企業を守る反社チェックとは 知っておくべき概要と具体的なやり方
企業におけるリスクマネジメントの重要性が叫ばれている昨今ですが、あらゆるリスクから会社を守るために経営者も四苦八苦している現状です。
2007年には「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」が政府から出されるなど、企業において「反社会的勢力との付き合い」についてより注視する必要が出てきました。
反社会的勢力による不当要求は、人の心に不安感や恐怖感を与えるものであり、 何らかの行動基準等を設けないままに担当者や担当部署だけで対応した場合、要求 に応じざるを得ない状況に陥ることもあり得るため、企業の倫理規程、行動規範、 社内規則等に明文の根拠を設け、担当者や担当部署だけに任せずに、代表取締役等 の経営トップ以下、組織全体として対応する。
犯罪対策閣僚会議 平成19年 6月19日「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」
実際に反社会的勢力との付き合いが露見したことで社会的信用を失い、金融機関や取引先との取引が停止し、そこからたったの「2週間」で倒産する企業の事例も…。
業務の取引がなくとも、付き合いがあったというだけで会社が倒産に追い込まれるほどのリスクがあることを改めて認識し、自社に潜むリスクに備えましょう。
では、実際に反社会的勢力と付き合わないために何を行わなければならないのか?
今回は反社会的勢力を事前に確認する反社チェックの概要や具体的なやり方について紹介していきます。
反社チェックの必要性について動画でもまとめています。
合わせてこちらもご覧ください。
【参考】より深く知るための『オススメ』コラム
注意すべき相手をすぐに発見できる反社リストを検索
目次[非表示]
- 1.企業リスクを回避する反社チェックとは
- 1.1.反社会的勢力とはなにか
- 1.2.反社チェックの必要性
- 1.2.1.1.コンプライアンス順守と社会的責任のため
- 1.2.2.2.企業価値の維持するため
- 1.2.3.3.反社会的勢力の資金源遮断のため
- 2.反社チェックの具体的な行い方
- 2.1.自社で行う反社チェック
- 2.1.1.1.Web検索で反社と繋がりがあるか確認する
- 2.1.2.2.新聞の記事検索サービスで検索する
- 2.1.3.3.会社情報の確認を行う
- 2.1.4.4.反社チェックツールを利用する
- 2.2.弁護士や警察など専門組織への依頼
- 3.反社チェックを始めるタイミングは
- 4.企業を守る反社チェック まとめ
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企業リスクを回避する反社チェックとは
「反社チェック」と言われてもピンとこない方も多いと思います。
反社チェックとは取引する企業や個人が反社会的勢力とつながりがないかを確認する作業のことで、「コンプライアンスチェック」とも呼ばれます。
万が一取引後に反社であることが発覚してしまうと、事後対応はとても大変です。
反社会的勢力との関わりを持たないためにも、取引前に反社チェックすることをオススメします。
反社会的勢力とはなにか
そもそも反社とはどういった組織を指すのか?
