
  2. 2.身近なコンプライアンス違反の事例
    1. 2.1.情報漏洩
    2. 2.2.不当な時間外労働
    3. 2.3.著作権侵害
    4. 2.4.ハラスメント
    5. 2.5.SNSでの不適切な発言
  3. 3.コンプライアンス違反とハラスメントの関係
    1. 3.1.ハラスメントの定義とは
    2. 3.2.代表的なハラスメント
      1. 3.2.1.パワーハラスメント
      2. 3.2.2.セクシャルハラスメント
      3. 3.2.3.マタニティハラスメント
      4. 3.2.4.ジェンダーハラスメント
  4. 4.コンプライアンス違反が会社にもたらす影響
    1. 4.1.行政処分や損害賠償の請求
    2. 4.2.会社の社会的信頼を失う
    3. 4.3.従業員が離職する
  5. 5.コンプライアンス違反が発生しないための対策
    1. 5.1.研修を行うなど必要な知識をインプットする
    2. 5.2.自社が抱えるリスクを把握する
    3. 5.3.相談窓口を設置する
  6. 6.コンプライアンス違反しないために行うべきコンプライアンスチェック(反社チェック)
  7. 7.まとめ

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コンプライアンス違反とは?

コンプライアンス違反とは?

コンプライアンスとは、法律や社会規範を守って正しい企業活動をすることです。
コンプライアンス(Compliance)は「法令遵守」と訳されていますが、守るべきものは法律や条令に限らず、企業倫理や時代の要求する社会通念、価値観にも及びます。

例えば、持続可能な社会や性的マイノリティへの配慮なども、現代では重要なコンプライアンスです。
コンプライアンス違反とは、これらの法令や倫理、価値観に違反する行いを指し、コンプライアンス違反が世間に露見すると、違反の内容によって罰則や社会的非難を受けることになります。

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身近なコンプライアンス違反の事例

身近なコンプライアンス違反の事例

身近で見聞きすることがあるコンプライアンス違反の事例には、情報漏洩、不当な時間外労働、著作権の侵害、ハラスメントなどがあります。

情報漏洩

2022年に、ある地方自治体から委託を受けた企業の社員が、市民数十万人の個人情報をUSBメモリーにコピーして持ち出し、同僚と飲食しアルコールを摂取して、メモリーが入ったカバンを紛失する事件が起きました。

無断でデータをコピーすることも、それを持ちだすことも重大なコンプライアンス違反です。
情報がデジタル化された現代では、社外に情報を持ち出すリスクは各段に大きくなっているにも関わらず、当事者の意識の低さが原因で企業にとって重大な損害をもたらす恐れがあります。

不当な時間外労働

1か月で100時間を超えるような不当な時間外労働は「過重労働」として労働基準法違反になるだけでなく、従業員に健康被害があった場合はマスコミで大きく報道されて企業のコンプライアンス違反が問われます。

2015年に大手広告代理店・電通の新入女性社員が1ヵ月130時間を超える過重労働によってうつ病を発症して自死する事件が発生しました。
翌年、労働基準監督署はこの事件を労働災害と認定して、東京労働局が電通本社に抜き打ち捜査を実施し、さらに名古屋・大阪・京都の各支社も、地元労働局の調査が入りました。

調査の結果、違法な時間外労働が会社全体に常態化していた疑いが強まったとして、本社と3支社の家宅捜索を行い、それを受けて社長が引責辞任する事態に発展しました。

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著作権侵害

ネット上にある画像や文章をコピーすることはきわめて簡単ですが、個人的な収集や鑑賞の範囲を超えて、企業や個人が営利目的に使用すると著作権の侵害にあたります。

2020年には大手の小売業者の社員が、店内のPOPにSNS上に投稿されていたイラストを無断使用し、作者から指摘されて謝罪するという事件がありました。
「店内で使用する掲示物だから」という社員の安易な行動によって企業のコンプライス違反が問われた事例です。

ハラスメント

近年は、いわゆるパワハラ、セクハラなどのハラスメントが、コンプライアンス違反を指摘される大きな企業リスクになっています。

2004年に、保険会社の上司が部下に対して「意欲がないなら辞めるべき」「給料に見合う働きをしていない」などの侮辱的なメールを送り、不法行為が認定され損害賠償の判決が出たケースがありました。
メールの表現が許容範囲を超えていたこと、本人だけでなく本人の同僚にも送り名誉を棄損したことが判決の理由です。

