バックグラウンドチェックはどこまで調査が必要なのか?採用ターゲット層に合わせた調査とは
コロナ禍でオンライン選考が増えることにより、時間や場所の制約がなくなる一方で、採用候補者の人となりなどが判断付きづらくなっています。
対面での面接では感じ取れていた微かな「違和感」を感じ取ることができず、もしかしたら経歴詐称をしている候補者を採用する恐れもあるかもしれません。
海外では「採用候補者は本当のことを言っていない」と半ば決めつけるかのように、リファレンスチェックやバックグラウンドチェックが盛んに行われています。
日本でも外資系企業を始め、採用リスクを回避する目的で行われることが増えてきました。
今回はバックグラウンドチェックはどこまで調査が必要なのか?採用ターゲット層に合わせて解説していきます。
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そもそもバックグラウンドチェックとはなにか?
バックグラウンドチェックとは採用時に実施する「身元調査」のことで、採用候補者の経歴などをチェックすることを指します。
応募者が経歴詐称などをしていないかをチェックする工程ともいえます。
バックグラウンドチェックについては下記リンクで詳しく説明しています。
関連記事:「採用」時のバックグラウンドチェックとは 必要性とメリット・デメリットについて解説
バックグラウンドチェックはどこまで調査ができるか?
バックグラウンドチェックで調査できる項目は多岐にわたり、主要な調査は下記のような項目です。
- 学歴
- 職歴
- 破産歴
- 反社会的勢力に該当するか
- 犯罪歴
- 病歴
- SNS
ただ、過度な情報の取得は個人情報保護法第23条(第三者提供の制限)により、個人情報保護法に抵触するおそれがあります。
関連記事:個人情報保護法に基づくバックグラウンドチェックの必要性と合法性について
バックグラウンドチェックが違法になるケースとは
バックグラウンドチェックはセンシティブな個人情報を扱うため、しっかりと行わないと違法になってしまう恐れがあります。
ではどういった場合に違法となってしまうのでしょうか?
- 採用候補者の許可なく実施する
- 採用選考と関係ない情報まで取得する
- 調査結果を元に内定取り消しを行う
1つずつ解説していきます。
採用候補者に許可なく実施する
採用候補者に同意を得ることなく、バックグラウンドチェックを行うと違反になる恐れがあります。
実は犯罪歴や病歴などは個人情報保護法において「要配慮個人情報」として定義されます。
こういった情報は本人の同意なしに取得することは認められていません。
また、職業安定法第5条4項などにより、社会的差別につながりうる個人情報の収集は原則として認められていないことも同意が必要な理由となっています。
ネガティブな情報を取得する以上、採用候補者から調査を拒否されるおそれはあります。
経歴詐称や反社会的勢力の関係者である場合、拒否は必至でしょう。
拒否されることも想定しなければなりませんが、違法にならないために必ず採用候補者の同意を取って行いましょう。
採用選考と関係ない情報まで取得する
バックグラウンドチェックの根本的な考え方は採用すべきでない候補者をはじくために行うということです。
しかし、調査会社へ依頼する場合、会社によっては採用と無関係な情報まで入手される恐れがあります。
採用候補者から合意を得ている範囲での調査に留めないと、調査会社に委託した場合でも委託管理責任を負うため個人情報保護法に抵触する恐れがあるので注意が必要です。
コンプライアンスを徹底している調査会社かどうか、調査を依頼する前に判断しましょう。
関連記事:バックグラウンドチェック後に内定取り消しはできるか?様々なケースごとに解説
調査結果を元に内定取り消しを行う
内定は法的に労働契約が成立します。
すなわち、内定取り消しは労働契約上の解雇に相当するということです。
内定取り消しを行うときは客観的・合理的・社会通念上相当と認められる場合に限られます。
過去の判例によると、内定当時に知ることができないことで、これを理由として内定取り消しすることが解約権留保の主旨や目的に照らして、解雇権乱用に当たらない場合のみ内定取り消しが認められるとしています。
内定取り消しとなって問題にさせないために、最終選考前までにバックグラウンドチェックを行い、選考の中で判断することが大事です。
バックグラウンドチェックはどこまでの採用ターゲット層に行うべきか?
バックグラウンドチェックを全てのターゲット層に行うのはコストやかかる時間を考えると適切ではありません。
企業にとって「どれだけ重要なポジションについてもらうか」によってどこまでの調査を行うかを判断する必要があります。
各企業がどこまでのリスク管理を行うかによってどの層まで行うか変わるので参考程度にご確認ください。
アルバイト・契約社員へは反社チェックのみが妥当
アルバイトや契約社員へは反社チェックのみ行っておけば問題ないでしょう。
入れ替わりが頻繁にあるポジションであり、過去の経歴などはさして問題とならないため、必要最低限のリスク管理である反社チェックを行っておけば十分といえます。
関連記事:バックグラウンドチェックは拒否できる?企業側の対策方法も解説
一般社員・管理職へはバックグラウンドチェックも検討が必要
一般社員や管理職へはバックグラウンドチェックを検討する必要があります。
即戦力として中途採用を行う場合、経歴詐称などがあればすぐに活躍してくれないことも多いです。
ただ、入社してから育てる場合などは最低限反社チェックのみ行っておけば、企業としてリスク回避に繋がります。
役員やそれに準ずる役職へはバックグラウンドチェックは必須
経営の根幹に関わってくる層にはバックグラウンドチェックは必須といえます。
もし、コンプライアンス的に問題がある候補者を雇ってしまった場合、自社の評判が悪くなってしまったり、立場を使った犯罪行為が行われるリスクがあり、一般社員や管理職とは比べ物にならないほど慎重に採用すべきです。
関連記事:採用のミスマッチを防ぐリファレンスチェックとは?メリット・デメリットについて解説
まとめ
ここまでバックグラウンドチェックはどこまで調査が行えて、どこまでのターゲット層までバックグラウンドチェックを行う必要があるかを解説してきました。
企業の状況によって必要な調査は変わってきます。
違法とならないように注意し、自社のリスクを回避する行動を取りましょう。
関連記事:IPO準備にはなぜ反社チェック(コンプライアンスチェック)が必要なのか? 上場基準の反社会的勢力排除の体制づくりについて解説
関連記事:バックグラウンドチェックを行うタイミング・所要期間とは?