バックグラウンドチェックと在籍確認が必要な理由を詳しく解説
多くの企業で人材の中途採用が増えている現代において、採用を効率的かつ精度を上げて行うことは重要なポイントになっています。
また最近では、企業のコンプライアンスも重要視され、反社会的勢力の関係者はもちろん、企業に悪影響やリスクをもたらす人材を採用時に見抜くことも大切になっています。
この記事では、在籍確認をはじめとしたバックグラウンドチェックが必要な理由と、その重要性を解説していきます。
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目次[非表示]
- 1.バックグラウンドチェックとは?
- 2.バックグラウンドチェックで調査する内容
- 2.1.学歴
- 2.2.職歴(在籍確認)
- 2.3.反社チェック
- 2.4.採用候補者の前職・現職での勤務状況や勤務態度
- 2.5.破産歴・民事訴訟歴
- 2.6.インターネットの調査
- 3.バックグラウンドチェック・在籍確認はなぜ必要なのか
- 4.採用時に行うべき反社チェック
- 5.まとめ
バックグラウンドチェックとは?
バックグラウンドチェックは「雇用調査」「採用調査」とも呼ばれていて、採用選考時に行う身元調査のことです。
候補者の経歴を幅広く調査し、経歴などに詐称がないかを確認します。
日本ではまだ導入されていない企業が多いですが、外資系企業では約95%以上がすでに導入しています。
また、アメリカでは約19%の人が実際に経歴詐称をしたことがあるという調査結果も出ており、バックグラウンドチェックの重要性を感じさせられます。
バックグラウンドチェックの目的
バックグラウンドチェックの目的は簡単にまとめると2つで、経歴詐称がないかを確認すること、企業にあった人材を採用することです。
候補者は自身にとってマイナスな要素を隠したり、良いように書き換えたりしていることがあり、書類や面接だけでは隠している事実を確認することはほぼ不可能に近いです。
反社会的勢力と関わりのある人物など、企業にとってリスクのある人材を採用時に見極め、企業リスクを排除することは企業にとって必要不可欠です。
またバックグラウンドチェックを行うことで、採用候補者の能力や実際の勤務状況なども確認でき、自社にあった人物かどうかを第三者目線の意見も含めて判断できるので、双方にとってプラスになる人材採用が進められます。
バックグラウンドチェックを実施するタイミングと期間
バックグラウンドチェックを行うタイミングに定めはありませんが、基本的には最終面接の前後など、内定前に行います。
内定後や入社後に行うことも可能ですが、内定=労働契約の成立になるので、もし調査結果に問題があった場合でも、解雇することは難しいと思ったほうが良いでしょう。
また、実施するタイミングに関わらず、事前に採用候補者の同意を得る必要があります。
バックグラウンドチェックにかかる期間は、調査内容や調査方法によって多少の差はありますが、3日~1週間程度です。
調査に必要な書類等が採用候補者の手元に用意できているかどうかや、調査の確認先からの回答のスピードなどによっても変動するので、余裕をもって調査を行うことを推奨します。
関連記事:バックグラウンドチェックとは?リファレンスチェックとの違いも解説
バックグラウンドチェックで調査する内容
バックグラウンドチェックで調査する内容は、主に以下の6つです。
- 学歴
- 職歴
- 反社チェック
- 採用候補者の前職・現職での勤務状況や勤務態度
- 破産歴・民事訴訟歴
- インターネットの調査
個人情報保護法の観点から、業務上必要な情報以外は調査してはいけません。
例えば、「国籍」「信仰」「病歴」などは、本人の許可なく入手してはいけない情報となっています。
調査を依頼する際は、コンプライアンス体制がしっかりした調査会社を選定し、違法調査にならないようにすることが重要です。
調査項目6つの内容を詳しく説明していきます。
関連記事:反社会的勢力に該当する人物の家族・親族との取引や雇用は可能なのか?