大きく分けると3つになります。
- 指定暴力団
- 準暴力団
- 暴力団関係企業
1つ目は指定暴力団。一般的にはヤクザといわれているので、1番イメージしやすいと思います。
「暴力団対策法」に基づき、都道府県公安委員会から指定を受けた組織をいいます。
次に準暴力団、一般的には半グレと呼ばれたりもする組織です。
暴力団には所属していないものの、集団的・常習的に暴力行為や詐欺等の犯罪行為をしているものを準暴力団と定義しています。
最後に暴力団関係企業です。フロント企業や企業舎弟とも呼ばれます。
暴力団の資金獲得のために経営している会社で、当然排除しなければなりません。
しかし、最近ではフロント企業とバレないように、その活動は非常に巧妙で見分けるのが困難なケースも少なくありません。
上記のような組織と取引してしまうと取り返しがつかなくなってしまいます。
だからこそ「事前対策」として反社チェックが重要になってくるわけです。
関連記事:反社会的勢力とはなにか?定義や調べ方など具体的な対策を解説
反社チェックの必要性
反社チェックの実施は業種、規模かかわらず本来どんな企業でも必要です。
しかし、企業や商材の規模によっては省略されてしまうことがあるのも事実です。
企業にとって、なぜ反社チェックが必要なのか3つの理由を紹介します。
1.コンプライアンス順守と社会的責任のため
反社チェックの実施は企業がコンプライアンスを徹底するのに不可欠です。
反社会的勢力と関係を持っていると法令違反になってしまいます。
経営の健全化には反社と付き合わない、入り込ませない。そのために、反社チェック・コンプライアンスチェックを行うことが非常に重要です。
参考:IPO準備にはなぜ反社チェック(コンプライアンスチェック)が必要なのか?上場基準の反社会的勢力排除の体制づくりについて解説
2.企業価値の維持するため
反社会的勢力との付き合いが世間に露見すると企業の信用は失墜し、倒産に追い込まれることもあります。
顧客からの評価は下がり、銀行から口座を押さえられてしまいキャッシュフローが立ち行かなくなります。
また、倒産までいかずとも、反社会的勢力との関係性が明るみに出た時点で、たとえ自社が健全であっても、企業のコンプライアンス体制・意識に疑問を抱かれてしまいます。
実際、風評被害が広がり、営業活動がままならず、経営が悪化するといった事例もありました。
コンプライアンスの徹底を行うことで、企業価値の維持や高めることに繋がります。
その中の対策の1つとして反社チェックを行うことが有効です。
3.反社会的勢力の資金源遮断のため
反社会的勢力と付き合わなければ、彼らの活動資金源を遮断することができます。
つまり、企業が反社と取引しなければ、反社会的勢力の資金調達機会はどんどん減っていき活動できなくなります。
取引が法に則って行われているとしても、反社会的勢力との取引の時点で資金が供給されてしまうので、取引内容を問わず反社会的勢力と付き合わないことが重要になります。
関連記事:元暴5年条項とは?定義や反社会的勢力排除に必要な理由を解説
反社チェックの具体的な行い方
反社チェックと言われても何をすれば良いか…悩まれる方も多いと思います。
どのやり方が良いかは会社の人員や予算、正確さなどを元に検討するのが大事です。
反社チェックには色々な方法が存在しますが、今回は大きく分けて2つの方法を紹介していきます。
自社で行う反社チェック
インターネットが発達した現代では簡単な調査なら自社で行うことも可能です。
企業規模や顧客数、商材の取引額などリスクとのバランスを考えてやり方を選ぶことも必要です。
1.Web検索で反社と繋がりがあるか確認する
Webで反社チェックしたい相手の企業名や代表者名を検索すると、反社会的勢力や関係者であるという情報が出てくることがあります。
コストをかけられない方や営業担当が商談準備と一緒にやるなど、手軽にできる方法です。
こちらはコストを抑えることができる一方で、相手が大きな組織や重要人物でなければ情報を拾うことが難しかったり、信憑性のない情報が混ざっている可能性もあります。
もし検索にヒットしたとしても精査することが必要になります。
実際の取引が行われる前にはより踏み込んだ方法での実施をオススメします。
関連記事:反社チェックをGoogle検索で行う方法とは?調査範囲や進め方について解説
2.新聞の記事検索サービスで検索する
過去に事件を起こした組織や人物であれば、新聞やWEB記事から検索することができます。
無料で利用できるサービスもありますが、取引の内容によっては、有料サービスも活用していくと良いでしょう。
- 国立国会図書館で新聞記事データベースを利用する
- G Search(ジー・サーチ)を利用する
- 日経テレコンを利用する
