バックグランドチェックで調査する内容とは?実施に必要な費用・期間と注意点も解説
外資系企業で採用を行う際には、バックグラウンドチェックを実施するのが一般的です。
また、雇用形態の変化に伴って中途採用が増加し、外資系以外の企業でもバックグラウンドチェックが導入されるようになりました。
この記事では、バックグラウンドチェックで調査する内容と、実施に必要な費用・期間や注意点についても解説します。
【参考】より深く知るための『オススメ』コラム
▼反社チェックツール「RISK EYES」の無料トライアルはこちら
目次[非表示]
- 1.バックグラウンドチェックとは
- 1.1.バックグラウンドチェックが必要な理由
- 1.1.1.公正・公平な採用を行うため
- 1.1.2.採用リスクを減らすため
- 2.バックグラウンドチェックで調査する内容
- 3.バックグラウンドチェックに必要な費用・期間
- 3.1.バックグラウンドチェックに必要な費用
- 3.2.バックグラウンドチェックに必要な期間
- 4.バックグランドチェックを実施する際の注意点
- 4.1.内定前に実施する
- 4.2.調査内容に気を付ける
- 4.3.採用候補者の同意を得る
- 4.4.拒否された場合は?
- 5.バックグランドチェックとともに実施すべき反社チェックとは
- 5.1.反社チェックで調査する内容
- 6.まとめ
バックグラウンドチェックとは
バックグラウンドチェックとは、採用選考時に候補者の身辺や経歴に虚偽・詐称がないかを調査することです。
「雇用調査」「採用調査」とも呼ばれています。
元々は海外の企業で導入されており、日本では外資系企業以外には普及していませんでした。
しかし、近年は後述する様々な理由によって、日本企業でも導入が進んでいます。
バックグラウンドチェックが必要な理由
近年、雇用形態が多様化し、1人あたりの転職の回数が増加しました。
そこで、過去の実績や経歴などを正確に把握し、採用するか否かを判断したいと考える企業が増えました。
バックグラウンドチェックはなぜ必要なのか、主な理由を2つに分けて解説します。
公正・公平な採用を行うため
バックグラウンドチェックを実施する目的は、採用候補者の正しい経歴を把握することで公正・公平な採用を行うことです。
提出される履歴書や職務経歴書などの選考書類には、詐称や虚偽の記載があることが珍しくなく、面接だけで見抜くことは難しいです。
一部の候補者による虚偽申告や隠蔽によって採用の公平性が失われないよう、バックグラウンドチェックを実施することが重要と言えます。
関連記事:バックグラウンドチェックと在籍確認が必要な理由を詳しく解説
採用リスクを減らすため
バックグラウンドチェックが必要なもう1つの理由は、会社に不利益をもたらす可能性のある人物の採用を未然に防ぎ、採用リスクを減らすことができるからです。
過去に犯罪歴や問題行動がないかをチェックすることで、入社後に問題を起こしたり、期待値を大きく下回るパフォーマンスで業務上の損害を発生させたりする可能性のある人物の採用を未然に防ぐことができます。
実際、バックグラウンドチェックの結果、採否に影響するような情報が報告されるケースは、約5~10%もあるという調査結果もあります。
採用後は手続きや研修など多くの時間を費やします。
すぐに辞めてしまうような人物や、問題を起こすような人物を採用することは、会社にとって大きな損失です。
バックグラウンドチェックを行い、適切でない人物を採用しないことが大切です。
関連記事:個人情報保護法に基づくバックグラウンドチェックの必要性と合法性について
バックグラウンドチェックで調査する内容
バックグラウンドチェックで調査する内容は、主に以下の8つです。
- 学歴
- 職歴
- 勤務態度
- 反社チェック
- 破産歴
- 民事訴訟歴
- 近隣調査
- インターネット調査
それぞれ詳しく解説します。
学歴
