企業コンプライアンス強化のために必要な「法人の本人確認」とは
企業間取引を行っているとさまざまな企業リスクと直面します。
反社チェックを行っている企業でも、同時に「法人の本人確認」まで実施していますでしょうか?
コロナ禍により、訪問が少なくなりオンライン商談で取引が進んでいくことが多いので、法務・総務の担当者様としてはより取引相手として信頼できるか否かの判断が難しくなっています。
今回はあらゆる企業に求められる「法人の本人確認」について解説していきます。
【参考】より深く知るための『オススメ』コラム
【初心者必見】反社チェックのやり方・業務フローまとめ
目次[非表示]
- 1.「法人の本人確認」とは
- 1.1.法人および担当者の「存在確認」
- 1.1.1.国税庁法人番号公表サイト
- 1.2.登記情報提供サービス
- 1.2.1.その他有料サービス
- 1.3.法人および担当者の「反社チェック」
- 1.4.住所確認
- 2.まとめ
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「法人の本人確認」とは
本人確認は個人を対象にするものと、法人や団体を対象とする2種類に分けられます。
この分類は※犯罪収益移転防止法(以下、犯収法)で明記されています。
犯収法では前者を「自然人」、後者を「法人又は人格のない社団・財団」としています。
法人の本人確認については犯収法準拠か否かで確認内容などが変わってきます。
主要なポイントは以下の3つとなります。
- 存在確認
- 反社チェック
- 住所確認
1つずつ解説していきます。
※犯罪収益移転防止法…金融機関等の取引時確認や取引記録等の保存、疑わしい取引の届出義務など、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)のための規制を定めた法律。
法人および担当者の「存在確認」
法人の本人確認における存在確認とは、取引先の法人が
- 架空法人でないか
- 存在する法人であるか
を確認する作業をいいます。
「存在確認」の方法としては
- 国税庁法人番号公表サイト
- 登記情報提供サービス
- 東京商工リサーチ
- 帝国データバンク
などを利用して確認することができます。
ここでは無料で利用できるサービスと、有料で利用できるサービスを紹介していきます。
国税庁法人番号公表サイト
法人の本人確認における「存在確認」をもっとも簡易的に行うには、国税庁法人番号公表サイトを利用します。
こちらは無料で利用することができ、対象企業の商号または名称、本店または主たる事務所の所在地、法人版による検索が可能です。
検索結果には3つの情報に加えて、変更履歴情報も確認することができます。
登記情報提供サービス
3つの基本情報以上の細かい情報も確認したい場合は、一般社団法人民亊法務協会が提供している登記情報提供サービスも検討の余地があります。
こちらは登記所が保有する登記情報をインターネットを使用してパソコンの画面上で確認できる有料サービスです。
閲覧できる登記情報は
- 不動産登記情報(全部事項)
- 不動産登記情報(所有者事項)(所有者の氏名・住所・持分)
- 地図情報
- 図面情報(土地所在図など)
- 商業・法人登記情報(現存会社等の場合は履歴事項の全部、閉鎖会社等の場合は閉鎖事項の全部)
- 動産譲渡登記事項概要ファイル情報及び債権譲渡登記事項概要ファイル情報
以上を確認することができます。
参考:登記情報提供サービス
その他有料サービス
登記情報提供サービスの他にも東京商工リサーチや帝国データバンクを利用すれば、法人の本人確認に必要な情報を取得することができます。
どこまでの情報が必要かで料金に差異が出てきますので、取引リスクに応じてどこまで取得するか決定するのが良いでしょう。
法人および担当者の「反社チェック」
反社チェックは取引する法人や所属するメンバーが、反社会的勢力および反市場勢力の疑いがないか確認する作業です。
なぜ反社チェックが必要なのかというと下記が挙げられます。
- 反社会的勢力への資金源遮断
- 企業のコンプライアンス(法令遵守)・社会的責任(CSR)
- 企業自体の存続・価値の維持
反社チェックの基本的な方法としては下記があります。
- インターネット検索
- 新聞記事検索
- 独自の反社会的勢力情報データベースによるチェック
詳しくは下記リンクにてまとめているので、ご確認ください。
参考:反社チェック・コンプライアンスチェックの具体的な方法とは?
住所確認
住所確認は法人が申請している住所へ郵便物が届くかどうかで確認します。
法人登録を行う際、各種書類を法務局へ提出しますが、住所を含めた記載事項が正しいか否かの厳密はチェックはありません。
記載様式のみ確認されますが、ダミー住所による架空法人を設立すること自体は難しくなく、オフィスがきちんと稼働しているか否かは、往復はがき等による住所確認が有効な手段の1つです。
まとめ
法人の本人確認について解説してきましたがいかがでしたか?
取引を始める際に反社チェックの他に本人確認を行うとさらにリスクを下げることに繋がります。
取引のリスクに合わせてどのように対応するか、確認するかを事前に決めておきましょう。
関連記事:IPO準備にはなぜ反社チェック(コンプライアンスチェック)が必要なのか?上場基準の反社会的勢力排除の体制づくりについて解説
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