コンプライアンスとは何を守ることなのか?企業に必要な取り組みも解説
「コンプライアンス」という言葉はよく耳にしますが、多用されるが故に、その本来の意味や企業に求められるコンプライアンスの内容については、理解が曖昧な方も多いのではないでしょうか。
この記事では、企業におけるコンプライアンスとはどういう意味で何を守ることなのか、またコンプライアンスを徹底するために必要な取り組みについても解説します。
【参考】より深く知るための『オススメ』コラム
チェックリストでわかる!反社チェックの体制・運用点検リスト
目次[非表示]
- 1.コンプライアンスとは?
- 1.1.コンプライアンスの意味
- 2.コンプライアンスは何を守ること?
- 2.1.企業におけるコンプライアンス・守ることとは
- 2.2.コンプライアンスを守るべき理由
- 3.企業コンプライアンスの重要性
- 3.1.法的リスクの軽減
- 3.2.企業の評判を保護する
- 3.3.ステークホルダーと信頼関係を構築する
- 3.4.ビジネスの持続可能性
- 4.コンプライアンスを維持するための取り組み
- 4.1.コンプライアンス体制を構築する
- 4.2.内部規定を整備する
- 4.3.コンプライアンス研修を実施する
- 4.4.内部監査を強化する
- 5.反社チェック(コンプライアンスチェック)が推奨される理由
- 5.1.反社チェックとは
- 5.2.反社チェックの重要性
- 6.まとめ
▶とりあえずダウンロード!【無料で反社チェック体制・運用を総点検】
コンプライアンスとは?
2000年代以降、企業の大規模な不祥事や粉飾決済などの不正行為が多発し「コンプライアンス」が重視されるようになりました。
メディアでもよく耳にする言葉ですが、そもそもコンプライアンスとはどういう意味なのでしょうか。
コンプライアンスの意味
コンプライアンスとは、直訳すると「規則に従うこと・遵守すること」=「法令遵守」という意味になり、元々は国が定める法律や政令を守るという意味で使われていました。
関連記事:企業イメージをアップさせるコンプライアンス遵守を解説
コンプライアンスは何を守ること?
コンプライアンスは元々、法令遵守という意味でしたが、時代の変化に伴って様々な意味が含まれるように変化しています。
企業におけるコンプライアンスが何を守ることなのか解説していきます。
企業におけるコンプライアンス・守ることとは
企業におけるコンプライアンスは、法令遵守だけでなく、社会的なルール・規範、企業倫理、社会道徳、就業規則などの規則やルールを守り、社会的責任を果たすなど幅広い意味で利用されています。
企業が守るべき法律としては、会社法、金融商品取引法、個人情報保護法、景品表示法、独占禁止法など数えきれないほどの法律が存在します。
これらの法律を守ることを大前提として、例えば、パワハラやセクハラなどのハラスメントがない職場づくり、商品の製造において環境にやさしい素材を使用し、HPで公開することなどもコンプライアンスの一環として認識されます。
関連記事:コンプライアンスが重要視される理由とは?必要なワケを解説
コンプライアンスを守るべき理由
コンプライアンスは守るべきものが多いため、コンプライアンス違反となる原因は身近にたくさん存在します。
特に近年、インターネットの普及より、企業に対する社会の監視の目が厳しくなり、マイナスな情報の拡散力も強くなっているため、1度のコンプライアンス違反が企業に大きなダメージを与えてしまいます。
また、売上向上など自社の利益だけを追求したために、法令違反や環境破壊などのモラルハザードが起きてしまうと、社会からの信頼を獲得することはできません。
「信頼できる企業」というブランドを築き、社会的信用を得るためにも、コンプライアンスは欠かせないものとなっています。
関連記事:コンプライアンスチェックシートの必要性とは?チェックすべき項目を解説
企業コンプライアンスの重要性
コンプライアンスが重要視される理由として、以下の4つがあります。
- 法的リスクの軽減
- 企業の評判保護ステークホルダーとの信頼関係構築ビジネスの持続可能性
それぞれ詳しく解説します。
法的リスクの軽減
コンプライアンスの本来の意味でもある「法律や政令の遵守」という部分で、ルール違反をしないことが大切です。
法的な問題が発生した場合、行政処分や刑事罰を受ける可能性もあり、処分自体のダメージだけでなく、社会的信用が失墜するというリスクも同時に発生してしまいます。
コンプライアンスを徹底することで、法的リスクを軽減することが重要になります。
企業の評判を保護する
企業活動において、社会からの評判は売上や企業成長に直結するものです。
不正行為や法令違反などが慢性的になっている企業では、評判が低下し、取引先との取引中止や顧客離れ、人材確保の難化、金融機関からの評価低下など、さまざまなシーンでダメージを受けるでしょう。
ステークホルダーと信頼関係を構築する
企業にとってのステークホルダーとは、取引先・顧客・従業員だけでなく、株主や地域社会なども含まれ、コンプライアンスの徹底がステークホルダーとの信頼関係構築に繋がります。
取引先は素材の仕入れや商品の取引など、企業活動において必要不可欠です。
顧客や消費者は、商品・サービスを直接購入してくれるため、信頼を失ってしまうと売上低迷や株価下落に繋がります。
従業員との信頼関係も重要で、人材の定着は企業にとって大切なだけでなく、売上にも直結します。
株主の信頼を失う事例としては、粉飾決済や横領があります。
株主は会社に出資しているので、信用を失うと株価の下落につながります。
また近年では、SDGsに向けた取り組みの観点から、地域社会との関係も見直されるようになりました。企業側も社会全体をステークホルダーと捉え、信頼関係構築のためにより良い活動をしていくことが求められます。