学歴
学歴調査は、履歴書に記載されている学歴に詐称がないかを確認します。
卒業証明書を提出してもらったり、学校に在籍確認を行ったりします。
ただ、個人情報保護の観点から、学校側が第三者からの照会に応じてくれないことも多いです。
学歴調査を行った際、在籍していた学部や卒業年月、休学情報などに詐称があった場合でも、経歴詐称ということになります。
職歴(在籍確認)
職歴の調査は、履歴書のほかに職務経歴書の提出を依頼し内容を確認したり、勤務先に在籍確認を行い、雇用形態、在籍期間、職務内容やポジションなどについて確認したりします。
また、休職期間については、入社・退職などのように職歴記載欄に記載が求められていないため、休職についてあえて申告する採用候補者は少なく、調査が必要な項目になります。
在籍確認が難しい場合は、源泉徴収票や雇用保険加入履歴、国民年金加入履歴と照合して調査することもできます。
反社チェック
採用候補者が、反社会的勢力と関係を持っていないかを確認する項目です。
反社会的勢力は「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」と定義されており、暴力団以外にも半グレや詐欺集団なども含まれるため、書類や面接のみで関わりがないかを確認するのは容易ではありません。
反社会的勢力との関わりがないかと合わせて、犯罪への関与の有無も調査をするのが好ましいですが、犯罪歴の調査は職業安定法に抵触する可能性があるため、注意が必要です。
関連記事:反社チェックは義務なのか?反社会的勢力に関わる法令やチェックの方法を解説
採用候補者の前職・現職での勤務状況や勤務態度
この項目は「リファレンスチェック」とも呼ばれていて、第三者目線の意見を収集することが目的です。
採用候補者の前職・現職の上司や同僚などにヒアリングして、勤務態度や勤務状況などを確認します。
候補者がヒアリング先を指定できることが一般的で、対面インタビューやメールでの調査、電話でのヒアリングを行う場合や、最近ではオンラインで行うことも増えています。
社内トラブルなどのマイナスな情報がないかを確認できるだけでなく、候補者の働きぶりなどを第三者目線から聞くことができるので、社内で貢献していた採用候補者などにとってもメリットがあると言えます。
破産歴・民事訴訟歴
候補者が過去に破産手続きを経験しているか、民事訴訟歴がないかを調査します。
破産歴は官報で公開されているため情報の確認ができますが、民事訴訟歴は公的機関ではデータベース化されていないので、主に調査会社に委託して独自のデータベースで確認をしてもらいます。
インターネットの調査
インターネットで採用候補者の情報を調査し、逮捕歴やネガティブな情報がないかの確認や、SNSを調べて不適切な発言などがないかも調査することが増えています。
SNSの発達によって、従業員の発信が拡散され企業が倒産に至るようなケースも度々発生しているため、現代において必要な調査項目になっています。
関連記事:バックグラウンドチェックはどこまで調査が必要なのか?採用ターゲット層に合わせた調査とは
バックグラウンドチェック・在籍確認はなぜ必要なのか
バックグラウンドチェックには様々な調査項目がありますが、その中でも在籍確認がなぜ必要なのかに重点を置いて解説します。
書類や面接時の内容に虚偽がないか確認するため
経歴に虚偽がないかを確認することが、在籍確認が必要な最大の理由です。
「ちょっとくらいバレないだろう」と在籍期間や在籍の学部、取得単位を書き換えたり、勤務先でのポジションや職務内容を書き換えたりすることは少なくありません。
学校や職場に在籍確認を行い、正しい経歴を確認することが大切です。
また、学歴や職歴の詐称があった場合は、内定後でも解雇が可能なケースがあります。
職務経歴に関して、第三者目線の意見を得るため
履歴書を確認し、たった1時間程度の面接を行っただけでは、採用候補者のすべてはわかりません。
勤務先に在籍確認を行うことで偽りのない情報を得ることできます。
また、勤務先への在籍確認を行う際、経歴の事実確認と一緒に、候補者の活躍ぶりやスキルのレベル、人柄、勤務状況なども確認し、第三者目線からの意見を収集するのがおススメです。
より詳しい勤務状況や勤務態度などを確認したい場合は、リファレンスチェックを行うと良いでしょう。
会社に不利益を与えるリスクがないか確認するため
もしも勤務していた業務内容や学歴の専攻などに虚偽があった場合、企業が求めている人材と異なる能力の人材を採用してしまう恐れがあります。
そうなると「期待していた能力値がなく仕事が回らない」など、会社にとって不利益になることはもちろん、採用候補者にとってもマイナスになりかねません。
また、そもそも経歴の詐称をするような人材は、会社に不利益を与えるリスクを持っている人材とも言えます。
在籍確認を行い、双方が信頼と安心をもって採用するのが良いでしょう。
関連記事:バックグラウンドチェックは拒否できる?企業側の対策方法も解説
採用時に行うべき反社チェック
採用時に在籍確認やバックグラウンドチェックは重要ですが、採用候補者からの印象や、バックグラウンドチェックの実施によって候補者が減るなどの心配もあるでしょう。
そういった場合におすすめなのが反社チェックです。
反社チェックは、対象者が反社会的勢力と関わりがないかを調査することで、企業に反社会的勢力の関係者が入り込まないために必要なチェックです。
反社チェックを行う方法は主に、インターネットや新聞などの公知情報を検索する方法、調査会社・興信所へ依頼する方法、警察や暴追センターに相談する方法、反社チェックツールを導入する方法などがあります。
それぞれの方法によって、チェックの精度やコストも違ってくるので、自社にあった調査方法を選ぶのが良いでしょう。
反社会的勢力と関わりがあった場合、勧告や処分が下される可能性だけでなく、関係が露見した場合には世間からの信用を失墜する恐れもあります。
バックグラウンドチェックを行わない場合でも、最低限反社チェックは行うことを推奨します。
関連記事:【弁護士解説】反社排除における企業リスク 反社チェックを行うべき7つのポイント
まとめ
企業で採用を行う際は、在籍確認を含むバックグラウンドチェックも行いましょう。
経歴詐称がないか、会社にフィットする人材かどうかを見極め、採用時の企業リスクを軽減させることが重要になってきます。
また、バックグラウンドチェックの調査項目はいくつかありますが、学校・職場への在籍確認を行うことで、信頼して人材を採用することにもつながります。
バックグラウンドチェックを導入して、企業にとってメリットのある人材採用を進めてみてはいかがでしょうか。
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