SNSでの不適切な発言

飲食店やコンビニのアルバイト店員が、店内での悪ふざけ行為の動画をSNSに投稿して、消費者から企業に対して「不衛生だ」「社員教育ができていない」などの批判を受けた事例が多発したことがあります。

行為そのものは実行者の責任だとしても、企業には監督責任がありコンプライアンス違反が問われます。
SNSの利用が普及した現代では、悪評が瞬く間に拡散されるリスクが大きくなっています。

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コンプライアンス違反とハラスメントの関係

コンプライアンス違反とハラスメントの関係

人間関係のあり方や人権意識は時代とともに変化しているので、その変化を軽視すると通常のマネジメントやコミュニケーションのつもりで行った言動がパワハラやセクハラと受け取られる危険性があります。

また、パワハラやセクハラの非難を恐れるあまりマネジメントが委縮してしまうことが企業側の問題にもなっています。

ハラスメントの定義とは

ハラスメントは、相手の嫌がることをして不快感を覚えさせる行為全般を意味します。

代表的なハラスメント

代表的なハラスメントには、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、マタニティハラスメント、ジェンダーハラスメントがあります。それぞれ解説します。

パワーハラスメント

パワーハラスメントは「優越的な人間関係を背景に、業務上の適切な範囲を超えて、身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は労働者の就業環境を害する行為」と定義されます。

業務において叱咤督促をする際、ときとして強い言葉や威圧的な態度がとられることがありますが、そのすべてがパワハラになるわけではありません。
お互いの人格を尊重するという前提の上で、どこまでが業務上に必要な叱咤督促なのかを見極めることが重要です。

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セクシャルハラスメント

1980年代に米国で社会問題になったのがセクシャルハラスメント、いわゆるセクハラです。
2017年にはやはり米国でSNSに#MeTooでセクハラ被害を公表する「MeToo運動」が盛んになり、日本や韓国などにも運動が広がりました。

同じことを言った場合でも、発言する人間のキャラクターによって、言われた側の受け止め方が異なるという微妙な問題を含みますが、基本的には相手が不快に感じる性的な言動がセクハラとされています。
職場を離れた飲み会などでの言動もセクハラ認定の対象です。

セクハラには、男性から女性に対するものだけでなく、女性から男性に対するものやLGBTQなどの性的マイノリティに対する偏見や差別も含まれます。

マタニティハラスメント

マタニティハラスメント(マタハラ)とは、職場における妊娠・出産・育児休業などに関するハラスメントです。
妊娠、出産した事実に対してからかう発言や、産前産後休業、育児休業の制度利用に対する嫌がらせなどがマタニティハラスメントに該当します。

ジェンダーハラスメント

ジェンダーハラスメントとは「男のくせに」「女のくせに」という言葉に象徴されるような、男女の社会的・文化的な役割分担の既成概念や固定観念に基づく嫌がらせです。
男女の役割分担についての考え方は時代とともに変化していますが、職場では男性だから、女性だからという役割の区別は基本的に認められません。

上記のさまざまなハラスメントは、お互いの人格を尊重し、職場の心理的な安全性を高める上で、一人ひとりの意識が大切です。
心理的な安全性が保たれている職場とは、同僚や上司から何か言われたとしても、それは個人的・人格的な揶揄や非難攻撃ではなく、生産的な仕事をするための言葉だということを全員が理解している職場です。

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コンプライアンス違反が会社にもたらす影響

コンプライアンス違反が会社にもたらす影響

コンプライアンスに違反する行為は、行政処分や損害賠償の対象になる、社会的信頼を失う、従業員が離職するなど数々のリスクを企業にもたらします。

行政処分や損害賠償の請求

法令に違反する行為は、監督官庁から下記のような行政処分を受けるリスクがあります。

改善命令:業務改善計画を提出し、進捗状況を報告する義務がある
措置命令:行為の撤回、再発の防止を命じられる
業務停止命令:一定の期間業務を行えなくなる
許可取消処分:営業に必要な許可が取り消され、営業できなくなる