ビジネスの持続可能性
コンプライアンス違反が発生すると、ビジネスの持続可能性に影響があります。
法令違反によって営業停止命令などが下されるリスクがあるだけでなく、SNSでの炎上や評判低下により、店舗の閉店や、最悪の場合倒産に陥るケースも存在します。
健全なビジネスを継続するためにも、コンプライアンスの徹底が重要になります。
関連記事:コンプライアンスの意味と使い方 維持・推進する方法も紹介
コンプライアンスを維持するための取り組み
コンプライアンス違反が企業に与えるリスクは大きいです。
健全な企業活動を続けるためには、日頃からコンプライアンスを維持するための取り組みが必要となります。
ここでは必要な取り組みを4つ解説します。
コンプライアンス体制を構築する
企業内でのコンプライアンス対策を強化しましょう。
社員に対するコンプライアンス教育やマニュアルの規定、コンプライアンスに関する意識調査などを実施する体制を整え、社員が相談できる窓口を設置しておくことも重要になります。
社内でコンプライアンス違反に気づいたとき、相談できる専用の窓口があることで、不正を早期に発見し、適切に対処することができます。
また、不正にあたるのか判断が難しい場合や、上司からコンプライアンス違反になるような業務指示を受けた場合に、専門の窓口があれば相談がしやすいというメリットもあります。
関連記事:社内コンプライアンスを高める方法とは?対策や違反事例も解説
内部規定を整備する
社内倫理規定や就業規則など、社員が守るべき行動の指針や基準を見直し、内部規定を整備します。
ポイントとして、単純に法律を遵守するだけでなく、社会的な規範も尊重する企業になるためにどうすればよいかを、倫理・モラルの観点からも考慮することが重要です。
また、基本方針や行動基準が決まったら、全社的に周知することも大切です。
メールやチャットなどでの共有はもちろん、オフィス内の目につきやすい場所に掲示する方法もあります。
コンプライアンス研修を実施する
コンプライアンス違反が起こる原因の1つとして、社員のコンプライアンスに対する意識の低さが挙げられます。
全社員にコンプライアンスに対する意識を持ってもらうためには、継続的な啓発が必要で、そのための方法としてコンプライアンス研修があります。
コンプライアンス研修は、コンプライアンスとはそもそも何なのか、自社にとってなぜコンプライアンスが重要になるのかなど、基本的な部分から教示し、コンプライアンスに対する意識を高めることが重要です。
さらに、日常の業務においてどのような行動がコンプライアンス違反になるのか、もしコンプライアンス違反になるような行動があった場合にどう対応すればよいのかを伝えるとより効果的です。
過去に発生したコンプライアンス違反の事例なども紹介するとより理解が深まるでしょう。
関連記事:コンプライアンス違反を防ぐ! 企業が取り組むべき社内研修
内部監査を強化する
コンプライアンス違反が発生していないかを正確に把握するため、監査部などを設置し、内部状況を可視化することも大切です。
監視体制を強化するうえで最も重要なのが内部統制で、コーポレートガバナンス・コードでは、内部統制には以下の4つの目的があると明示されています。
- 業務の有効性・効率性を高めること
- 財務報告の信頼性を確保すること
- 法令等の規範の遵守を促進すること
- 会社資産の保全を図ること
内部統制の強化は、コンプライアンス違反を防ぐだけでなく、様々な観点からも必要な取り組みと言えます。
関連記事:質を向上させるコンプライアンス研修の資料作成方法を解説
反社チェック(コンプライアンスチェック)が推奨される理由
コンプライアンスの徹底のための取り組みを紹介しましたが、そもそも違反を起こすような人物・企業と関わらないために、反社チェックを実施することを推奨します。
反社チェックとは
反社チェックとは、取引先や従業員、株主など企業に関係する相手が、反社会的勢力と関与がないかを調査することです。
方法として、インターネットや新聞などの公知情報を調査する方法、反社チェックツールを利用する方法、専門の調査機関に依頼する方法などがあります。
従業員の採用時や、取引先と取引を開始する前、役員就任前などに実施されることが多く、反社チェックを導入する企業は年々増加しています。
関連記事:反社チェックを行うべき対象とは?チェックが必要な理由と実施方法を解説
反社チェックの重要性
反社会的勢力排除の動きが強まる世の中において、反社会的勢力との繋がりは重大なコンプライアンス違反になります。
反社会的勢力との繋がりが世間に露見した場合、信用の失墜は免れません。
しかし、反社会的勢力は年々巧妙化しており、気づかぬうちに関係を持ってしまっていたということも稀ではありません。
リスクを回避するためにも、反社チェックを行い、反社会的勢力と関わりを持たないことが重要です。
関連記事:反社チェックは義務なのか?反社会的勢力に関わる法令やチェックの方法を解説
まとめ
元々は「法令遵守」という意味を持っていた「コンプライアンス」ですが、企業に求められるコンプライアンスは企業倫理や社会的規範を守ること、社会的責任を果たすことなど幅広い意味を持つようになっています。
健全な企業活動、企業成長のためには、コンプライアンスを徹底し、ステークホルダーとの関係性を構築することで、企業の評判を保護することが重要です。
コンプライアンスを維持するための取り組みを行うことで、コンプライアンスの徹底だけでなく企業を守ることにも繋がります。
関連記事:コンプライアンス違反の処分とは?企業・社員への処分の内容と対策方法を紹介
関連記事:反社チェックに関するルールはある?チェックのタイミングや社内の対応手順も解説