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コンプライアンスとガバナンスとは?意味の違いと企業が行うべき取り組みを解説

企業の行動に対する消費者やマスコミ、監督官庁の監視の目が厳しくなる中で、不祥事を起こした企業は「ガバナンスが弱い」「コンプライアンス意識が低い」と強い非難を浴びます。

企業価値を守るにはコンプライアンスの維持とガバナンス強化への取り組みが必要不可欠ですが、この2つのワードは同じような場面で使われることが多く、違いをはっきりと理解している方は少ないでしょう。

この記事では、コンプライアンスとガバナンスの意味の違いを解説し、これらの強化、維持のために企業が行うべき取り組みをわかりやすく解説しています。

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目次[非表示]

  1. 1.コンプライアンスとガバナンスの違い
    1. 1.1.コンプライアンスとは
    2. 1.2.ガバナンスとは
  2. 2.コンプライアンスとガバナンスが注視される理由
  3. 3.コンプライアンスとガバナンスの強化方法
    1. 3.1.コンプライアンスを強化する方法
    2. 3.2.ガバナンスを強化する方法
      1. 3.2.1.統制環境
      2. 3.2.2.リスクの評価と対応
      3. 3.2.3.統制活動
      4. 3.2.4.情報と伝達
      5. 3.2.5.モニタリング(監視活動)
      6. 3.2.6.IT(情報技術)への対応
  4. 4.上場企業の義務であるコーポレートガバナンスコードとは
  5. 5.ガバナンスを強化してコンプライアンスを維持するメリット
    1. 5.1.企業価値の向上
    2. 5.2.内部の不正を防止
    3. 5.3.株主や顧客に安心感を与える
  6. 6.コンプライアンスを維持するために行う反社チェック
  7. 7.まとめ

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コンプライアンスとガバナンスの違い

コンプライアンスとガバナンスの違い

企業で情報漏洩や不正表示などの不祥事があったとき、「ガバナンスがなっていない」「コンプライアンスが徹底されていない」などと批判を受けることは免れません。

このように同じようなシーンで使われることが多いため混同されがちなコンプライアンスとガバナンスですが、明確に意味が違います。
では両者はどこがどのように違うのでしょうか。

直訳すると、ガバナンスは「統治すること」、コンプライアンスは「遵守すること」ですが、企業において統治することと遵守することは多くの部分が重なっています。
ガバナンスが弱いことでコンプライアス違反が起こってしまうのは当然のことですが、反対に何を遵守すべきか分かっていないためにガバナンスが弱くなるともとらえることができます。

コンプライアンスとガバナンスの関係を簡潔に表現すると、「コンプライアンスとは企業活動において守るべき規範の全体」で、「ガバナンスとはその規範から逸脱しないためのマネジメント」だと言えます。

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コンプライアンスとは

コンプライアンス(Compliance)の意味は「要求や命令に対する服従、法令の遵守、準拠」です。
ただし、企業や組織・団体におけるコンプライアンスは、法律や条例の遵守だけでなく、道徳や倫理、社会通念も含まれるため、企業に求められるコンプライアンスは広い意味を持つようになりました。

法令は明文化されていますが、道徳や社会通念ははっきりとした典拠があるわけではなく、時代によっても変化します。
したがって、どのような振る舞いが「コンプライアンス違反」になるのか、何をしたときに「コンプライアンス意識が低い」と批判されるかは明確でなく、あいまいな部分を含んでいます。

企業は、コンプライアンスの範囲の広さ、複雑さと、時代による変化にも留意したコンプライアンス意識を維持し、高めていく必要があります。

ガバナンスとは

ガバナンス(governance)の意味は「支配、統治、管理」です。
企業のガバナンスの主体は経営者ですが、株式会社の場合は、株主やその他のステークホルダーの利益を考慮し、社外の監査役などから経営者側が統治されるという側面もあります。

またコーポレートガバナンスは「不正や不祥事が起きないように、健全な企業経営を行うための理・統制」という意味で使われます。

コーポレートガバナンスの難しさは、利益追求と健全経営が相反する場面が少なくないことです。
例えば、外国産のシジミを国産のシジミとして高値で売れば利益は増えますが、そんなことは許されません。