入学・卒業年月、専攻、学位、卒業の有無などについて調査をします。
卒業証明書や資格証明書の確認や、過去の職場の関係者への聞き取り、SNSの投稿から確認をすることもあります。
高卒を大卒と偽るケースや中退の隠蔽、留年や浪人を隠すために入学・卒業年後を偽るケースもあるため、調査が必要な項目です。
職歴
書類上の企業名や入退社日、雇用形態、職務内容に虚偽がないかを調査します。
候補者の現職・前職の勤務先に直接問い合わせる方法で行うほか、調査会社や興信所に依頼する場合もあります。
中途採用の増加により、即戦力になる人材を獲得することが重要となるため、正確なスキルなどを確認する必要があります。
勤務態度
前職での勤務態度や実績を確認する項目は、「リファレンスチェック」と呼ばれています。
前職の上司や同僚に、電話やオンラインアンケートで調査を行い、人柄や仕事ぶりについて第三者目線の情報を収集します。
リファレンスチェックを行う対象者は、採用候補者が選ぶことが一般的です。
反社チェック
採用候補者が、反社会的勢力と繋がりがないかを確認します。
反社会的勢力は、排除の動きが強まる中で、巧妙に世の中に溶け込んでいます。
関連する人物の採用は重大なコンプライアンス違反になるだけでなく、会社や従業員が危険な目に遭う恐れもあります。
採用時には必ず反社チェックを実施しましょう。
関連記事:従業員の反社チェックが必要な理由とは?チェックのタイミングと実施すべきサインも解説
破産歴
官報に自己破産の情報が載ってないか、破産履歴を確認します。
民事訴訟歴
一般公開されている最高裁判所の判決記録や、新聞・webニュースなどのメディア情報を調査します。
最高裁判所以外の判決記録を調査するのは難しいため、調査会社に依頼して独自のデータベースで民事訴訟歴を調べてもらうこともあります。
近隣調査
採用候補者の生活状況や居住の実態を、近隣住民に聞き込み調査をします。
インターネット調査
インターネットが発達したことから、インターネットやSNSの調査を行うことが増えました。
候補者の名前を検索し、逮捕歴や不適切な発言、過去に問題行為がないかなどを確認します。
SNSを調査することで、プライベートな問題や、交友関係のリスクが判明することもあります。
関連記事:バックグラウンドチェックはどこまで調査が必要なのか?採用ターゲット層に合わせた調査とは
バックグラウンドチェックに必要な費用・期間
バックグラウンドチェックは、自社で調査する方法もしくは、調査会社に依頼する方法があります。
自社での調査の場合は、人件費がかかることを除けば、基本的には費用は発生しません。
しかし、自社での調査は可能な範囲が限られてしまうため、調査会社に依頼するのが一般的とされています。
調査会社に依頼する場合、どのくらいの費用・期間がかかるのかを解説します。
バックグラウンドチェックに必要な費用
バックグラウンドチェックを実施している会社は、料金形態や具体的な金額を公表していないところが多いです。
目安として、学歴や職歴などの基本的な調査項目のみであれば、1名あたり3~5万円程度で調査が可能です。
さらに詳しい調査を行う場合は1名あたり5~10万円が相場となっています。
1人あたりの金額は高額ではないですが、多くの人数を調査するとなると費用がかさんでしまいます。
最終面接のタイミングなど、ある程度人数が絞られてから実施するとよいでしょう。
バックグラウンドチェックに必要な期間
調査内容によっても異なりますが、依頼後、数日から1週間程度で結果のレポートを受けとることができます。
会社によっては、最短2日という短期間で結果がわかることもあり、スケジュールに負担を抱えることなく採用活動に盛り込めます。
関連記事:バックグラウンドチェック実施と通知のタイミングは?結果が出る所要期間も解説
バックグランドチェックを実施する際の注意点
バックグラウンドチェックを実施する際には、いくつかの注意点があります。
順番に解説します。
