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不動産取引における反社チェックの重要性 仲介業者の義務はどこまでなのか?

暴力団などの反社会的勢力の取り締まりにおいて、反社に活動拠点を与えないことが最重要項目の1つになっています。
各都道府県の暴力団排除条例でも、不動産契約における反社条項の設置を義務付ける他に、不動産仲介業者にも反社チェックを要請または義務づけています。

この記事では、不動産取引における反社チェックの重要性とチェックの具体的方法について解説しています。
仲介業者に求められる調査の内容と範囲についても解説しているので参考にしてください。

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👉企業を守る反社チェックとは 知っておくべき概要と具体的なやり方

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目次[非表示]

  1. 1.不動産取引における反社チェックとは
    1. 1.1.不動産取引で反社チェックが必要な理由
      1. 1.1.1.国による指針の存在
      2. 1.1.2.各都道府県で施行されている暴力団排除条例
      3. 1.1.3.不動産協会による反社会的勢力排除の取り組み
    2. 1.2.不動産取引における反社チェックの重要性
  2. 2.不動産取引における反社チェックの具体的なやり方
    1. 2.1.身分証明書の原本確認
    2. 2.2.業界団体のデータベースの利用
    3. 2.3.新聞記事やWEBによる検索
    4. 2.4.警察や暴追センターに問い合わせる
  3. 3.仲介業者の調査義務の範囲はどのくらいか?
  4. 4.不動産取引の種類別による契約書に盛り込む反社条項の違い
    1. 4.1.売買契約時の契約書
    2. 4.2.賃貸契約時の契約書
    3. 4.3.媒介契約時の契約書
  5. 5.まとめ

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不動産取引における反社チェックとは

不動産取引における反社チェックとは

不動産取引における反社チェックとは、不動産の売買契約や賃貸契約を結ぼうとする個人や企業が反社会的勢力に関わっていないかを確認する作業です。

主として不動産の買い手や借り手が反社でないかをチェックしますが、売り手や貸し手も反社チェックの対象です。
不動産仲介業者は、契約者双方について反社チェックを行う義務があります。

不動産取引で反社チェックが必要な理由

暴力団など反社会的勢力の排除は、国民的なコンセンサスになっていますが、企業に対しては、国の指針や条例、業界の方針においても反社チェックが要請されています。

国による指針の存在

法務省は2007年に「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」を発表しました。
指針に法的拘束力はありませんが、企業に次のような姿勢と行動を求めています。

  • 反社会的勢力との関係遮断を、内部統制システムのリスク管理事項として明記するとともに、社内規則にも規定する
  • 企業が使用する契約書や取引約款に暴力団排除条項を盛り込む
  • 契約の相手方に対して「自分が反社会的勢力でない」旨の申告を求める条項を設け、違反した場合に「不実の告知」があったとして契約解除できるようにする

参照:企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針​​​​​

各都道府県で施行されている暴力団排除条例

すべての都道府県が2009年から数年のうちに、暴力団排除条例を制定しました。
内容は自治体によって異なりますが、どの条例も不動産の譲渡に関して反社勢力に便宜を提供してはならないことが定められています。
不動産売買の仲介業者に対しても、契約者に反社排除の教示や助言を行うことが義務づけられました。

例えば大阪府は、暴力団排除条例の第二十条に下記のように定めています。

不動産の譲渡等の代理又は媒介をする者は、当該譲渡等に係る契約の当事者の一方又は双方に対し、前条の規定の遵守に関し助言その他の必要な措置を講じなければならない。

引用元:大阪府暴力団排除条例

不動産協会による反社会的勢力排除の取り組み

不動産協会は、会員企業の不動産取引の契約において盛り込むべき「反社会的勢力排除条項例(売買契約・賃貸借契約)」を決定しました。
この決定により、協会会員の不動産業者は仲介する物件の契約書に「排除条項」を盛り込むことが義務づけられました。

また、売買契約では違反があった場合は元の持ち主に売却しなければならない「再売買の予約」を盛り込むことが必要です。
賃貸借契約では、付近の住民や通行人に不安を覚えさせる言動も違反となることを契約書に盛り込む必要があります。

参照:不動産協会

不動産取引における反社チェックの重要性

反社会的勢力の不法行為を取り締まるうえで、活動の拠点となる不動産を所有または利用させないことは非常に重要です。
銀行口座を作らせない、車を所有させないに加えて、不動産を利用させないことで、反社の活動を締めつけていくのが取り締まりの三本柱になっています。

企業にとっての反社チェックの重要性には下記があります。

  • 反社と契約した場合に生じる可能性があるトラブルや被害を未然に防ぐ
  • 反社との契約を禁止する国の指針や都道府県の条例、業界の方針を守る
  • 反社と関係を持つコンプライアンス違反によって、世間の批判を招き、企業価値が低下するのを防ぐ

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不動産取引における反社チェックの具体的なやり方

不動産取引における反社チェックの具体的なやり方

反社は当然ながら身分を隠して不動産契約をしようとします。
最近では外見や言葉づかいで反社と識別するのは難しいので、下記のような方法で確認する必要があります。

  • 身分証明書の原本確認
  • 業界団体のデータベースの利用
  • 新聞記事やWEBによる検索
  • 警察や暴追センターに問い合わせる

身分証明書の原本確認

契約の申込者が本名・本人であるかの確認がすべてのチェックの土台になります。
運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどの写真つきの身分証明書を原本で確認することで、本人確認が取れます。