コーポレートガバナンスは、利益追求(経営の効率)と経営の正しさをほどよく両立させる必要があります。

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コンプライアンスとガバナンスが注視される理由

コンプライアンスとガバナンスが注視される理由

企業のコンプライアンスやガバナンスが、監督官庁や世間(消費者やマスコミ)に注視されるようになった理由には、下記のようなものがあります。

  • 産業の技術革新が進んで、企業活動が自然環境や地域住民に与える影響が大きくなった
  • 資源の有限性が明らかになり、すべての産業に持続可能な活動が求められている
  • IT技術の進歩、インターネットの普及によって、消費生活にデジタルシステムが深く関わるようになり、システム障害や不正利用のリスクが甚大になった
  • 人権意識の高まりで、過重労働や男女格差、性的マイノリティに対する差別などの人権侵害に対する批判が大きくなった

上記のようなさまざまな理由で、企業活動の正当性が人々や自然に重大な影響を与えるようになったことから、コンプライアンスとガバナンスが注視されるようなりました。

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コンプライアンスとガバナンスの強化方法

コンプライアンスとガバナンスの強化方法

企業活動において大切な、コンプライアンスとガバナンスを強化する方法について解説します。

コンプライアンスを強化する方法

コンプライアンスを強化するには「自社が社会の一員としてどう振る舞うべきか」について、経営者と従業員が同じ認識を持つ必要があります。

まず、従業員規則などの社内規定や行動基準を明文化して、罰則規定を設けることや、チェック体制を整えるなどの対策は最低限必要です。
そして整備したマニュアルなどを全社的に共有するため、研修や教育を実施しましょう。

また情報漏洩などのミスや不正が起きないように、業務システムのセキュリティを強化することも重要です。

ガバナンスを強化する方法

ガバナンスの強化とは、企業が自社の活動を統制する内部統制の強化です。
上場企業や取締役会を設置している企業は、会社法で内部統制の整備が義務付けられています。
その他の全ての企業でも、内部統制の概念や内容は、健全な企業活動を続けるうえで重要になります。

会社法に基づいて金融庁は、内部統制を実現するために必要な要素として挙げている6つの要素を紹介します。

統制環境

組織の気風を決定し、組織内の全ての人の統制に対する意識や、他の5つの要素に影響を及ぼす基盤。
例えば以下の7つです。

  • 倫理観
  • 経営者の姿勢
  • 経営方針
  • 取締役や監査役の機能
  • 組織環境や風土
  • 権限と職責
  • 人的資源に対する方針と管理

リスクの評価と対応

企業活動におけるリスクの大きさ、発生可能性、頻度などを分析及び評価し、リスクへの適切な対応を選択する。

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統制活動

経営者の指示・命令が適切に実行されるように、権限や職責の付与、職務の分掌に関わる方針・手続を業務のプロセスに組み込むべきである。

情報と伝達

組織内の全員が職務の遂行に必要な情報を適切に把握し、その情報を必要とする組織内の全ての者に共有され、受け手に正しく理解されることが重要である。

モニタリング(監視活動)

内部統制が有効に機能していることを継続的に評価するモニタリングにより、内部統制は常に監視、評価、是正される。

モニタリングには、業務に組み込まれて行われる日常的モニタリングと業務から独立した視点から実施される独立的評価があり、そのどちらかもしくは両者を組み合わせて実施する。
また、モニタリングにより明らかになった問題を報告する仕組みを整備することが必要である。

IT(情報技術)への対応

組織内外のITに対し、組織目標を達成するために、組織の管理が及ぶ範囲において予め適切な方針と手続を定め、それを踏まえた適切な対応を行う必要がある。
組織の業務内容がITに大きく依存している場合は、内部統制の目的を達成するために不可欠の要素となる。

参考:金融庁「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準

上記のように、ガバナンスを強化するには、経営者の姿勢や経営方針を含む経営環境を整え、リスク対応・情報共有を正しく行い、継続的なモニタリング、適切なIT対応を行う必要があります。