内定前に実施する
バックグラウンドチェックは、必ず内定前に実施しましょう。
なぜなら、バックグラウンドチェックの結果によって、内定を取り消すことが難しいからです。
経歴の詐称や反社との関わりが判明した場合など、解雇相当の理由に値する場合は内定の取消しが可能です。
しかし、勤務態度が悪いと聞いたり、逮捕歴が見つかったりしても、それを理由に内定を取り消すことはできません。
内定を出す前にチェックの結果が出るように、適切なタイミングで実施しましょう。
関連記事:バックグラウンドチェック後に内定取り消しはできるか?様々なケースごとに解説
調査内容に気を付ける
バックグラウンドチェックは正しい手順や方法で実施すれば、基本的には法的な問題はありません。
ただし、調査内容によっては、個人情報保護法や職業安定法などの関連する法令に抵触する可能性があります。
特に注意が必要なのは、「要配慮個人情報」に該当する調査内容です。
具体的には、人種や信条、病歴、犯罪歴などが該当し、これらの情報を取得するには原則として本人の同意が必要です。同意なしに調査をした場合、違法となるので注意しましょう。
参考:個人情報保護委員会「要配慮個人情報に関する政令の方向性について」
また、職業安定法では、個人情報の取得は「採用選考に必要な範囲内」にとどめることが定められています。
採用候補者の同意を得る
実施前には、必ず採用候補者から同意を得る必要があります。
バックグラウンドチェックに対してネガティブな印象を持っていることもあるので、実施の目的を説明したうえで同意を求めるとよいでしょう。
拒否された場合は?
バックグラウンドチェックの実施には採用候補者の同意が必要であるため、当然ながら調査を拒否することも可能です。
もし拒否された場合、無理に強制するのではなく、調査が必要な理由を丁寧に説明しましょう。
また、候補者側の事情を聴取し、調査内容を調整することも有効です。
ただし、しっかりと説明をしたうえでも拒否される場合、何かしらの詐称や虚偽があると考えることもできます。
反社チェックのみ行うなど、同意が不要な範囲での調査を実施するのが良いでしょう。
関連記事:バックグラウンドチェックは拒否できる?企業側の対策方法も解説
バックグランドチェックとともに実施すべき反社チェックとは
反社チェックとは、調査対象が「反社会的勢力でないか」「反社会的勢力と関係がないか」を調べることです。
採用候補者以外にも、取引先や株主も対象に実施されます。
反社会的勢力と関わりを持ってしまうと、企業側や経営陣の責任を問われ、罰則の対象になることもあります。
たとえバックグラウンドチェックを実施しない場合でも、反社チェックは必ず実施しましょう。
関連記事:反社チェックは義務なのか?反社会的勢力に関わる法令やチェックの方法を解説
反社チェックで調査する内容
反社チェックを行う際は、過去の新聞記事やニュースなどを調査するため、メディアに掲載されるような問題を起こしていた場合は、その情報を確認することができます。
反社会的勢力と関わりがなかったとしても、逮捕歴や事件への関与があった場合、危険な人物である可能性があります。
採用調査として、反社チェックを活用しましょう。
関連記事:反社チェックの際に検索すべきキーワードとは?その他のチェック方法と注意点も紹介
まとめ
この記事では、バックグラウンドチェックの調査内容や実施にかかる費用・時間、注意点などについて解説してきました。
より良い採用を行うために、候補者の経歴や人柄などをチェックし、ネガティブな要素になる人物の採用を未然に防ぐことが大切です。
個人情報を対象とする調査のため、情報の取扱いや調査範囲には注意が必要であり、法的なリスクを考えると、信頼できる専門の調査機関に依頼することがおススメです。
関連記事:バックグラウンドチェックが違法になるケースはある?実施する際の注意点も解説
関連記事:反社チェックはどこまで行うべきか 実施対象・方法を解説