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スタートアップに絶対押さえてほしい「IPO/M&A」を妨げる反社のワナ

スタートアップ企業にとって、「成果」は欠かせない存在です。

  • 順当にユーザーが増えてきている
  • 成長率が週6%を越えた
  • Jカーブを描く成長曲線になっている

など、スタートアップの成果の指標は成長に付随しています。

また、スタートアップでは優秀なメンバー、壮大なビジョンと並び、フェーズが進むごとに定量的な成果を求められます。
つまり、攻め続けなければいけないということです。
ただ、「成果」ばかり追いかけていると、足もとをすくわれる「リスク」もあります。

それが「反社会的勢力」です。
今回はスタートアップ企業に絶対押さえてもらいたいIPOやM&Aを妨げる反社会的勢力について解説していきます。

【参考】より深く知るための『オススメ』コラム

👉スタートアップに求められるIPO準備で早く取り組むべき組織体制の整備とは

👉反社チェック(コンプライアンスチェック)を無料で行う方法

👉データベースを使って無料で企業情報を調査する方法を解説

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目次[非表示]

  1. 1.IPOもM&Aも資金調達も不可能になる反社会的勢力のワナとは
    1. 1.1.スタートアップがつまずく反社会的勢力の存在
      1. 1.1.1.株主の中に素性の怪しいエンジェル投資家が…
      2. 1.1.2.上場前の反社チェック体制への指摘で…
    2. 1.2.反社への資金流出を防ぐため法律が強化
  2. 2.反社が絡んだことを報告しなかったため上場廃止になってしまった2つの事例
    1. 2.1.「株主」に反社会的勢力の疑いが生じた事例
    2. 2.2.「社内」に反社会的勢力との関与の疑いが生じた事例
    3. 2.3.完全に反社リスクを回避することは難しい
  3. 3.リスクヘッジに向けた3つのアプローチ方法とは
    1. 3.1.自社データベースの構築
    2. 3.2.調査会社の利用
    3. 3.3.反社チェックツールの利用
  4. 4.攻めの姿勢を崩さぬために、最低限の守りも固める
  5. 5.まとめ

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IPOもM&Aも資金調達も不可能になる反社会的勢力のワナとは

IPOもM&Aも資金調達も不可能になる反社会的勢力のワナとは

反社会的勢力といわれてもスタートアップ企業には関係のないように思えるかもしれません。
しかし、「取引先」「従業員」「株主」などのステークホルダーに反社会的勢力との関係が疑われる人物・組織がいれば、資金調達も※イグジットも不可能だと言われればどうでしょうか?

※イグジット:高い成長率が見込める未上場企業や企業再生を目指す会社などの株式を持つ創業者や出資者(ベンチャーキャピタル・再生ファンドなど)が株式を売却し、投資資金の回収および利益の獲得を行うこと。IPO(株式公開)、M&A(バイアウト)、MBOなど。

スタートアップがつまずく反社会的勢力の存在

反社によって成長途中でつまずいてしまうスタートアップは多いものです。
つまずきやすい事例を挙げていきます。

株主の中に素性の怪しいエンジェル投資家が…

以前から株主の中に素性が怪しいエンジェル投資家がいました。
怪しいとは思いつつも、今まで問題にならなかったので事業の成長を優先しました。

しかし、次の※ラウンドで資金調達する際に、その人物と反社会的勢力との関係が問題になりました。
ラウンドをクローズするには株を買い取らなければいけないという事態になりましたが、買い取れるほどの資金は手元になく、事業を諦めることになってしまいました。

※ラウンド:投資家がスタートアップに対して投資を行うフェーズのこと。このとき「投資ラウンド」という。また、スタートアップ側からすると各フェーズにふさわしい資金調達を選ぶ指標として用いられることから「資金調達ラウンド」と表現される。

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上場前の反社チェック体制への指摘で…

必ず上場前には「反社会的勢力と関係がないかのチェック」、いわゆる「反社チェック」や「コンプライアンスチェック」の結果を提出するように求められます。

上場直前、急いで反社チェックをしたところ、取引先に反社の疑いがかかる企業が発覚しました。
しかし、大口の取引先のため、契約を切ると売上予測に大幅な下方修正が生じ、上場を一旦ストップせざるを得なくなってしまいました。

反社への資金流出を防ぐため法律が強化

いずれの場合でも事業活動を通し、間接的・直接的にかかわらず反社会的勢力へお金が流れることを防ぐ必要があります。

2007年、法務省が『企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について』を発表後、各省庁や地方自治体、銀行など国内のあらゆる機関が規制強化を行いました。
それに伴い、企業にも反社会的勢力排除への努力義務が課されています。

大企業ならば問題が生じるとマスメディアで報道され、コンプライアンスについて突っ込まれます。
しかし、スタートアップの場合は表舞台に出ることもなく、人知れず消えていくことになります。

また、2011年までに全都道府県で発令された『暴力団排除条例』では、暴力団員等の反社会的勢力に対する利益供与は禁止されており、違反すれば勧告や公示される恐れがあります。
さらに、2018年11月に発表された指針により、登記時点で反社勢力と関わりがないことを証明する必要も出てきています。

しかし、反社会的勢力は組織実態を隠ぺいするために、フロント企業を設立したり、政治活動や社会運動を標ぼうするなど、一見反社会的勢力であるとわからないケースや、“暴力団”の関与が濃厚だが断定できないことも多く、「反社会的勢力」の捉え方が広義になってきています

