反社チェックをGoogle検索で行う方法とは?調査範囲や進め方について解説
近年、コンプライアンスの重要性が高まっており、企業では「反社チェック」「コンプライアンスチェック」というキーワードが注目を浴びています。
2007年、法務省が『企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針(以後、企業暴排指針)』を発表し、2011年には全都道府県で暴力団排除条例が施行されています。
こうした政府の動きに伴い、反社に対する監視の目は年々強まっています。
企業におけるコンプライアンス遵守やコーポレートガバナンスを強化するためにも「反社チェック」「コンプライアンスチェック」は極めて重要なのです。
本記事では「反社チェック」「コンプライアンスチェック」をGoogle検索で行う方法に焦点を当てて解説いたします。
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目次[非表示]
- 1.反社チェック・コンプライアンスチェックとは
- 1.1.反社チェック・コンプライアンスチェックが必要な理由
- 1.1.1.政府指針や法律を遵守する
- 1.1.2.不当な要求による実害を防ぐ
- 1.1.3.企業価値の低下を防ぐ
- 2.反社チェックをGoogle検索で行う方法
- 2.1.Google検索で反社チェックを進める基本的な流れ
- 2.1.1.社名と個人名を「語順も含め完全一致」で検索
- 2.1.2.「アンド検索」「オア検索」でチェック
- 2.1.3.気になる情報はローカル環境に保存する(証跡を残す)
- 2.1.4.調査会社・興信所へ依頼する
- 2.1.5.危険度が高い場合は警察や暴追センターに相談
- 2.2.反社チェックをGoogle検索で行う注意点
- 3.まとめ
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反社チェック・コンプライアンスチェックとは
反社とは、反社会的勢力の略で、暴力や威力を用いて経済的利益を得る団体や個人を指します。おもに暴力団、またはそれに準ずる勢力のことです。
例えば、法務省の企業暴排指針によると、次のような勢力が当たるとされています。
- 暴力団
- 暴力団関係企業
- 総会屋
- 社会運動標榜ゴロ
- 政治運動標榜ゴロ
- 特殊知能暴力集団
- 暴力的な要求をする者
- 法的責任を超えた不当な要求をする者
参考:法務省「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」
近年、政府による監視の目が強まったことで、暴力団は企業活動を装ったり、政治・社会活動を標榜する団体を称したりして、組織の実態を巧みに隠ぺいするようになっています。
表向きは一般企業のように見えても、実は反社会的勢力に限りなく近い団体だというケースもあるのです。
そのため企業は「反社チェック」を行って、取引先等が「反社会的勢力であるかどうか」とともに「事件や不祥事の有無」「行政処分を受けた過去」などの調査が求められるようになっています。
関連記事:コンプライアンスとは?わかりやすく・簡単に意味や使い方を解説
反社チェック・コンプライアンスチェックが必要な理由
企業が「反社チェック」をしなければならない理由は下記の3つあります。
- 政府指針や法律を遵守する
- 不当な要求による実害を防ぐ
- 企業価値の低下を防ぐ
1つずつ解説していきます。
政府指針や法律を遵守する
政府や地方自治体は暴力団を徹底的に排除するよう規制を強めています。
その背景にあるのは暴力団の資金源の根絶です。
例えば、暴力団は組織の実態を巧みに装って一般的な企業活動をして資金を得ていたりもします。
これらの規制は、暴力団などとつながりの深い企業の取引を事前に防ぎ、資金の獲得経路を限定することを目的としています。
この目的を達成するためには健全な一般企業による努力も欠かせません。
不当な要求による実害を防ぐ
2020年に全国暴力追放運動推進センター(暴追センター)が発表した『企業を対象とした反社会的勢力との関係遮断に関するアンケート』によると、回答した3123社のうち62社が反社会的勢力から不当な要求を受けたと回答しています。
そのうち38社は、相手をいわゆる一般人だと認識し、相手が何者かわからなかったと回答した企業も13社に及んでいます。
こうした被害にあった企業のなかには1000万円以上の損害を受けたケースもあります。
また、不当要求の内容は「機関紙や書籍、名簿等の購入」「工事発注や下請けとしての参入」など、金銭だけにとどまりません。
こうした要求は健全な企業活動を害するだけでなく、対応した部署や社員にとって精神的な負担にもなります。
参考:全国暴力団追放運動推進センター「令和2年度 企業を対象とした反社会的勢力との関係遮断に関するアンケート」
企業価値の低下を防ぐ
近年は、企業によるコンプライアンス遵守の姿勢が、そのまま企業価値に直結しています。
コンプライアンスに背くような活動が発覚すると、消費者が企業に抱くイメージやブランド力が低下します。
たとえば、上場企業の場合、反社会的勢力との関係が明らかになった段階で上場廃止になることがあります。
こうしたリスクを避けるためにも、企業は反社チェックを定期的に行わなくてはなりません。
関連記事:反社会的勢力に対応するためのガイドライン 反社チェックの基準とは?
