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スタートアップに求められるIPO準備で早く取り組むべき組織体制の整備とは

スタートアップ企業は急成長を遂げる中で、営業方面にリソースを割いているため、組織体制がおざなりになりがちです。
IPOを目指す上では是正していかなければならない重要なポイントです。

経営者のワンマン体制ではなく、組織的な体制構築が求められる中で、IPO準備企業となったスタートアップに早く取り組むことを求められる組織体制について解説していきます。

【参考】より深く知るための『オススメ』コラム

👉IPO準備企業が上場までのフェーズごとにやるべきこと

👉反社チェック(コンプライアンスチェック)を無料で行う方法

👉IPO準備(上場準備)のスケジュールとは 直前々期以前から申請期までの対応事項を解説

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目次[非表示]

  1. 1.スタートアップが目指すIPOとは
    1. 1.1.スタートアップが上場するメリット
      1. 1.1.1.資金調達面
      2. 1.1.2.企業の認知度の向上
    2. 1.2.上場に必要な要件とは
      1. 1.2.1.実質要件
      2. 1.2.2.形式要件
  2. 2.スタートアップのIPO準備のスケジュールとは
    1. 2.1.直前々期以前(N-3期)
    2. 2.2.直前々期(N-2期)
    3. 2.3.直前期(N-1期)
  3. 3.スタートアップがIPO準備で早めに取り組むべきこととは
    1. 3.1.IPO準備を取りまとめる人材の採用
    2. 3.2.予実管理
    3. 3.3.バックオフィス体制の構築
  4. 4.スタートアップがIPOを目指す上でできるだけ早く取り組むべき反社会的勢力の排除体制構築とは
  5. 5.まとめ

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スタートアップが目指すIPOとは

スタートアップが目指すIPOとは

多くのスタートアップが目指すIPOとは、非上場企業が、新規に株式を証券取引所に上場し、投資家に株式を取得させることを意味します。

ここではスタートアップが上場するメリット、上場に必要な要件、IPO準備のスケジュールについて詳しく解説していきます。

スタートアップが上場するメリット

スタートアップが上場するメリットは下記になります。

  • 資金調達面
  • 企業の認知度の向上

1つずつ解説していきます。

資金調達面

上場すると資金調達の方法が多種多様な方法から選べるようになります。
IPOにおける1番の目的は、成長に向けた資金の獲得になります。
IPOのタイミングでは、基本的にはメイン事業が一定の成長安定性を備えています。

そのため、より大きなスケールの成長を目指すには、既存事業のスケールアップやM&A、海外展開や新規事業開発などを検討していく必要があります。
こうしたよりスケールの大きな成長を行っていくには多額の資金が必要になります。

上場することによって、株式の売買を始めとしたさまざまな方法で資金調達ができるため、今までに行うことができなかった施策を行うことができるようにより企業の成長に繋がります。

参考:IPO準備時におけるM&Aのメリット・デメリット 実施時の注意点も解説

  IPO準備時におけるM&Aのメリット・デメリット 実施時の注意点も解説 IPO準備を進める中で企業の成長のために「M&A」を行いたい場面があります。 一般的に上場申請期においての「M&A」は上場審査上望ましくないとされていますがそれはなぜなのか? 今回はIPO準備時にM&Aを実施するメリット・デメリットに関して解説し、最後にはもしM&Aを実施するとした場合の注意点についても紹介します。 RISK EYES


企業の認知度の向上

上場をおこなうことによって、企業自体の認知度が向上します。
認知度がUPすることによって、社会的信用度の向上やマーケティング活動においてさまざまなメリットを享受できます。

社会的信用度が向上することにより、上場以前よりも金融機関からの格付けが向上し、借入れ条件が改善されることや取引先との契約交渉も優位に立てることがあります。

マーケティング活動においても今まで以上に活動を効率化することができるなどのメリットが生まれます。
そして企業の認知度が向上することによって、企業に注目が集まります。

結果として、採用活動も円滑におこなえるようになり、加えて既存社員のモチベーションアップ等も期待できます。

上場に必要な要件とは

上場審査を突破するためには実質要件と形式要件と呼ばれる2種類の要件を満たす必要があります。

ここでは実質要件と形式要件それぞれについて、スタートアップが上場しやすい東京証券取引所のグロース市場を例に解説していきます。

実質要件

実質要件とは、上場に関して証券取引所が上場予定企業を審査する際に用いられるいくつかの定性的な基準になります。
グロース市場では下記の5つの観点から上場審査がおこなわれます。

