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与信調査は失礼にあたる?信頼関係を崩さず調査する方法

信用取引(掛売り取引)をするにあたって取引先の支払い能力を調べる与信調査は、売掛金の回収不能による連鎖倒産などを避けるために必要なリスク管理です。

しかし、今後の取引拡大を期待し、良好な関係を維持したい取引相手を調査することをためらう気持ちも生じます。
その気持ちは分かりますが、必要な与信調査をスルーすることは許されません。
この記事では、取引先との信頼関係を崩さずに信用調査をする方法を分かりやすく解説しています。

次のような悩みや疑問をお持ちの企業はぜひ参考にしてください。

  • 与信調査で注意すべきポイントは何か?
  • 与信調査にはどんな種類があり、相手に伝わらないのはどの調査か?
  • 信頼関係を崩さずに与信調査をするポイントは何か?

【参考】より深く知るための『オススメ』コラム

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目次[非表示]

  1. 1.そもそも与信調査とは?
    1. 1.1.与信調査で注意すべきポイント
      1. 1.1.1.資産・財務状況
      2. 1.1.2.売上収入
      3. 1.1.3.信用度
  2. 2.与信調査は失礼にあたる?様々な調査方法から解説
    1. 2.1.与信調査が相手に伝わらない方法
      1. 2.1.1.内部調査(社内調査)
    2. 2.2.与信調査が相手に伝わる方法
      1. 2.2.1.直接調査
    3. 2.3.与信調査が相手に伝わる可能性がある方法
      1. 2.3.1.外部調査
      2. 2.3.2.依頼調査
    4. 2.4.相手方に伝わらない調査方法を取る
    5. 2.5.信頼できる調査会社へ依頼する
    6. 2.6.調査の内容を外部に漏らさない
  3. 3.与信調査と合わせてやっておきたい反社チェックとは
  4. 4.まとめ

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そもそも与信調査とは?

そもそも与信調査とは?

与信調査とは、信用取引(掛売り)をする際に、代金が回収不能にならないように取引先の支払い能力を調査することです。
取引先ごとに、どの程度の金額まで信用取引が可能かを、さまざまな情報に基づいて調査します。

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与信調査で注意すべきポイント

与信調査で注意すべきポイントは、資産や財務状況はもちろん、数字には現れない企業風土から分かる信用度があります。
1つずつ確認していきましょう。

資産・財務状況

調査対象の資産・財務状況は、与信調査のベースとなる情報です。
上場企業は毎年公表される財務諸表で、損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書を確認することができます。

非上場企業には、財務諸表の公表義務はないので、企業のHP、決算公告、会社四季報の未上場会社版などから、知り得る限りの情報を集めます。

売上収入

損益計算書の売上高、売上総利益(粗利益)、経常利益は、とくに注意して確認が必要です。
売上や収入と不釣り合いな額の引き合いや注文に対しては、慎重な与信調査が必要になります。

信用度

会社の信用度は数字だけでは判断できません。
近年は企業コンプライアンスに対する世間の目が厳しくなっているので、好業績の企業が不祥事で消費者の信頼を失い、一気に経営不振に陥ることも珍しくありません。

経営者の人柄、従業員に対する処遇、組織風土などにも注意が求められます。
もちろん、反社会的勢力に関係がある企業と取引しないための反社チェックも必要です。

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与信調査は失礼にあたる?様々な調査方法から解説

与信調査は失礼にあたる?様々な調査方法から解説

自社の経営に影響を与える多額の信用取引の前に与信調査を行うのは当然で、けっして失礼には当たりません。

ただし、相手に「調査します」と通告する必要はなく、メリットもありません。
誰しも、信用調査すると言われて気持ちが良いわけはないので、できるだけ相手に知られない方法で調査するのがマナーです。

与信調査が相手に伝わらない方法

与信調査していることが相手に伝わる可能性がないのは内部調査(社内調査)です。
詳しくみていきましょう。

内部調査(社内調査)

内部調査とは取引実績を経理で確認し、営業担当者からは対象企業に接触したときの印象や会社の雰囲気などを聴き取り調査することです。
調査対象が現在または過去の取引先の場合に有効です。

直接の取引実績がない場合でも、営業部員などが業界のウワサとして対象企業について何かを耳にしている場合もあります。
内部調査は相手に知られることがなく、費用もかかりませんが、自社が接触した範囲での情報しか入手できません。

与信調査が相手に伝わる方法

対象企業を訪問して調べる直接調査は「与信調査にうかがった」とは言わないにしても、訪問のタイミングからその意図が伝わる調査方法です。

直接調査

直接調査とは引き合いの内容確認やご挨拶などの名目で、直接対象企業を訪問して調査する方法です。
先方の経営者や担当者と面談して、その受け答えの内容や印象から信用度を測ります。

オフィス内の様子、従業員の態度なども判断材料のひとつです。
意地悪な観察のようですが、中庭の雑草が伸び放題、工場の外回りが乱雑だ、などはマイナス要因になります。

会話の中でなら、話の流れによって最近の売上や景気などについて聞くことも可能です。
ただし、その返答が正直なものとは限りません。
電話やFAXによる問い合わせも直接調査のひとつですが、FAXでストレートに信用調査的な項目を聞くのはまさに失礼に当たり、相手に不快な思いをさせることになります。

