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【弁護士解説】反社排除における企業リスク 反社チェックを行うべき7つのポイント

2021年夏、警察からとある企業が「社長が反社と付き合いがあった」という発表がありました。
それを発端に銀行からの融資が滞り、会社は倒産、当該会社の元社員の再就職も困難になったという報道がされました。

コンプライアンスが重視される現在、企業が反社会的勢力と関わりを持つということは、第三者から『反社と関与のある企業』とみなされ、当該企業の存続や従業員にも影響が及ぶ企業リスクとなります。

そこでこの度、企業リスクである反社排除の対策を打つため、反社会的勢力との紛争に詳しい毛塚衛(けづかまもる)弁護士をお迎えし、反社会的勢力と関わりを持ってしまった場合の危機管理対策についてご講演いただきました。

以下では、弁護士が解説する反社排除における企業リスクを事例や対策とともに7つにまとめました。

【参考】より深く知るための『オススメ』コラム

👉企業を守る反社チェックとは 知っておくべき概要と具体的なやり方

👉反社チェック(コンプライアンスチェック)を無料で行う方法

👉データベースを使って無料で企業情報を調査する方法を解説

【初心者必見】反社チェックのやり方・業務フローまとめ

目次[非表示]

  1. 1.反社会的勢力と付き合ってしまったら専門組織へ連絡
  2. 2.反社会的勢力と付き合う=倒産のリスクを抱えることになる
  3. 3.危機管理対策を乗り切れるかは「事前の企業調査」次第
  4. 4.反社対応の批判のされ方を変えられる『事前の企業調査』
  5. 5.世論が納得するレベルの「事前の企業調査」をすることが事後対策につながる
  6. 6.『事前の企業調査』である反社チェックは「保険」となる
  7. 7.もしものときの弁明のために事前対策を取ることが大事
  8. 8.反社排除における企業リスク 反社チェックを行うべき7つのポイントまとめ

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反社会的勢力と付き合ってしまったら専門組織へ連絡

反社会的勢力と付き合ってしまったら専門組織へ連絡


知らない間に反社会的勢力と繋がってしまったり、敵対関係になったりしてしまった場合には、警察や弁護士等の専門機関へ協力を依頼するようにしてください。
外に知られることを恐れ、社内でなんとかしようとする企業もありますが、そのような対処はおすすめできません。

弁護士は、クライアントを守るために、反社会的勢力と戦い、つけ込まれないよう一歩も引かないで態度で交渉をしますが、反社会的勢力はときに弁護士であっても圧倒されてしまいそうになるときがあるのが実際です。

社内の従業員が警察や弁護士のバックアップもない状態で対応することは全くお勧めできません。

社外へ情報が漏れることへの心配があったとしても、知識のない人が直接やりとりをするのではなく、警察や弁護士などの専門組織へ助けを求めることがその後の被害拡大防止の観点から重要となります。

反社会的勢力と付き合う=倒産のリスクを抱えることになる

反社会的勢力と付き合う=倒産のリスクを抱えることになる

企業が反社会的勢力と付き合ってしまった結果、企業活動の源泉でもある銀行からの取引停止によりキャッシュフローが止まり、倒産してしまうことも十分に起こり得ます。

多くの銀行では、口座作成時に反社会的勢力と関わりがないことを表明する、暴力団排除条項にチェックをさせています。
反社会的勢力との関係が明らかになってしまうと、規約違反とみなされ、銀行側の判断で取引停止に至ることもあります。

つまり、反社会的勢力と付き合ってしまうということは、企業としては倒産という大きな事態になりかねない非常にリスクのあることなのです。

危機管理対策を乗り切れるかは「事前の企業調査」次第

危機管理対策を乗り切れるかは「事前の企業調査」次第

反社会的勢力と知らずに関わりを持ってしまった場合、本当に知らなかったとしても、事後の弁明はほとんど意味をなさず、表立ってメディア対応をした時点で手遅れと言ってよいでしょう。