  1. 企業内容、リスク情報等の開示の適切性
  2. 企業経営の健全性
  3. 企業のコーポレートガバナンス及び内部管理体制の有効性
  4. 事業計画の合理性
  5. 交易及び投資者保護の観点から必要と認められる事項

また、グロース市場では上場後、成長する可能性が高い企業を上場の対象としているため、主幹事証券会社が企業の成長の可能性について判断し、証券取引所に報告することになります。

IPOを企業が考える際には、これら5つの要件を満たす必要な資料の準備、また社内体制の整備などの準備が求められることになります。

参考:日本取引所グループ「上場審査基準概要(グロース市場)」

形式要件

形式要件とは、公開予定株式数や資本金の額のような定量的な要件のことを指します。
グロース市場の形式要件は以下の表のとおり、6つあります。

項目

グロース市場形式要件

株主数(上場時見込み)
150人以上
流通株式(上場時見込み)

流通株式数1,000単位以上

流通株式時価総額5億円以上

(原則として上場に係る公募等の見込み価格等に、上場時において見込まれる流通株式数を乗じて得た額)

流通株式比率25%以上
公募の実施
500単位以上の新規上場申請に係る株券等の公募を行うこと
事業継続年数
1か年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること

虚偽記載又は不適正意見等

「上場申請のための有価証券報告書」に添付される監査報告書(最近1年間を除く)において、「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」

「上場申請のための有価証券報告書」に添付される監査報告書等(最近1年間)において、「無限定適正」

上記監査報告書又は四半期レビュー報告書に係る財務諸表等が記載又は参照される有価証券報告書等に「虚偽記載」なし

新規上場申請に係る株券等が国内の他の金融商品取引所に上場されている場合にあっては、次の(a)及び(b)に該当するものでないこと

(a)最近1年間の内部統制報告書に「評価結果を表明できない」旨の記載

(b)最近1年間の内部統制監査報告書に「意見の表明をしない」旨の記載

上場会社監査事務所による監査

「新規上場申請のための有価証券報告書」に記載及び添付される財務諸表等について、上場会社監査事務所の監査等を受けていること
株式事務代行機関の設置

東京証券取引所(以下「東証」という)の承認する株式事務代行機関に委託しているか、又は当該株式事務代行機関から株式事務を受託する旨の内諾を得ていること

単元株式数
単元株式数が、100株となる見込みのあること
株券の種類

新規上場申請に係る内国株券が、次のaからcのいずれかであること

議決権付株式を1種類のみ発行している会社における当該議決権付株式

複数の種類の議決権付株式を発行している会社において、経済的利益を受ける権利の価額等が他のいずれかの種類の議決権付株式よりも高い種類の議決権付株式

無議決権株
株式の譲渡制限
新規上場申請に係る株式の譲渡につき制限を行っていないこと又は上場の時までに制限を行わないこととなる見込みのあること
指定振替機関における取扱い
指定振替機関の振替業における取扱いの対象であること又は取扱いの対象となる見込みのあること

参考:日本取引所グループ「上場審査基準概要(グロース市場)」

スタートアップのIPO準備のスケジュールとは

スタートアップのIPO準備のスケジュールとは

スタートアップにおいては早い段階からIPO準備をすることが重要です。
ここではIPO準備のスケジュールについて、直前々期以前(N-3期)、直前々期(N-2期)、直前期(N-1期)に分けて解説していきます。

参考:IPO準備(上場準備)のスケジュールとは 直前々期以前から申請期までの対応事項を解説

  IPO準備のスケジュールとは 直前々期以前から申請期までの対応事項を解説 会社のIPO(上場)はさまざまなメリットがある一方、準備作業は多岐にわたり時間も必要です。 「IPOを考えているが、どのように準備を進めればいいか悩んでいる」という方も多いことでしょう。 今回はIPO準備のスケジュールを解説すると共に、直前々期以前から申請期までの時期ごとに必要な対応事項を解説していきます。 RISK EYES


直前々期以前(N-3期)

直前々期以前に監査法人の選定、主幹事証券会社の選定などをおこないます。
監査法人をなるべく早く選定しておくことによって、監査法人によるショートレビューを受けることができ、IPO準備における課題を洗い出すことができます。

ショートレビューで浮き彫りになった課題に対してスケジュールや対策を決めていくことになるため、なるべく早い段階から監査法人を設定してショートレビューを受けることをおすすめします。

