レピュテーションリスクの意味とは?リスクの種類と原因、回避する方法も解説
レピュテーションリスクは近年重要視されるようになり、企業活動を行う上で理解していることが必須になっている項目です。
なんとなくイメージはできるけれど、正しくは理解していない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、レピュテーションリスクの意味を解説し、リスクの種類を7つ紹介します。
また、リスクの原因になる事象やリスクを回避する方法も解説していきます。
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目次[非表示]
- 1.レピュテーションリスクとは
- 1.1.レピュテーションリスクの意味
- 1.2.レピュテーションリスクが注視される背景
- 1.3.オペレーショナルリスク・ブランドとの違い
- 2.レピュテーションリスクの種類
- 2.1.製品・サービスへの悪評
- 2.2.技術革新の失敗
- 2.3.職場の環境づくり
- 2.4.ガバナンスの失敗
- 2.5.優秀な人材の確保・維持の失敗
- 2.6.市民活動失敗
- 2.7.パフォーマンスの停滞・低下
- 3.レピュテーションリスクが顕在化する原因
- 3.1.内部告発
- 3.2.顧客からのクレーム
- 3.3.経営陣・従業員による不祥事
- 3.4.根拠のない風評被害
- 3.5.行政処分・行政指導
- 4.レピュテーションリスクを回避する方法
- 4.1.社内規則とマニュアルを整備する
- 4.2.従業員に対して研修を行う
- 4.3.監視体制の強化
- 4.4.労働環境の改善
- 5.レピュテーションリスクを顕在化させないために有効な反社チェック(コンプライアンスチェック)
- 6.まとめ
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レピュテーションリスクとは
そもそもレピュテーションリスクとは何なのか意味を解説し、レピュテーションリスクが注視されるようになった背景、類義語との違いについても紹介します。
レピュテーションリスクの意味
レピュテーションは日本語で「評価」「評判」を意味します。
つまり、評価や評判が下がってしまうリスクを指す言葉ですが、企業活動においてのレピュテーションリスクは、自社に関するネガティブな情報が拡散され、企業価値やブランド、世間からの信用が低下してしまうリスクのことです。
レピュテーションリスクが注視される背景
レピュテーションリスクが注視される背景として1番に出てくるのが、情報通信網が発達しSNSが浸透したことです。
インターネットが普及したことで、企業の認知度の向上や、口コミによって商品やサービスが拡散されるというメリットがある反面、ネガティブな情報や悪評も拡散されやすく、企業の信用が一気に失墜してしまうリスクも抱えています。
また、1度失った信用を取り戻すのは容易ではないため、そのまま倒産に至るケースも少なくありません。
関連記事:レピュテーションリスクとは?企業への影響や対策方法を解説!
オペレーショナルリスク・ブランドとの違い
企業が抱えるリスクとしてレピュテーションリスクと同じように耳にする言葉に、「オペレーショナルリスク」があります。
オペレーショナルリスクは、「すべての企業に存在する、運営する事業関わるリスク全般」のことです。
つまりレピュテーションリスクは、不祥事などによって企業の評判が失墜するというリスクを指すのに対し、オペレーショナルリスクは、レピュテーションリスクも含めた幅広いリスクのことを意味します。
例としては、システムの不具合によるリスクや、保有している資産の価値が下落するリスク、 従業員の人為的ミスによるリスクなどがあります。
「ブランド」は様々な解釈があり定義があいまいな言葉ですが、企業の「信用」や「評判」に焦点を当てた言葉として使われ、企業の世間からの評判や、世間からの企業に対するイメージ・信用といったものが基本になっている点はレピュテーションと同じです。
はっきりとした区別はありませんが、レピュテーションは世間など評価する側が主軸となるのに対し、ブランドは企業側から価値を演出することで確立されるものです。
