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上場に成功・失敗する企業の違いとは IPO準備で気を付けるべきポイントを解説

IPOという言葉をご存じでしょうか?
Initial Public Offeringの略で「新規公開株」や「新規上場株」と日本語では訳されます。

端的に言うと、株を投資家に対して売り出し、証券取引所に上場し、誰でも株取引ができるようにすることをIPOといいます。
IPOをしたい!と思い立てば、誰でもできるわけではないのです。

2022年1月から9月でIPOを成功させた企業は70社に到達しません。
会社の成長や内部体制の整理が必要であり、時間的な制約を受ける場合もあるため、IPOが失敗することも珍しくないのです。
今回はIPO準備で失敗しない為に気を付けるべきポイントを解説していきます。

【参考】より深く知るための『オススメ』コラム

👉IPO準備が大変な理由とは?業績成長と内部統制のバランスについて解説

👉反社チェック(コンプライアンスチェック)を無料で行う方法

👉上場には何年かかる?IPO準備企業が押さえておきたい上場への作業とスケジュール

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目次[非表示]

  1. 1.IPO準備企業が上場に失敗しないために重視すべきこと
    1. 1.1.業績の持続的成長ができていない
    2. 1.2.内部統制構築の不備
      1. 1.2.1.段階的な権限の分散化
      2. 1.2.2.業務フローと意思決定の明確化
  2. 2.IPO準備企業が上場に失敗しないために把握すべきスケジュールとは
    1. 2.1.上場までのスケジュールと対応事項
      1. 2.1.1.直前々期以前(N-3)
      2. 2.1.2.直前々期(N-2)
      3. 2.1.3.直前期(N-1)
      4. 2.1.4.申請期(N期)
    2. 2.2.IPO準備のスケジュールにおいて注意すべきこと
      1. 2.2.1.余裕を持ったIPO準備
      2. 2.2.2.監査のクリア
      3. 2.2.3.会計の根拠資料がない
      4. 2.2.4.内容不透明な勘定残高
      5. 2.2.5.固定資産管理手体制の未整備
  3. 3.IPO準備企業に必須な反社チェックとは
    1. 3.1.反社チェックが必要な理由とは
      1. 3.1.1.コンプライアンス遵守と社会的責任
      2. 3.1.2.企業価値の維持
      3. 3.1.3.反社会的勢力の資金源遮断
    2. 3.2.反社チェックの検索方法とは
      1. 3.2.1.標準的な検索方法
      2. 3.2.2.精度の高い検索方法
  4. 4.まとめ

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IPO準備企業が上場に失敗しないために重視すべきこと

IPO準備企業が上場に失敗しないために重視すべきこと

IPOを試みる企業は多くありますが、そのすべての企業が成功するわけではないのです。
失敗の理由として多く挙げられるものは下記になります。

  • 業績の持続的成長ができていない
  • 内部統制構築の不備
  • 制度会計のリスク
  • 不祥事による信用の低下

ここではその中でも特に失敗の原因として挙げられる業績の持続的成長ができていない、内部統制構築の不備について解説していきます。

業績の持続的成長ができていない

IPOの準備において業績の持続的成長は必要条件であると言えます。
なぜなら、IPOには業績面でクリアしなければならない要因があるからです。

IPOは3年以上の準備時間を要するため、準備期間に業績が落ち込みIPOを断念する企業も少なくありません。

現在の上場区分はプライム・スタンダード・グロースの3つに分けられています。
最も要件が厳しいのがプライム、次にスタンダード、最後にグロースとなります。
その為IPO準備を行っている企業が最初に目指すのは、グロース市場である場合が多いです。

グロース市場への上場要件を業績という点に絞っておおまかに確認すると、株主数が150人以上、流通株式数が1,000単位以上、流通株式時価総額が5億円以上、流通株式比率が25%以上であることが挙げられます。

また、グロース市場では上場10年経過後に時価総額が40億円に満たない場合、上場基準を満たさないことになります。
その為、上場要件をクリアしたとしても10年経過後に時価総額40億円への到達が見込めない場合は上場廃止となり、IPOは失敗に終わるのです。

また、上場前には日常的な業務に加えて、上場に必要な準備業務も生じます。
そこで発生する人手不足や生産性が落ちることにより、業績の持続的成長が困難になります。

このようにIPO準備期間で業績が落ち込み、これまでの準備が水の泡になるという失敗を防ぐためには、社内で一丸になり、体制の構築が必要不可欠になります。
IPO準備期間は業績を持続的成長させつつ、内部体制も整えていくことが必須となってくるのです。