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上場企業の義務であるコーポレートガバナンスコードとは

上場企業の義務であるコーポレートガバナンスコードとは

株主の利益保護を主な目的とした米国のコーポレートガバナンスの概念が日本でも注目されるようになり、2006年には新会社法が成立して、大企業に「内部統制システム」の構築義務が課されました。
その後東京証券取引所は、金融庁からの強い要請を受けて2015年に「コーポレートガバナンス・コード」を上場企業に向けて発表しました。

コーポレートガバナンス・コードとは、①株主の権利・平等性の確保、②株主以外のステークホルダーとの適切な協働、③適切な情報開示と透明性の確保、④取締役会等の責務、⑤株主との対話、という5つの基本原則の下に、73の原則が示された詳細な「ガバナンス強化のための指針」です。

参考:日本取引所グループ「コーポレートガバナンス・コード」

国がコーポレートガバナンス・コードの策定を急がせた理由は、日本の企業統治を国際標準に合わせて海外からの投資を呼び込むためだと言われています。
新会社法の成立やコーポレートガバナンス・コードを設定することによって、ガバナンスの強化は企業にとって避けられない課題になりました。

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ガバナンスを強化してコンプライアンスを維持するメリット

ガバナンスを強化してコンプライアンスを維持するメリット

企業がガバナンスを強化してコンプライアンス維持するメリットには、次のようなものがあります。

  • 企業価値の向上
  • 内部不正の防止
  • 株主や顧客に安心感を与える

企業価値の向上

ガバナンスの強化とコンプライアンスの維持によって、ブランドイメージが良くなり企業価値が向上します。
また、健全な経営を行っている企業として消費者、金融機関、監督官庁から認知されることにより、企業パフォーマンスの自由度が高まり、新たなチャレンジもしやすくなります。

内部の不正を防止

ガバナンスの強化によって、リスク管理やモニタリング(監視)体制、情報管理体制が整い、内部不正が起きにくい社内環境が構築されます。
経営者や従業員のコンプライアンス意識が高まることで、不正への誘惑に負けづらくなることも有効なポイントです。

またガバナンスを強化すると、労働環境が改善して従業員同士の信頼感が高まることで、パワハラやセクハラの抑制効果も期待できます。
組織文化の健全化によって組織としての競争力や持久力の向上も見込めるようになるでしょう。

株主や顧客に安心感を与える

コンプライアンス意識の高い健全経営を維持することで株主に信頼感と安心感を与え、株価の上昇が期待できるだけでなく、株主総会の運営もスムーズになります。

顧客からの製品やサービスの品質への安心感、信頼感が向上することで、シェアの拡大や業績のアップが期待できます。

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コンプライアンスを維持するために行う反社チェック

コンプライアンスを維持するために行う反社チェック

企業が暴力団や総会屋などの反社会的勢力と関係を持つことは、重大なコンプライアンス違反となり、企業の社会的信用を一気に失墜させます。

反社会的勢力は一般企業になりすましたフロント企業などを通じて巧妙に企業に接近してくるケースもあるため、新しい取引先と契約するときや人材採用の際には反社チェックが必要です。

反社チェックの方法は、新聞やインターネット上の公知情報を検索する、調査会社に調査を依頼する、反社チェックに特化した反社チェックツールを利用するなどの方法があります。

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まとめ

コンプライアンスとは企業活動において守るべき規範の全体で、ガバナンスとはその規範から逸脱しないためのマネジメントです。

コンプライアンスの内容は、法律の改正や社会通念の変化によって変わるので、企業はその変化にキャッチアップする努力が必要です。

ガバナンスの主体は企業経営者ですが、株式会社においては経営者も株主や取締役会の監視を受ける存在です。
経営者は正しい倫理観をもって、利益追求とコンプライアンス維持を両立させる統治・管理の実施が求められます。

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RISK EYES編集部
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反社チェックツール「RISK EYES」のブログ編集部です。反社関連の情報だけでなく、与信やコンプライアンス全般、IPO準備などについても執筆しています。
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