注意点として、1・2の方法は、あくまで記事検索サービスとなるため、ネガティブなページや記事以外もヒットしてしまいます。
できる限り関係の無い情報を省くためにも反社・暴力団などのワードと会社名や個人名を掛け合わせて検索することで、余計な情報を減らしてチェックを行うことができます。
関連記事:反社チェックに日経テレコンは活用できるのか?メリット・デメリットを解説
3.会社情報の確認を行う
調査したい企業の登記情報やホームページの記載内容などを確認することで反社かどうかのヒントを見つけることができます。
調査の際は下記の3つのチェックポイントを確認します。
- ホームページ上の記載内容
記載内容に矛盾がないかを確認しましょう。
また、代表者や役員の経歴、写真が掲載されているかなど、情報の透明性を見ていくことで判断材料としていくのも良いです。
もちろん、代表者名や写真がないからといって反社というわけではありませんが、フロント企業や関連企業の場合、そういった情報を表立って出すことは少ないようです。
- 商業登記や不動産登記の情報
会社名や住所が頻繁に変更されていないかを確認します。
また、ホームページとの違いがないかも一緒に確認していくと良いでしょう。
変更履歴が多い企業は問題が起こる度に社名や住所を変更している恐れがあります。
- 住所をマップツールで検索
住所に実際に会社やビルが存在しているか確認するだけでも有効な手です。
関連記事:反社会的勢力と関わりのある企業一覧は存在するのか?見分け方・調べ方も解説
4.反社チェックツールを利用する
反社チェックツールを導入して効率的に実施する方法もあります。当然企業規模が大きくなっていくとそれに伴い顧客数もどんどん増えていきます。
膨大な数の顧客をインターネット検索などの精査されていないデータから反社チェックしていくのは現実的には得策でありません。
コストはかかってしまいますが、反社チェックツールを利用すればスピーディー且つ検索リストを用意するだけで簡単に実施できるケースもあります。
専門知識も必要ないので非常に便利です。
ツールを導入することできちんと反社チェックをしっかりしていると取引先やメディアへアピールすることもできます。
業務を効率化できる反社チェックツールの導入は、自社のコンプライアンスを高める方法としてもとても有効です。
弁護士や警察など専門組織への依頼
自社での調査では手に余る場合や、深く調査したい場合には専門組織への相談が効果的です。
専門組織の調査結果であるというだけで、他社やメディアからの信頼度は増していきます。
相談が可能な専門組織としては弁護士や警察、各都道府県に設置されている暴力団追放運動推進センター、専門調査会社などがあります。
組織によっては情報開示のハードルが高く、思うように情報を取得することができない可能性があります。
しかし、専門の弁護士や調査会社に相談することで解決できるケースもあるため、状況によって活用していきましょう。
関連記事:反社チェックはどこまで行うべきか 実施対象・方法を解説
反社チェックを始めるタイミングは
反社チェックを行うタイミングは早ければ早いほうが良いです。
今現在、付き合いがある企業へのチェックはもちろん、新規で取引を行う企業には契約を締結する前に確認することが必要です。
また、上場準備を進める企業であれば、早めに着手しておきましょう。
申請時に「反社会的勢力との関係がないことを示す確認書」を提出しなければなりませんので、すべての取引先・従業員・株主への反社チェックが必要になってきます。
上場を目指すのであれば必ず反社チェックをするタイミングが発生するので、早いうちから取り組んでおくと申請業務もスムーズになります。
事業拡大とともに反社チェックを行っていくと良いでしょう。
関連記事:反社チェックを行うタイミングとは?チェック方法も解説
企業を守る反社チェック まとめ
ここまで反社チェックの概要から具体的なやり方まで解説してきました。
企業コンプライアンスを高めるためにも、反社チェックをできるだけ早く始めていくべきことだと認識していただけましたでしょうか。
改めて今回のポイントは以下の通りです。
- 反社チェックとは会社・個人に関わらず、取引相手が反社勢力に該当しないか確認する作業
- コンプライアンス、企業リスクのために反社チェックが必要
- 反社チェックを始めるタイミングはできるだけ早いほうがよい
反社会的勢力は意外と身近に潜んでいます。
企業リスクを意識すると反社チェックは避けては通れない事柄になるので、早いうちから対策してみてください。
関連記事:反社チェックは義務なのか?反社会的勢力に関わる法令やチェックの方法を解説
関連記事:反社チェックを行うべき頻度は?定期的なチェックが大切な理由