内部統制構築の不備

前述していますがIPO準備において社内で一丸となり体制を構築していくことが必要不可欠となります。

では、どのような体制を構築していくべきなのか解説していきます。
結論から述べますと、J-SOXという内部統制報告制度に則って体制を構築していく必要があります。

J-SOXは基本的に上場企業が対象となり、上場している企業はこの制度に則り内部統制を構築していく必要があるのです。
このJ-SOXというのは内部統制の概念の中で財務報告の信頼性という位置づけにあり、財務報告に対する信頼確保を目的としています。

制度の基本的構造として財務の報告にかかわる内部統制の評価及び報告と財務報告にかかわる内部統制の監査の2つで成り立っています。

IPO準備企業は上場申請期から適用となるため、上場申請期に自社の財務報告にかかる内部統制を評価し、その結果を内部統制報告書として提出する必要があります。
上場までのフェーズによって準備すべき事項も異なります。

直前々期以前(N-3)は株式の上場を行う上で整備すべき社内体制、会計制度、資本政策などの課題の抽出を行う、いわゆるショートレビューが必要になります。
直前々期(N-2)と直前期(N-1)では財務諸表監査、内部統制報告制度対応などが必要になります。

申請期(N期)には上場企業としての備えるべきガバナンス体制、IR制度の構築と運用が必要になります。
このように時期によってやるべきことがあり、段階を踏んで内部統制を構築していく必要があります。

ただ、どんなに細心の注意を払っていても不備があったり、失敗は起こりえるものです。
この内部統制で失敗に陥りやすい事例として挙げられるものは下記になります。

  • N-3からN-2の時期にショートレビュー監査の不備
  • N-2からN-1の時期に内部統制報告における評価から監査の過程で不備

この対策として主に2つ挙げることができます。

段階的な権限の分散化

経営の管理、監視を強化することは内部統制を最適化するには不可欠です。
経営者の独断など一極集中した意思決定を行わないことが重要になります。

業務フローと意思決定の明確化

上場を明確な目標とした時点で、事業フローの見直しや効率化、ヒューマンエラーを最小化する工夫が求められます。

また、会計業務においても経理を中心に取引がどのように管理されているか、そのチェックの過程を分析していくことが求められます。
その際の事業フローや意思決定を明確化することが重要になります。

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IPO準備企業が上場に失敗しないために把握すべきスケジュールとは

IPO準備企業が上場に失敗しないために把握すべきスケジュールとは

IPO準備開始から3年以上の期間を必要とする長期的な計画が必要となります。
3年と聞くと長いように感じますが、決して時間に余裕があるわけではありません。

各期間に取り組むべきことが多く存在し、時間を無駄にすることはできないのです。
ここではIPO準備でのスケジュール、注意すべきことについて解説していきます。

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上場までのスケジュールと対応事項

上場までのスケジュールは上場申請から直前々期以前(N-3)、直前々期(N-2)、直前期(N-1)、上場申請期(N期)、大きく4つに分けることができます。
各期間に取り組むべきことを説明します。
これらの事柄をすべて滞りなく行い、初めてIPOが完了しますので参考にしてください。

直前々期以前(N-3)

直前々期以前にはコンサルタントや監査法人、主幹事証券会社の選定を始めます。
そもそも、IPOを行いたいと経営者が思ったとしても、客観的視点から見るとIPOを行うべきでない場合もあります。

そのような客観的意見を専門的な意見を持ち合わせて述べてくれるのがコンサルタントです。
さらに、IPO準備においては通常の業務に加えて多くの業務を行う必要があります。
今後の業務に必要なデータ収集や、事業計画の策定など取り組むべき事柄は多くあります。

このような場合、ノウハウをもとに助言をしてくれる存在が必須となります。
そのため、3期以上前からIPO準備を始める必要があるのです。

直前々期(N-2)

直前々期ではショートレビューで指摘された事項の改善が図られている必要があります。
また、会社法の規定に従った手続きや内容により、取締役会や株主総会を開催する必要があります。

上場申請の2期前に当たるこの時期からは監査が必要になる期間となるため、上記の事柄に取り組む必要があるのです。

直前期(N-1)

直前期では株式公開に向けた市場の選定や書類作成等、取り組むべき事柄がより多くなります。
さらに事業計画。
資本政策の見直しと改善を行うことができる最後の機会になります。

このN-2の期間で上場企業としての適格があるかどうか審査されるため、社内体制や規定などの運用を完全にしておく必要があるのです。

申請期(N期)