つまり、レピュテーションは「企業が世間から見られている姿」であるのに対して、ブランドは「企業が世間に演出している姿」と区別することができます。
関連記事:レピュテーションリスクとなりうる事例や回避方法を解説
レピュテーションリスクの種類
レピュテーションリスクは以下の7つに分けることができます。
- 製品・サービス
- 革新
- 職場
- ガバナンス
- リーダーシップ
- 市民
- パフォーマンス
参考:『レピュテーション・リスクと保険』損保総研(第127号2019.5)
それぞれについて詳しく解説します。
製品・サービスへの悪評
前述したとおり、SNSやインターネットが発達したことで、個人の感想が大きく拡散される時代になりました。
また、1度拡散された情報を完全に削除することは難しく、世間からの悪いイメージを払拭するのは簡単ではありません。
高品質の製品を提供することもそうですが、適正な価格で提供されているか、また顧客のニーズを満たせているかということもユーザーからの評価基準になるでしょう。
技術革新の失敗
企業が革新的で新しい製品を提供しているというイメージが低下するリスクです。
革新的な評価のためには新製品や新サービスを作り出すことが必要ですが、市場投入に失敗すればサービスの提供は遅れをとることもあります。
スピード感と計画性をもって市場へ製品を提供することが重要になります。
職場の環境づくり
従業員からの内部告発や、外部からの安全衛生に関する苦情などで顕在化することの多いリスクです。
平等で公正な職場環境を作ることが大切で、例えば有給や育休などの休暇も取りやすいような体制づくりなど、従業員の健康・幸福を支援することも評価の基準になると言えるでしょう。
関連記事:コンプライアンスが重要視される理由とは?必要なワケを解説
ガバナンスの失敗
ガバナンスとは、「統治・支配・管理」を意味する言葉です。
企業におけるガバナンスは、「組織における管理・統治を行い、不祥事などを未然に防ぐための企業の管理体制」のことを指します。
法令違反や規則違反などは企業の管理体制の甘さが問われ、レピュテーションリスクを高めることになります。
優秀な人材の確保・維持の失敗
上級の管理者やリーダーに立つ人物が優れているかどうかということも、企業の評価項目になります。
企業が自社とその業界の未来についてビジョンを持って企業活動を行うことが求められており、そういった面でも優れた人材が確保・維持できるかが重要です。
市民活動失敗
企業が良き市民として責任をもって行動しているかということが評価される項目で、環境への配慮や社会への良い影響などが求められます。
特に近年では環境への配慮が重視されており、SDGsやリサイクルなどの持続可能な社会を作り出すための取り組みや、省エネ・節電なども企業が取り組むこととして求められます。
パフォーマンスの停滞・低下
高い収益性や将来の成長性が評価基準になり、企業が今後も長期的に企業活動を行っていくことを保証できるような財務的な結果をもたらすことが期待されます。
利益減少や巨額の無保険損失などがあった場合は注意が必要です。
関連記事:レピュテーションリスクを回避する方法とは?リスクが顕在化した際の対処法も紹介
レピュテーションリスクが顕在化する原因
リスクは、潜んでいる状態では「リスク」だと気づくことができません。
しかし顕在化することで、「リスク」だと判明し、解決が必要になる事象だと言えます。
レピュテーションリスクが顕在化する原因となる事柄を解説します。
内部告発
レピュテーションリスクが顕在化する原因の1つは、社員や従業員による内部告発です。
不適切な労働環境や不正な業務などに対する内部告発によってリスクが顕在化します。
過去には、大手食品会社が産地偽装をしており、内部告発で判明して最終的に破産したケースもありました。
顧客からのクレーム
不祥事や問題がなかった場合でも、製品やサービスに問題がありクレームが入ればリスクが顕在化します。
特に、SNSなどで悪評を投稿された場合、それが拡散して企業の評価が下がってしまう恐れがあります。
経営陣・従業員による不祥事