与信調査が相手に伝わる可能性がある方法

基本的に外部調査は調査対象に伝わるものではありませんが、外部調査の1種である「側面調査」と、専門家に依頼する「依頼調査」では場合によっては相手に信用調査をしていることが伝わる可能性があります。
ここでは外部調査と依頼調査について解説します。

外部調査

外部調査には下記の3つがあります。

  • 側面調査
  • 官公庁調査
  • 検索調査

側面調査は、上記の直接調査とセットで行う調査で、いわば直接調査の「裏取り」です。
裏付け調査とも呼ばれます。

側面調査の調査先・情報源は、調査対象の同業者、自社が取引している金融機関の担当者、調査対象企業のオフィスの近隣住民などです。
情報源と対象企業の関係性によっては「〇〇社が御社のことを聞いてきたよ」と、相手に信用調査していることが伝わる可能性があります。

官公庁調査は、対象企業の商業登記簿や不動産登記簿を閲覧する調査です。
どちらも一般に公表されており、誰でも閲覧することができます。
閲覧した事実が相手に知られることもありません。
商業登記簿には、商号・本店所在地・資本金・役員などが記載されており、商号や本店所在地の変更履歴なども確認できます。
不動産登記簿には、所有者や設定されている担保権の内容、差押の有無などが記載されています。

検索調査は、インターネット上の公開情報や調査会社が構築したデータベースを検索する調査方法です。
企業名や代表者名でネット検索すると、対象企業のHPが表示される他に、就職関係のサイトで企業の評判や口コミを見ることもできます。
法令違反やコンプライアンス違反などのネガティブ情報がヒットすることもあります。

有料になりますが、帝国データバンク、東京商工リサーチなどのデータベースを検索すると多くの情報が得られます。
2社以外にも調査会社が独自に収集したデータベースも利用可能です。

依頼調査

依頼調査は専門の調査会社に調査を依頼する方法です。
代表的な調査会社には帝国データバンクと東京商工リサーチがあります。
この2社は全国にいる調査員が対象企業を訪問して調査します。

調査員が調査の依頼主を相手に告げることはありませんが、調査が入ったタイミングから依頼主が推測される可能性があります。
探偵事務所などの調査会社は訪問調査を行うのはまれで、各社が培ったノウハウで周辺調査をするのが主です。

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相手方に伝わらない調査方法を取る

内部調査、官公庁調査、検索調査で結論が出せれば、相手に信用調査したことは伝わりません。
側面調査は、聞き合わせる情報源によっては相手に伝わる可能性があるので、情報提供者の選定は慎重に行う必要があります。

信頼できる調査会社へ依頼する

帝国データバンクと東京商工リサーチは、調査員が相手企業を訪問して調査するので、相手に依頼主が推定される可能性が高いと言えます。
ただし、訓練された調査員が訪問するので、相手の感情を害するリスクは大きくありません。

探偵事務所などの調査会社は、側面調査、周辺調査が主となります。
調査のマナーなどに問題があると良くない形で相手に伝わり、信頼関係を壊す恐れがあります。
依頼調査は、信頼できる調査会社へ依頼するのが肝心です。

調査の内容を外部に漏らさない

ある企業について信用調査を行っていることを、第三者に漏らすのは絶対にしてはならないNG行為です。
調査内容はもちろん、調査していることも第三者に話すべきではありません。

相手企業は第三者からその事実を聞くと、不快に思うだけでなくビジネスマナーに欠ける会社と判断することになります。

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与信調査と合わせてやっておきたい反社チェックとは

与信調査と合わせてやっておきたい反社チェックとは

与信調査では、対象企業の支払い能力だけでなく、企業コンプライアンスを守っている会社かどうかの調査も必要です。
なぜなら、コンプライアンス違反によって消費者の信用を失った企業は、それまでの業績がどんなに良くても、会社が存続できないほど一気に業績が下がる可能性があるからです。

コンプライアンスに関するチェックの中でも最低限必要なのが「反社チェック」です。
反社チェックとは、取引先や社員に反社会的勢力と関わりを持つ人物がいないかをチェックすることです。

企業には「暴力団排除条例」によって反社会的勢力とのかかわりを排除する努力義務が課せられており、これに違反することは重大なコンプライアンス違反となります。
上場企業の場合は上場廃止になる可能性もあります。

このようなコンプライアンス・リスクを避けるためには、新たな取引先と契約する前や社員を採用する前に反社チェックが必要です。
チェック方法には、自社で新聞記事のデータやインターネット上の情報を検索する方法や、独自に収集した反社会的勢力情報データベースを提供するサービスを利用する方法があります。
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まとめ

与信調査そのものは、けっして相手企業に失礼あたる企業行為ではありません。
しかし、いわば相手の懐具合を確かめるセンシティブな行為なので、それなりのマナーが必要なのはもちろん、相手に知られない方法で調査が完了すればそれに越したことはありません。

どの調査を選択するかはケースバイケースですが、相手企業を尊重する気持ちとリスク回避のために厳正に調査する態度の両方が必要です。
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佐々木 雄輝
佐々木 雄輝
2022年にソーシャルワイヤー株式会社に入社。 反社チェックサービス『RISK EYES』のマーケティング施策の企画立案を担当。
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