上場申請期には株式譲渡制限のない公開会社になるため、定款の変更を行う必要があります。
また、証券会社による上場審査が行われます。
そこでは内部統制やコンプライアンス順守の体制が整っているかという事項を審査され、多くの質問事項に迅速に回答する必要があるのです。

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IPO準備のスケジュールにおいて注意すべきこと

IPO準備は長期間、取り組む事項も多く、決して簡単ではありません。
そのため注意すべき事項も多くあります。
特に注意するべきこととして挙げられるものは下記になります。

余裕を持ったIPO準備

余裕を持ったというのは時間的な意味もありますが、業績という面でも重要です。
IPOする要件に業績の面もあることは前述のとおりです。
業績が赤字にも関わらず、資金調達をしてIPOを目指すケースもあります。

その場合、調達資金が尽きる前に業績という結果を出す必要があります。
業績に追われ、時間にも追われる状況でありながらもIPO準備を進めなければならなくなります。
安定した業績を積み上げることがIPO成功において大きなファクターになることは間違いないのです。

監査のクリア

監査は必ずクリアしなければならない、最も重要な事項の一つです。
監査に必要な書類を用意するのに時間がかかります。
万が一修正が必要な場合も、容易ではないことが多々あります。

監査での会計ミスは、ただでさえ余裕のないIPO準備において、失敗に直接的に繋がりかねない注意しなければならない事項なのです。
注意しなければならないミスとして挙げられるものは下記になります。

関連記事:IPO準備企業にはなぜ監査法人が必要?必要な理由と選び方について解説

  IPO準備企業にはなぜ監査法人が必要? 必要な理由と選び方について解説 IPO準備中、自社の内部管理体制を整える上でも外部機関との連携が大事になります。 その中でも、「監査法人」とはIPO準備前からだけでなく、上場後も付き合っていく重要な機関です。 今回はIPO準備企業にはなぜ監査法人が必要なのか、必要な理由と選び方についても解説していきます。 RISK EYES


会計の根拠資料がない

IPOの際の監査では会計書類に対して根拠となる資料が求められます。
なおかつ、後から確認できるように整理を行わなければなりません。
そのため、口頭での契約は認められず、契約書等の書類を作成する必要があります。
このようにすべての会計処理に対して根拠資料を保管する必要があります。

内容不透明な勘定残高

賃借対照表を見た場合、資産や負債の中に内容が不明なものがあることがあります。
監査は厳正に行われるため、会計上不透明な点がある場合監査に通らない可能性があります。

固定資産管理手体制の未整備

固定資産台帳にはあっても、現物が確認できない場合が存在します。
そのため台帳を確認が可能なように整理し、過不足がないよう管理を行える体制を作る必要があります。

他にも実地棚卸の正確性、受払記録の整備、連結決算体制の確立等注意しなければならない点は多々あります。
多くの点に共通して言えることは、後から確認ができるように書類等の記録を残しておくことが必要になるという点です。

加えて、コンプライアンス体制を整えることも重要です。
近年は法令を守るだけでは不十分、倫理や社会規範の遵守を求められています。
会社法や労働基準法等を遵守することはもちろん、情報管理やリスクマネジメントの重要性を認識しIPO準備を進めていく必要があります。

関連記事:IPO準備企業が上場までのフェーズごとにやるべきこと

  IPO準備企業が上場までのフェーズごとにやるべきこと IPO準備は各フェーズごとにやるべきことが変化するもの。申請期が近づくにつれ、より上場企業としては当たり前な体制構築や提出書類への対応に追われることに。今回の記事では、IPO準備企業が上場までのフェーズごとにやるべきことを解説。 RISK EYES


IPO準備企業に必須な反社チェックとは

IPO準備企業に必須な反社チェックとは

IPO準備のスケジュールを把握し、漏れなく準備を進めたとしてもIPOが成功しない場合もあります。
申請会社、取引先、社員等に反社と捉えられる人物が存在する場合はこれまでの準備がすべて水の泡になる可能性もあります。

そのようなリスクを回避するために反社チェックについて解説していきます。
反社という言葉を聞いて、自分や自社は関係ないと思う人は一定数存在します。
ですが、上場審査において避けて通れないのが反社チェックなのです。

そもそも反社チェックというのは、企業が契約や取引を始める前に、相手が反社会的勢力に関係していないかを見極めることです。
反社とされる組織は指定暴力団、準暴力団、暴力団関係企業の大きく3つに分けられます。