経営陣による不祥事の代表例としては、脱税や横領があります。
ほかにもインサイダー取引、相場操縦行為などの行為も当てはまります。
また、従業員による不祥事は最近話題になることの多い「バイトテロ」が含まれます。
どちらの場合でも世間からの信用失墜につながりますので、体制を整えて事前に防ぐことが大切です。
関連記事:企業を守る反社チェックとは 知っておくべき概要と具体的なやり方
根拠のない風評被害
クレームや悪評、不祥事によるレピュテーションリスクの顕在化は企業側にも責任がありますが、全く根拠のない風評被害によって企業の評判が下がることがあります。
これもインターネットやSNSでの拡散によって被害が拡大してしまう恐れがあり、根拠のない悪評や書き込みなどを見つけたら、早めに法的措置をとることも必要です。
行政処分・行政指導
法令や条例に違反した不適切な運営を行った場合、監督官庁から行政処分や行政指導、勧告を受ける可能性があります。
処分などを受けた場合は、マスコミや新聞で報道されることもあり、不当な業務を行う企業という烙印を押されかねません。
関連記事:コンプライアンス違反の処分とは?企業・社員への処分の内容と対策方法を紹介
レピュテーションリスクを回避する方法
レピュテーションリスクが顕在化する前に回避できるよう、4つの対策方法を紹介します。
社内規則とマニュアルを整備する
レピュテーションリスクを回避するためには、社内規則やマニュアルを整備することが有効で、企業としてやってはいけないことなどを事前に明文化しておくことが大切です。
また、レピュテーションリスクが顕在化してしまった際の危機管理対応の手順もマニュアル化しておき、有事の際に迅速な対応が進められるようにしておくことを推奨します。
従業員に対して研修を行う
レピュテーションリスクについて従業員に研修を行い、全社的に理解を深めることも大切です。
情報漏洩やハラスメント、不正行為などは理解不足によって発生することが多く、無意識的にレピュテーションリスクを作り出していることがあります。
半年に1度、年に1度など定期的に研修を実施して、不祥事の発生しにくい企業づくりをすることが必要です。
関連記事:コンプライアンスマニュアルの作成方法 手順や作成例も解説
監視体制の強化
規則を作って研修を行っても、内部の圧力により不正を見逃してしまったり、気づかなかったりする可能性があります。
従業員だけでなく、経営陣による不祥事を防ぐことも大切で、取締役会を通じて経営陣相互間での監視・監督も欠かせません。
また、内部での監視体制の強化も大事ですが、第三者による監視を導入することでさらに監視を強化でき、不正の防止や早期発見につながるでしょう。
労働環境の改善
品質の低下や従業員の不祥事は、長時間労働やコミュニケーション不足など労働環境の悪化によって発生することが多いです。
業務の改善や人員配置を考慮することで、労働環境の是正につながります。
従業員とコミュニケーションをとり、どうすれば労働環境が改善されるかを考え、理解したうえで取り組むことが大切です。
関連記事:レピュテーションリスクの原因を作らないための対策とは?顕在化したときの対処法も解説
レピュテーションリスクを顕在化させないために有効な反社チェック(コンプライアンスチェック)
レピュテーションリスクを顕在化させないためには、反社チェックが有効です。
反社チェックとは、対象者が「反社会的勢力と関わりがないか」「不正や不祥事を起こしていないか」を調査することです。
事前に調査行うことで、リスクのある人材を排除することや、問題の早期発見につながることもあります。
関連記事:反社チェックが必要な理由とは?行うべき対象や実施方法を解説
まとめ
レピュテーションリスクは「自社に関するネガティブな情報が拡散され、企業価値やブランド、世間からの信用が低下してしまうリスク」という意味ですが、その種類は7つもあり、思いのほか身近な事例が多いものです。
リスクを回避するための対策に取り組み、安全な企業活動を行っていくことを推奨します。
関連記事:レピュテーションリスクの使い方と例文を紹介 顕在化する原因や事例についても解説
関連記事:反社チェックは義務なのか?反社会的勢力に関わる法令やチェックの方法を解説