反社チェックをGoogle検索で行う方法
企業にとって反社とのかかわりは、法的・社会的に大きなリスクを伴います。
しかし、それをチェックする方法は企業に一任されており、「どうやって調査すればいいのか」という問題が生じます。
一般企業が反社会的勢力・犯罪者・不祥事などの正確な情報を簡単に照会できるシステムは整備されていません。
警察には「暴力団関係者データベース」が存在しますが、その閲覧は容易ではありません。
そこで多くの企業が採用しているのがGoogleなどの検索エンジンを活用した反社チェックです。
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Google検索で反社チェックを進める基本的な流れ
反社チェックは基本的に以下の手段を組み合わせて行われています。
- Googleやyahooなどでインターネット上の情報を検索する
- 新聞記事データを検索する
- 公知情報より独自で収集した反社会的勢力情報データベースを検索する
もともと反社チェックのための情報源ではありませんが、こうしたソースを組み合わせて判断することが求められます。
その第一段階と呼べるのが検索エンジンによる情報の収集です。
特にGoogleの活用法を解説していきます。
社名と個人名を「語順も含め完全一致」で検索
まず検索対象となるのは、社名や代表者名、社内外の取締役名、株主名などです。
Googleの機能でもある「語順も含め完全一致」で、社名と個人名を組み合わせて検索すると、企業のホームページや個人のSNSなどがヒットするでしょう。
その中に反社会的勢力につながるようなキーワードがあるか、あるいは反社会的な行動や言動がないかなどをチェックします。
検索した結果の確認について「社名と代表者名を10ページ目まで」を目安としている会社もあるように、リスクの範囲と工数に基づいて一定のルールを設けておくといいでしょう。
チェックリストでわかる!反社チェックの体制・運用点検リスト
「アンド検索」「オア検索」でチェック
Googleの検索機能には「アンド検索」と「オア検索」があります。
アンド検索:何の記号も付けずに2つ以上のワードを並べて検索すること。
そのワードが含まれる検索結果が表示されます。
オア検索:2つ以上の単語の間に「OR」を付けて検索すること。
入力されたワードのうちいずれかが含まれる検索結果が表示されます。
その際、検索するワードには社名や個人名のほかに、コンプライアンス違反を強く疑わせるようなワードを組み合わせて検索しましょう。
たとえば、次のようなワードが考えられます。
行政指導/行政処分/送検/捜査/逮捕/インサイダー/架空/脱税/申告漏れ/罰金/暴力団/ヤクザ/容疑/反社/事件/違法/違反/疑い/偽装/告訴/スキャンダル/罪/不正/ブラック/釈放/摘発/指名手配/殺人/傷害/詐欺/窃盗/収賄/横領/着服/etc…
こうしたワードの選定は、業界や企業ごとにリスクの重要度が異なるので、あらかじめ検索するリストをつくっておいたほうがいいでしょう。
また、普通に単語を記入して検索すると「単語の一部が使われた、似たような検索語での検索結果」も表示され、情報が煩雑になります。
そこで会社名や個人名だけ完全一致で検索したい場合には、ワードを「“ ”」で囲むと、そのワードが含まれた情報だけを確実に検索できます。
気になる情報はローカル環境に保存する(証跡を残す)
検索によってコンプライアンス違反が疑われるような情報が見つかったら、そのページなどをローカル環境に保存しておくことが大切です。
ただし、URLだとページがなくなってしまうこともあるので、スクリーンショットの機能などを活用してPDFや画像形式で保存しておくといいでしょう。
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調査会社・興信所へ依頼する
Google検索によって、かなり疑わしいと思われる場合は、より精度の高い情報を得るために調査会社や興信所などに依頼することも考えられます。
また、反社チェックを行う部署は、実際に相手方と接触している営業部などの社員とも連携を取って、先方の印象なども調査しておくといいでしょう。
危険度が高い場合は警察や暴追センターに相談
検索や社内チェックなどで危険度が高いと判断される材料がそろった場合は、確認したい取引先の氏名、生年月日(可能であれば住所)がわかる資料を用意して警察や暴追センターに相談しましょう。
自社だけで判断して契約を解除したりすると、不当な契約解除だとして損害賠償請求訴訟を受ける可能性もあります。
手続きは大変ですが、実害を避けるためにも大切なステップになります。
関連記事:反社チェック・コンプライアンスチェックの具体的な方法とは?
反社チェックをGoogle検索で行う注意点
Google検索は技術的に簡単かつ、無料で行える点がメリットです。
しかし、それだけに精度が高い情報かどうかを見極めるのが困難です。
インターネット上の記事は削除されることがあります。
検索結果がインターネットに依存しているので、過去に報道された事実があったとしても検索結果に表示されず、見過ごしてしまう可能性もあります。
また、全て手作業となり作業工数や人的コストがかさみます。
反社チェックは不利益を未然に防ぐ作業ですので、健全な利益を生む活動ではありません。
Google検索で反社チェックを行う際には、検索だけで終わらせるのではなく、新聞記事検索ツールや国会図書館などの機関で新聞記事などのチェックも必要になります。
Google検索は、あくまで「インターネットに公開されている情報」だけを収集する方法です。
得られる情報は限られているということを忘れてはいけません。
どうしても作業が煩雑で工数が取られてしまったり、反社チェック自体の精度がどうなのか不安になってきてしまいます。
そんなときは反社チェック専用ツールの導入も検討して、自社のリスク管理に努めることが大事です。
関連記事:企業を守る反社チェックとは 知っておくべき概要と具体的なやり方
まとめ
コンプライアンス意識が高まった現代において、反社チェックは企業の義務のようなものになっています。
反社チェックにミスが発生すると、消費者の信用が低下したり、最悪の場合は行政処分などが課されるリスクも高まります。
特に上場企業やIPO準備企業では、上場審査の過程で反社チェック体制構築を求められます。
新規取引先候補の初期スクリーニング(関与チェック)や、既存取引先に対する定期的なスクリーニングを行い、反社会的勢力と関わりを持たないように徹底されています。
求められる精度は高いにもかかわらず、企業にとって利益を生む活動ではなく、手間とコストばかりがかかります。
企業の立場によっても捉え方は千差万別ですが、より大きな成長を狙うのであれば、Google検索から始めて、反社チェックのノウハウを積み重ねていくことも大切ではないでしょうか。
関連記事:IPO準備にはなぜ反社チェック(コンプライアンスチェック)が必要なのか?上場基準の反社会的勢力排除の体制づくりについて解説
関連記事:コンプライアンス・リスクとは?リスク管理方法とフローを解