企業の危機管理としては、仮に反社性を帯びている企業との関係が発覚した場合に、いかにメディアに取り上げられないようにするか、世間に報道される前にどのように対処するのかが重要になります。

このとき意味を持つのが、事前の対策です。
事前に対策をしたことを示すことで論調は変わります。

『反社会的勢力と付き合わないために私たちの会社ではこれだけのことをしていました。ですが、防げませんでした。逆にここまでして防げなかったものをどうしたら防げるというんですか?』

事前の対策をしっかりとして、上記のような論調にもっていくことが重要です。

開き直るという言い方はおかしいかもしれないのですが、『これだけやっても反社会的勢力と関与する結果になってしまったら、事前に防ぐことは無理』といった状態を事前に構築し、世論を味方につけるという方法しかありません。

付き合いが発覚してしまったら、弁明の仕方は基本的に『事前にこれだけのことをやってました』というアピールをどれだけできるか、というところにかかってきます。

具体的な事前の対策として

  • 取引先との契約の際、契約書や覚書で反社会勢力の排除条項を締結すること
  • 反社チェックツールなどを用いた『事前の企業調査』を行うこと

上記が考えられます。
反社会的勢力排除の覚書の締結は、あくまで相手の申告によるものであるため、相手企業への損害賠償を請求することはできても、事後にメディアから会社を守るという観点からは不十分です。

メディアからは


「相手の申告だけで信じたのか?」
「自分達で調査はしなかったのか?」

と指摘されてしまうため、覚書の取り交わしに加えて反社チェックツールなどを用いた『事前の企業調査』を行うことが必要となります。

反社対応の批判のされ方を変えられる『事前の企業調査』

反社対応の批判のされ方を変えられる『事前の企業調査』

プロスポーツクラブや上場企業、上場準備中の企業は、『反社会的勢力と付き合っていた』ことが判明しただけで命取りになってしまうので、クライアントとの重要な契約時には、顧問弁護士が事前に企業調査を行うこともあります。

そのときの弁護士の究極的な役割はなにかというと、反社会的勢力でないことを確認することはもちろん、クライアントに『弁護士に調査依頼して問題ないという報告書をもらった』という言い訳を持たせるためです。

企業から『弁護士に頼んでもヒットしませんでした』と公表がされた場合、メディアの矛先は企業から、調査をした弁護士の調査能力不足に変わります。

ある意味で、弁護士が盾となることで企業が責められることを避ける役割を担うのです。
弁護士がクッション材になるという意味で、万が一に備えて弁護士が事前に報告書をあげることがあります。


弁護士が行う実際の調査方法としては毛塚氏が所属する神奈川県の場合、

  • 県の暴力追放推進センターに問い合わせをして、もらった情報をもとに自分で国会図書館に足を運んで、記事を探す。
  • 県警本部の暴力団対策課で暴力団の登録があるか教えてもらう。

上記のことが基本になるとのこと。(東京都であれば警視庁になるのでしょう)

この方法は警察のデータベースに登録があるか、もしくは過去に新聞記事があるか否かという点の確認までは行うことができます。

しかし、暴力団登録というのはあくまで反社の登録情報なので、弁護士であっても『反社性を帯びている企業』については調査が難しいというのが現実的なところです。

つまり、弁護士の『事前の企業調査』は必ずしも万全とはいえないでしょう。
そのため、大手の法律事務所や大企業は反社チェックサービスも導入しています。

世論が納得するレベルの「事前の企業調査」をすることが事後対策につながる

世論が納得するレベルの「事前の企業調査」をすることが事後対策につながる


『事前の企業調査』をなにもしない状態で、『事後対応をする』というのは、基本的に無理です。結局のところ、十分な事後対応をするためには、『事前にこれだけのことをやっていたのになってしまいました』という説明がどれだけできるかという点が鍵になります。

言い方は悪いですが、事後対応の“言い訳づくり”を事前にどれだけやっておくかです。
『あそこの反社チェックサービスを導入していて、それでもヒットしなかったのなら仕方がないですよね』とメディアや世論が思えるサービスを使ってるかどうかは非常に重要です。