参考:IPO準備の前段階?自社の経営を上場基準に合わせる「ショートレビュー」とは

  IPO準備の前段階?上場基準に合わせる「ショートレビュー」とは 上場準備の最初の1歩として行われる「ショートレビュー」です。 今回は、監査法人や公認会計士が行う「ショートレビュー」について、ヒアリング内容や行うのに適切な時期、費用や全体の流れまで解説していきます。 RISK EYES


直前々期(N-2期)

直前々期には資本政策の策定や社内の管理体制構築を行います。
IPOにおける主たる目標である資金到達に対して、発行する株式の種類や数について財務状況を考慮して策定することになります。

株式に関する内容は上場後の経営に影響を及ぼしてくるため、専門家の意見も取り入れながら策定していくといいでしょう。

そして社内の管理体制の構築についても進めます。経営管理体制を始めとしたさまざまな体制を整えるためにショートレビューで洗い出した課題を優先してつぶしていきます。
中でも会計体制の構築は、申請までの2期分が会計監査の対象となるため、非常に重要です。

参考:IPO準備時に必要な社内規程(社内規定)の整備とは 作成の注意点を具体的に解説

  IPO準備時に必要な社内規程の整備とは 作成の注意点を具体的に解説 上場審査の過程では、社内規程が適正に整備されているか、また実際に有効に運用されているかという点がチェックされます。 社内規程とは、社内の業務におけるルールを文章化したもので、社内規律を正すことでビジネスの将来性・継続性に貢献するという役割を担っています。 IPO準備企業では、具体的にどのような社内規程を作成すればよいのでしょうか? 今回は、IPO準備で整備するべき社内規程の種類や作成の注意点について具体的に解説していきます。 RISK EYES


直前期(N-1期)

直前期になると、直前々期で策定した社内体制の運用フェーズになります。
加えて申請書類などの作成業務や証券会社による審査も発生し、IPO準備がいよいよ佳境に入るフェーズでもあります。

そして審査を迎え、主幹事証券会社の最終審査や証券取引所審査を経て上場となります。

期ごとに重要な業務はありますが、何よりも早めにIPO準備に向けて、監査法人や主幹事証券会社の選定、社内体制の構築などを行うことが必要不可欠となります。

参考:IPO準備企業が上場までのフェーズごとにやるべきこと

  IPO準備企業が上場までのフェーズごとにやるべきこと IPO準備は各フェーズごとにやるべきことが変わってきます。 申請期が近づくにつれ、より上場企業としては当たり前な体制構築や提出書類への対応に追われることになります。 どんなこと気を付けて準備を進めていけばよいのか、今回はIPO準備企業が上場までのフェーズごとにやるべきことを解説していきます。 RISK EYES


スタートアップがIPO準備で早めに取り組むべきこととは

スタートアップがIPO準備で早めに取り組むべきこととは

IPO準備にはさまざまな準備が必要であり、どれから手を付ければいいのかわからないという方もいらっしゃることでしょう。

スタートアップがIPO準備していく中で早めに取り組むべき事項は下記になります・

  • IPO準備を取りまとめる人材の採用
  • 予実管理
  • バックオフィス体制の構築

1つずつ解説していきます。

IPO準備を取りまとめる人材の採用

IPOを取りまとめるための人材を採用することも企業の状況によって必要になります。
このような人材はほとんど市場には出てこないほど貴重な存在になるため、人材採用をおこなう場合には早急に採用活動に動く必要があります。

IPO準備を取りまとめる人材に求められるスキルは役員陣や事業部責任者などと適切なコミュニケーションを取ることができるかが大前提であり、内部統制体制の構築など今までの企業運営に規制をかけていくような話もしなければなりません。

そのため、役員陣や事業部を納得させられるだけのコミュニケーションスキルは非常に重要です。また、人材を確保する前に経営者に対してデメリットの理解も含めたIPOの目的の確認をしておくことをおすすめします。

人材を採用した後にIPOのデメリットを経営者が理解し、IPOを取りやめてしまうこともあるかもしれません。

こうなってしまうとせっかく採用した人材も退職することになってしまいますので、企業としてIPOに対する認識は統一しておきましょう。

予実管理

予実管理とは、企業の予算と実績を管理することです。
そもそも上場企業には業績予想を公表する必要があり、その業績予想を公表するにあたり、前提条件や根拠の適切な開示、正確性についても上場前より精度が高いものが求められます。