この3つの団体と直接的に関係を持っていないことを確認するのは勿論のこと、間接的にも関係を持っていないことも確認する必要があります。

反社チェックが必要な理由とは

反社チェックが必要な理由として挙げられるものは下記になります。

コンプライアンス遵守と社会的責任

暴力団との関係を断つために、すべての都道府県で暴力団廃止条例が施行されています。
そのなかで企業に対してあらゆる努力義務が課せられています。
このような面からみても反社排除の役割を担うことは企業の社会的責任として重要視されています。

参考:IPO準備にはなぜ反社チェック(コンプライアンスチェック)が必要なのか?上場基準の反社会的勢力排除の体制づくりについて解説

  IPO準備にはなぜ反社チェック(コンプライアンスチェック)が必要なのか? 反社会的勢力排除の体制づくりについて解説 IPO準備企業にとって落とし穴になりかねないのが「反社チェック」です。近年は暴力団排除条例などで暴力団構成員は減少傾向にありますが、その分だけ目立たないようにうまく社会に溶け込んでいます。 例えば、まったく関わりがないと思われるような企業も、裏では反社会的勢力と密接な関係だったり、社員の中に紛れていたりもします。 そうした企業と取引などがあると、上場審査の際に引っかかって、それまでの準備が水の泡になってしまうことがあります。 そのため、IPO準備企業は、必ず反社チェックを行わなければなりません。今回はその方法やポイントなどを紹介いたします。 RISK EYES


企業価値の維持

反社勢力と取引している場合、資金供与とみなされ融資停止や上場廃止といった行政処分が科される場合があります。
そうすると、企業を存続させていくうえで致命的なダメージを負うことになります。

反社会的勢力の資金源遮断

前述しましたが、すべての都道府県で暴力団廃止条例が施行されており、社会として反社会勢力を排除するよう動いています。
反社会勢力を社会から排除していくためには資金源を断ち、打撃を与えていくことが重要と捉えられています。

反社チェックの検索方法とは

反社チェックの検索方法は段階によって適した検索方法があり、失敗しないためには使い分けが重要になります。

標準的な検索方法

まずは標準的な検索をします。
方法としてはインターネット上の情報を検索する、新聞記事データを検索する、公知情報より独自で収集した反社会的勢力情報データベースを検索するという方法が挙げられます。
このうち2つ以上の手段を実施することが推奨されています。

精度の高い検索方法

標準的な反社チェックを行い危険性がある場合、精度の高い反社チェックを行う必要があります。
その場合は調査会社や興信所に依頼するべきです。

その反社チェックでより危険性が高いと判断された場合は警察暴追センターへ相談する必要があります。
手続等は大変ですが、IPOを成功させるには必ず行うべきです。

参考:【上場企業の事例つき】反社・コンプライアンスチェックとは?

  【初めての方向け】反社チェック・コンプライアンスチェックとは?やり方、業務フローまとめ 反社排除の対象者や、実際の『反社チェック』『コンプライアンスチェック』の仕方について、上場企業である弊社の事例を交えながら、分かりやすく解説します。初めての反社チェックには本書を一読ください。 RISK EYES


まとめ

ここまでIPOを失敗しないために注意すべきことをまとめてきました。
長期的に綿密な計画を立てること、会社として団結することが必要だと分かりました。

そのためにはスケジュールを把握し、時間的・業績的に余裕を持つためにリスク管理や体制の整備をすることが重要になります。
これからIPOを考えている経営者の皆様は是非参考にしてみてください。

関連記事:IPO準備企業が整備すべき人事・労務とは 懸念点についても解説
関連記事:IPO準備の前段階?自社の経営を上場基準に合わせる「ショートレビュー」とは

  IPO準備企業が整備すべき人事・労務とは 懸念点についても解説 IPOを目指す場合、経営の基礎や体制が整っているか人事・労務の内容についても上場の際に審査されることになります。そこでIPO準備企業が整備すべき人事・労務の面でどのような整備が必要か、懸念点について具体例などを交えながら解説します。 RISK EYES
  IPO準備の前段階?上場基準に合わせる「ショートレビュー」とは 上場準備の最初の1歩として行われる「ショートレビュー」です。 今回は、監査法人や公認会計士が行う「ショートレビュー」について、ヒアリング内容や行うのに適切な時期、費用や全体の流れまで解説していきます。 RISK EYES


佐々木 雄輝
佐々木 雄輝
2022年にソーシャルワイヤー株式会社に入社。 反社チェックサービス『RISK EYES』のマーケティング施策の企画立案を担当。
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今回のセミナーでは、上場検討中の企業様や、急成長中の企業様へ向けて、

  • どのように反社チェック体制を構築するか
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2015年に株式公開した弊社が自社の事例を踏まえて解説いたします。

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