逆を返すと、導入する反社チェックサービスは、『あのサービスを導入していたのなら仕方がない』という世論の納得が得られるレベルのクオリティがないといけません。

反社排除のシステムの導入を検討される場合には、利用社数や網羅量など、そのサービスがしっかりしているか、しっかりしたサービスという認知を獲得している、または今後獲得することが期待できるかサービスかということをシビアに見る必要があります。

『事前の企業調査』である反社チェックは「保険」となる

『事前の企業調査』である反社チェックは「保険」となる


ここまで述べてきましたが、実際に反社会的勢力が関わっているケースは頻繁にあるものではありません。

歴史のある企業でもたった1社と付き合っただけで倒産してしまう可能性があり、その被害は甚大なものです。

そのリスクを考えれば、反社チェックサービスをコストと捉えるのではなく、「保険料」という考え方で、反社チェックサービスを導入した方が良いと思います。

『事前の企業調査』は、重いリスクを回避するための重要である一方で、ビジネスの流れの中で時間をかけられるものではないため、短時間で正確に行うために、弁護士への依頼や反社チェックサービスの導入など外部リソースを利用することが大切なのです。

もしものときの弁明のために事前対策を取ることが大事

もしものときの弁明のために事前対策を取ることが大事


今回は、反社会的勢力と関わりを持ってしまった場合の危機管理対策というテーマで講演いただいたので、テーマとは矛盾しているように感じた方もいらっしゃるかと思いますが、結局、事後の危機管理対応をどうするかを示すにあたり事前の対応は避けて通れません。

企業が、実際に反社会的勢力と闘う際には弁護士や警察に頼ることになります。

一方で時としてメディアも企業と敵対的な関係になります。
メディアや第三者から横やりが入るという意味で、弁明のための事前対策が非常に重要になってきます。

反社チェックサービスを導入するか否かは別にしても、取引にあたり反社チェックをしておくことは、何か起こったときの対応に絶対に活きてきます。
反社チェックが大切であるとわかっていても契約書や覚書で済ませてしまう方は、今回の講演がその考え方を少しでも変える材料になれば嬉しいです。

参考:IPO準備にはなぜ反社チェック(コンプライアンスチェック)が必要なのか?上場基準の反社会的勢力排除の体制づくりについて解説

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反社排除における企業リスク 反社チェックを行うべき7つのポイントまとめ


いかがでしたでしょうか?
今回は毛塚衛弁護士に「反社排除における企業リスク 事例と対策」について解説いただきました。

要点をまとめると

  • 反社会的勢力と付き合ってしまったら専門組織へ連絡
  • 反社会的勢力と付き合う=倒産のリスクを抱えること
  • 危機管理対策を乗り切れるかは「事前の企業調査」次第
  • 反社対応の批判のされ方を変えられる『事前の企業調査』のみ
  • 世論が納得するレベルの『事前の企業調査』をすることが最善の事後対策
  • 『事前の企業調査』である反社チェックは「保険」となる
  • もしものときの弁明のために事前対策を取ることが大事

上記のようなことから『事前の企業調査』は会社を健全に運営していく中で非常に重要となってきます。
時間やコストを抑えるために、反社チェックサービスのご利用をぜひご検討ください。

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毛塚 衛(けづかまもる)弁護士
みなとみらい総合法律事務所

横浜の大手法律事務所で弁護士生活をスタートし、2020年1月、設立2年目のみなとみらい総合法律事務所にパートナー弁護士として参画。

現在は、法人顧客をメインターゲットとし、上場直前の企業の契約チームへの各種助言や、特にコンプライアンスが厳しいとされるプロスポーツクラブの顧問弁護士として反社会的勢力との接触防止及び、水面下でのメディア対応も行っている。

RISK EYES編集部
RISK EYES編集部
反社チェックツール「RISK EYES」のブログ編集部です。反社関連の情報だけでなく、与信やコンプライアンス全般、IPO準備などについても執筆しています。
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