顧客や従業員に損害を与えた場合は、民事訴訟で損害賠償を請求されることがあります。
また、法律や条例に違反する行為は刑事罰を受ける可能性があります。

会社の社会的信頼を失う

コンプライアンス違反によって行政処分や刑事罰を受けると、マスコミによる報道や、SNSで拡散されることなどで、企業は社会的信用を失います。
社会的信用を失うことの実害は、商品やサービスが消費者の支持を失い売り上げが下がる、株主が離れて株価が下落するなどです。

従業員が離職する

過重労働やハラスメントなどのコンプライアンス違反があれば、従業員の離職率が高くなり、人手不足になるリスクがあります。
コンプライアンス違反の評判が世間に広がると、人材採用もうまくいきません。

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コンプライアンス違反が発生しないための対策

コンプライアンス違反が発生しないための対策

コンプライアンス違反を発生させないためには、法令の改正や社会通念の変化へのアップデートを欠かさずに、経営者と従業員が一致して高いコンプライアンス意識を維持することが必要です。

研修を行うなど必要な知識をインプットする

コンプライアンスの維持には、必要な知識のインプットと情報のアップデートが欠かせません。
例えば、2021年3月に会社法が改正され、業務の適正化のための「内部統制」の体制づくりが義務化されました。
翌年の2022年4月には、食品表示法の原産地表示制度が完全施行されました。

このように、企業のコンプライアンスに対する社会の監視が厳しくなるにつれて、法制度も変化しています。
法制度だけでなく、時代によって変化している人権意識、環境意識、情報リテラシーなどのアップデートも必要です。

社会と企業、企業と従業員の正しい関係のあり方は、社会通念の変化とともに変化するため、必要な知識を研修などでインプットしなければなりません。

自社が抱えるリスクを把握する

業界や業種・業態によって、コンプライアンス違反を犯しやすい場面が異なります。
自社の特性・特徴もあわせて考慮し、あらかじめどのようなリスクがあるかを想定した上で、対策を立てておくことが大切です。

例えば、仕事の獲得に自治体への入札が必要な企業では、贈賄や談合というコンプライアンス違反への誘惑があります。
その他、従業員の大半が若いパート社員の企業では、SNSの利用についての社員教育が重要になるなど、自社の特性によってリスクも異なります。

相談窓口を設置する

コンプライアンス違反を未然に防ぐため、あるいは最小に留めるために、企業内に相談窓口を設けて有効に機能させる必要があります。
しかし、相談窓口は設置したが機能していない、というケースが多いのが実情です。

相談窓口が機能し、正しい情報が窓口に届くためには、経営者と従業員に信頼関係があり、先述した「職場の心理的安全性」が確保されていなければなりません。

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コンプライアンス違反しないために行うべきコンプライアンスチェック(反社チェック)

コンプライアンス違反しないために行うべきコンプライアンスチェック(反社チェック)

企業には「暴力団排除条例」によって反社会的勢力と関わりを排除する努力義務が課せられています。
この努力義務に違反するのは重大なコンプライアンス違反となり、世間から大きな非難を浴びることになります。

このようなコンプライアンス・リスクを避けるには、社員を採用する際や新たな取引先と契約する際に「反社チェック・コンプライアンスチェック」を実施することが必要です。

反社会的勢力との関係が発覚すると、暴力団排除条例などの法令違反あたり、企業信頼度の低下が避けられません。
反社チェックを行うには、自社で新聞記事のデータやインターネット上の情報を検索する、独自に収集した反社会的勢力情報データベースを提供するサービスを利用する、などの方法があります。

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まとめ

コンプライアンス意識のゆるみから起きた、身近なコンプライアンス違反の事例には、情報漏洩やハラスメント、著作権の侵害などがあります。
その中では、セクハラ、パワハラなどのハラスメントは、判断の難しいケースが多いこともあり、社員教育などの事前の対策と慎重な対応が必要です。

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RISK EYES編集部
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反社チェックツール「RISK EYES」のブログ編集部です。反社関連の情報だけでなく、与信やコンプライアンス全般、IPO準備などについても執筆しています。
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