そのため市場環境や法的規定、想定されるリスク要因などを考慮したうえで達成が見込まれる予算を策定する必要があります。

予算実績との差異を把握するためにも正確でタイムリーな会計記帳がベースとなるため、経理体制の構築も重要な要素となります。

バックオフィス体制の構築

バックオフィスとは直接利益を生まない業務のことを指します。
例えば法務、総務や経理などの業務のことで、法令順守しながら企業活動を進めていくうえでは欠かせない部門となります。

なかでも企業内容の開示における会計に関する情報は、単に会計を正確に記録するだけではありません。

企業内容の開示には内部統制を含めた体制設備が必要となり、準備に時間を要することがあるため、なるべく早い段階から準備しておくことをおすすめします。

関連記事:IPO準備企業の経理に求められる役割とは 具体的に行う業務についても解説

  IPO準備企業の経理に求められる役割とは 具体的に行う業務についても解説 自社の株式を公開し、誰でも自由に株の売買ができるようにするためのIPO。 IPOを実現するためには、上場会社としてふさわしい内部体制を構築し、厳しい審査基準をクリアしなければなりません。 数年単位の期間が必要なIPO準備ですが、IPO準備企業の経理にはどのような役割が求められるのでしょうか? 今回は、IPO準備における経理の重要性、経理部門で気をつけるべきポイント、IPO準備企業の経理として働くことのメリットなどについて紹介していきます。 RISK EYES


スタートアップがIPOを目指す上でできるだけ早く取り組むべき反社会的勢力の排除体制構築とは

スタートアップがIPOを目指す上でできるだけ早く取り組むべき反社会的勢力の排除体制構築とは

IPO準備にあたって法令順守やガバナンス体制、コンプライアンスを遵守することは非常に重要です。

中でも2011年までにすべての都道府県で施行された「暴力団排除条例」においては、企業に対して下記の3つの努力目標が課されました。

  1. 契約時に相手が暴力団関係者でないことを確認すること
  2. 契約書に暴力団排除条項を盛り込むこと
  3. 暴力団関係者に対する利益供与の禁止

これらは努力義務となっていますが、違反した場合には該当法人の代表者に対して「勧告」がおこなわれることもあるため、企業としては対応すべき事項になります。

上場審査の際、反社会的勢力との関わりがないか、取引先や役員、社員や株主など厳しくチェックされる対象となります。

関係を持ってしまう前に反社会的勢力を排除する体制を整えることが大事で、自社の事業や体制に合わせた反社チェック体制を構築する必要があります。

参考:【上場企業の事例つき】反社・コンプライアンスチェックとは?

  【初めての方向け】反社チェック・コンプライアンスチェックとは?やり方、業務フローまとめ 反社排除の対象者や、実際の『反社チェック』『コンプライアンスチェック』の仕方について、上場企業である弊社の事例を交えながら、分かりやすく解説します。初めての反社チェックには本書を一読ください。 RISK EYES


まとめ

今回はスタートアップに求められるIPO準備で早く取り組むべき組織体制の設備について、IPOのメリットや上場に必要な要件、IPO準備におけるスケジュール、IPO準備で早めに対策しておきたいことについて解説してきました。

IPOを意識した時点から始めるべき事柄を解説してきたのでぜひ参考にしていただきたいです。

関連記事:スタートアップに絶対押さえてほしい「IPO/M&A」を妨げる反社のワナ
関連記事:IPO準備企業における内部統制への対応方法とは 体制構築のステップも解説

  スタートアップに絶対押さえてほしい「IPO/M&A」を妨げる反社のワナ スタートアップにとって欠かせない「成果」。それだけを求めていると足元すくわれるかも。反社会的勢力から企業を守る行動を取りましょう。 RISK EYES
  IPO準備企業における内部統制への対応方法とは 体制構築のステップも解説 IPO(上場)準備会社にとって、頭を悩ませるのが法令や上場規約などに設けられている社内体制の構築です。特に不可欠だとされている「内部統制」は、非上場時にはなかった体制を構築しなくてはならないケースも多く見られます。 そこで、上場に向けた内部統制の取り組みについて、問題となりがちな不明点を明らかにしていきます。 RISK EYES


佐々木 雄輝
佐々木 雄輝
2022年にソーシャルワイヤー株式会社に入社。 反社チェックサービス『RISK EYES』のマーケティング施策の企画立案を担当。
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今回のセミナーでは、上場検討中の企業様や、急成長中の企業様へ向けて、

  • どのように反社チェック体制を構築するか
  • どこまでの深さでチェックすべきか
  • 具体的なチェックフローはどうあるべきか

2015年に株式公開した弊社が自社の事例を踏まえて解説いたします。

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