原本提示を拒否した場合は、文書偽造や反社の疑いが濃厚になります。
提示された原本は必ずコピーを取っておきましょう。

本人確認が取れたら、さらに預金通帳を確認するのが有効なチェック手段です。
金融機関は反社勢力に預金口座を作らせないからです。通帳の提示を拒むようなら反社の可能性が高くなります。

また、金融機関の反社チェックをすり抜けて預金口座を持っていたとしても、通帳に記された取引内容を見られるのを嫌がって、原本の提示は拒むのが普通です。
通帳の表紙だけを見せてしまい込もうとするなど、怪しいそぶりが出がちです。

業界団体のデータベースの利用

チェック対象が企業の場合は、飲食業、建設業、運輸業など自社事業の業界団体に加入しているのが一般的です。
該当する業界団体に問い合わせることで、業界のデータベースを照会できる可能性があります。どの業界団体にも加入していないとすれば、それ自体が怪しいと言えます。

また、国土交通省や都道府県は、建設業、不動産業などの許認可事業の行政処分情報を提供しており、チェック対象にネガティブ情報があればヒットします。

参考:国土交通省ネガティブ情報等検索システム
   都道府県が行った監督処分情報

新聞記事やWEBによる検索

本人確認が取れた代表者氏名や企業名で、新聞記事データベースやWeb記事を検索すると、ネガティブ情報がヒットすることがあります。
朝日・毎日・読売・日経などの大新聞のデータベースは国会図書館で閲覧できるほかに、各地の公共図書館でも閲覧できる場合があります。

参考:国会図書館「新聞記事データベースの使い方

警察や暴追センターに問い合わせる

上記のチェックで反社の疑いが濃厚になった場合は、警察や各都道府県の全国暴力追放運動推進センターに問い合わせることが可能です。
問い合わせるときは、それまでの調査状況を説明して情報開示を依頼しましょう。

参考:全国暴力追放運動推進センター

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仲介業者の調査義務の範囲はどのくらいか?

仲介業者の調査義務の範囲はどのくらいか?

仲介業者の調査義務の範囲は、明確に定められてはいません。
しかし、ほとんどの都道府県条例が暴力団事務所に使われると知っている物件の仲介をすることを禁じているので、身分証明書の原本による本人確認は最低限行う必要があります。

氏名や社名から簡単に判明する反社との契約を仲介した場合は、調査義務を怠ったと見なされる可能性があります。
対象物件の近所に暴力団員風の人物が出入りしているなどの噂がある場合は、近隣嫌悪施設の存在が告知事項なので、調査を行う必要があります。

仲介業者が調査義務を怠ったと契約者の一方が判断すると、損害賠償請求の訴えを起こされる可能性があります。

参考:「反社会的勢力排除条項」について-東京都宅建協会

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不動産取引の種類別による契約書に盛り込む反社条項の違い

不動産取引の種類別による契約書に盛り込む反社条項の違い 契約書に盛り込む反社条項は、取引の種類(売買契約・賃貸契約・媒介契約)によって内容が多少変わってきます。国土交通省が公表しているモデル条項例にしたがって、それぞれのポイントを紹介します。

売買契約時の契約書

売買契約書に盛り込むべき条項のポイントとして下記があげられています。

  1. 反社勢力でないこと、反社勢力に名義を貸さないこと、契約に際して威力を用いないことを確約する
  2. 上記1に反した場合、催告なしに契約を解除できる
  3. 反社勢力の拠点として本物件を提供しない
  4. 契約を解除されたものは違約金を支払う(売買代金の20%相当額)
  5. 違約金の他に、違約罰を制裁金として支払う(売買代金の80%相当額)

参考:売買契約書 モデル条項例

賃貸契約時の契約書

賃貸契約書に盛り込むべき条項のポイントとして下記があげられています。

  1. 反社勢力でないこと、反社勢力に名義を貸さないこと、脅迫的な言動や暴力用いないことを確約する
  2. 本物件を反社会的勢力の拠点に供しない。また本物件の周辺で乱暴な言動を行い、付近の住民や通行人に不安を覚えさせない
  3. 上記1、2に違反した場合は、催告なしに契約を解除できる

参考:賃貸住宅契約書 モデル条項例

媒介契約時の契約書

仲介業者が契約書を作成する場合も、基本的内容は上記2例と変わりません。契約書では、契約者双方に対して反社条項の確約を求め、違反した場合の契約解除について明記します。

参考:媒介契約書 モデル条項例

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まとめ

反社に不動産を提供しないのは反社排除の最重要施策の1つで、国の指針、都道府県の暴力団排除条例、不動産協会の取り組みにも明記されています。反社に不動産を提供しないためには、契約書に反社条項を盛り込むことが基本です。その上で、反社条項をすり抜けようとする虚偽申告をチェックする必要があります。

不動産取引における反社チェックの具体的方法には次のようなものがあります。

  • 身分証明書の原本確認
  • 業界団体のデータベースの利用
  • 新聞記事やWEBによる検索
  • 警察や暴追センターに問い合わせる

反社チェックにおける仲介業者の調査義務の範囲は、明確に定められてはいませんが、企業コンプライアンスの上からも、契約者に対するできるだけ誠実な対応が求められています。

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佐々木 雄輝
佐々木 雄輝
2022年にソーシャルワイヤー株式会社に入社。 反社チェックサービス『RISK EYES』のマーケティング施策の企画立案を担当。
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