コンプライアンス遵守の観点からも、反社会的勢力とは関係なくとも犯罪を犯したり反社会的な行動を起こした会社・従業員に対して厳しい対応をとることが重要です。

「まだスタートアップだから気にしなくてよい」や「上場はしばらく先の話だから」といった言い訳が通じる状況ではなくなってきています。

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反社が絡んだことを報告しなかったため上場廃止になってしまった2つの事例

反社イメージ

では、どのように企業は反社会的勢力と出会ってしまうのでしょうか?
明るみに出たケースのみ紹介していきます。

「株主」に反社会的勢力の疑いが生じた事例

2015年、株式会社オプトロンは第三者割当増資時に、割当予定の企業が反社会的勢力の疑いがある報告を社外から受けた。
しかし、その報告を上場していた名古屋証券取引所に伝えなかった結果、増資割当前に上場廃止の決断が下された。
(参考:http://www.nse.or.jp/listing/files/20150831_7824.pdf

「社内」に反社会的勢力との関与の疑いが生じた事例

2016年、元役員の横領が明らかになったAppBank株式会社。
横領資金の流出先に反社会的勢力が浮上したが、社としては否定。
事実関係は明らかにならなかったが、同社の株価は20%近く下落した。
(参考:https://japan.cnet.com/article/35078064/

完全に反社リスクを回避することは難しい

いずれも上場企業であることから、反社チェックを適切に行っていると思われます。
それでも発生したこれらの事例からもわかる通り、それほどまでに「反社会的勢力」は既存の社会システムに巧妙に組み込まれています。
完全に関わり合いを防ぐのは正直不可能に近いかもしれません。

だからこそ、企業のリスク回避のためには「反社との関わりを防ぐ意志がある」ことと、「チェック体制・仕組みを社内に構築している」ことが重要となってきます。

企業規模に関わらず、現代の企業には求められていることは「どのような体制で防ごうとしているか」「どのような線引で取引先を選定しているのか」を定義し、向き合う姿勢を明示できることです。

特に最近のトレンドとなっている不動産業や製造業、印刷業、金融業、物流・倉庫業などといった歴史ある既存産業にスタートアップとして切り込んでいく場合、必然的に反社会的勢力に出会うリスクも高まります。
反社会的勢力はスタートアップにとっても決して他人事とは言えません。

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リスクヘッジに向けた3つのアプローチ方法とは

リスクヘッジに向けた3つのアプローチ方法とは

では、反社会的勢力のリスクを最小限にするために、どのような手法が存在するのでしょうか?
反社チェックの方法は3つに大別できます。

自社データベースの構築

専任の担当者を立て、新聞やWeb、自社で蓄積したノウハウ、顧客情報などから綿密なデータベースを構築し、取引先や投資先における信用の精度を高めていく方法です。

自社データベースの構築を行う企業は、扱う金額が数百万円を超えるような銀行や保険信販、証券といった金融系企業や、不動産系企業に多く見られます。
ただし、多額のコストが掛かり、スタートアップとは少々縁遠い方法といえます。

調査会社の利用

新聞やWebの情報から、帝国データバンクといったデータサービス、私立探偵による調査などを組み合わせ、立体的に情報を集めていく方法です。

調査先1件あたり3〜10万円ほどのコストがかかってきます。
一定のコストはかかりますが調査の精度を重視したい場合に有用です。
自社の規模が拡大した後に、経営陣や株主など意志決定に強く関わる可能性のある人物の信用調査に利用する場合が多いです。

反社チェックツールの利用

新聞やWebから公知情報を集めたデータベースを活用してチェックをかける方法です。
1件数百円ほどの調査料で済むため、取引先や社員といった入れ替わりの頻度が高く、調査数も多い場合に適しています。

反社チェックツールの中でも公知情報を記事などから検索するタイプや、反社情報を蓄積したデータベースタイプ、別機能に付随したオプションタイプなどのサービスが展開されています。

各タイプでメリット、デメリットがありますので、自社の企業リスクに合わせたツールを選定する必要があります。

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攻めの姿勢を崩さぬために、最低限の守りも固める

攻めの姿勢を崩さぬために、最低限の守りも固める

ここまで反社によるリスクについての解説してきましたが、スタートアップに求められるのは基本的に「攻め」の姿勢です。
反社チェックは「守り」であり、そこへ割くリソースが後手へ回るのは仕方がありません。

ただ、少なくとも上場2期前にはあらゆる企業が「反社チェック」を求められる上に、上場後も定期的な反社チェックを必要とされるため、早めに反社チェック体制を構築することが重要です。

契約書で反社会的勢力排除条項を定めておいたり、新規取引先との契約前や従業員の内定前、資金調達の投資契約書締結前などリスク回避のために行えることを日常業務に落とし込む必要があります。

企業規模が小さいうちから仕組みに盛り込んでしまったほうが楽なのは間違いありません。
少ないコストでも行えるのでスタートアップ企業のリスク回避にお役立てください。

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まとめ

今回はスタートアップに絶対押さえてほしい「IPO/M&A」を妨げる反社のワナについて解説しました。
ただでさえ資金調達に課題を抱えるスタートアップは反社の標的となりやすいです。

小さいうちから最大の攻めに転じるために、最低限の守りである「反社チェック」を行っていくことが大きく成長する際、必ず役に立ってきます。
反社会的勢力との関わりを作らず、リスクを最小限にした経営を行っていきましょう。

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佐々木 雄輝
佐々木 雄輝
2022年にソーシャルワイヤー株式会社に入社。 反社チェックサービス『RISK EYES』のマーケティング施策の企画立案を担当。
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2015年に株式公開した弊社が自社の事例を踏まえて解説いたします。

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