社内のコンプライアンス意識を高めるためにやるべきことは?効果的な手段を解説
コンプライアンス違反は、企業経営に大きな影響を与え、最悪の場合、倒産にまで追い込まれます。
コンプライアンス違反企業の倒産動向調査によると、倒産した企業は近年増加しており、1年間で200社以上も珍しくありません。
参照:帝国データバンク コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2019年度)
コンプライアンス違反は、企業の法令・法律違反や、パワハラ・セクハラなどのハラスメントが主な要因ですが、インターネットの発達による、ツイッターなどのSNSに不適切な画像や動画を投稿するバイトテロや、悪質なハッカーによるサイバー被害など新たなリスクも出てきています。
そのため、コンプライアンスを遵守することは、企業経営にとって非常に重要です。
この記事では、コンプライアンスが重要視される背景や原因、コンプライアンス意識を高めるポイントについて解説しています。
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目次[非表示]
- 1.企業におけるコンプライアンスとは?
- 1.1.コンプライアンスが重要視される背景
- 1.2.コンプライアンス違反が起こってしまう原因
- 1.2.1.社員1人1人のコンプライアンスに対する意識の低さ
- 1.2.2.コンプライアンス違反が起こりやすい環境になっている
- 1.2.3.コンプライアンス違反を報告する仕組みがない
- 1.3.コンプライアンス違反の具体例
- 1.3.1.【パワハラ】消火器販売会社の新入社員が自殺
- 1.3.2.【SNSによる炎上】青汁ランキングサイト ステルスマーケティング
- 1.3.3.【法令違反】自動車販売会社 リコール隠し
- 2.コンプライアンス意識を向上させるためのポイント
- 2.1.コンプライアンスの基準を統一する
- 2.1.1.社内研修
- 2.1.2.オンライン研修(eラーニング)
- 2.2.ゴールを共有する
- 2.3.継続的にコンプライアンス教育をする
- 3.コンプライアンス遵守に必要な反社チェック・コンプライアンスチェックとは
- 4.まとめ
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企業におけるコンプライアンスとは?
コンプライアンス(Compliance)とは「法令遵守」という意味の英単語で、定められた法令や倫理観を守って企業経営するニュアンスで使われます。
具体的には、就業規則や行動規範の遵守、パワハラ・セクハラなどのハラスメント、内部情報の漏えい防止などのことを指します。
近年、企業だけではなく個人単位にもコンプライアンスの遵守が強く求められるようになりました。
ここでは、コンプライアンスが重要視される背景や原因について解説しています。
関連記事:コンプライアンスとは?わかりやすく・簡単に意味や使い方を解説
コンプライアンスが重要視される背景
コンプライアンスが重要視される背景として、PC・スマホの普及率上昇があります。
2010年以降からスマホが普及した影響で、SNSやネットニュースなどを利用した、インターネット上での交流や情報収集が一般的になり、企業や個人の不祥事が不特定多数の人の目に触れる機会が増えました。
そのため、コンプライアンス違反の情報が広がりやすく、企業経営により大きな影響を及ぼしてしまいます。
また、インターネットの普及による、悪質ハッカーのサイバーテロ被害も年々増加しており、企業は、内部情報の流出をIT面でも防がなければいけません。
関連記事:コンプライアンスが重要視される理由とは?必要なワケを解説
コンプライアンス違反が起こってしまう原因
コンプライアンス違反が起こる原因は、大きく分けて3つあります。
- 社員1人1人のコンプライアンスに対する意識が低い
- コンプライアンス違反が起こりやすい環境になっている
- コンプライアンス違反を報告する仕組みがない
それぞれ詳しく見ていきましょう。
社員1人1人のコンプライアンスに対する意識の低さ
コンプライアンスに対する、社員1人1人の意識が低いと、企業経営に影響を及ぼす可能性は高くなってしまいす。
コンプライアンス違反は、企業の法令違反だけではなく、社員個人の問題も対象です。
そのため、コンプライアンスに対する意識を、個人単位で上げていく必要があります。
関連記事:企業イメージをアップさせるコンプライアンス遵守を解説
コンプライアンス違反が起こりやすい環境になっている
社員1人1人がコンプライアンスに対して高い意識を持っていても、労働環境が変わらなければ、リスクは低くなりません。
具体的には「社内規範・行動指針のルールが曖昧」「コンプライアンス教育ができていない」「社員の管理体制がずさん」などが挙げられます。
どれか1つでも対策ができていないと、いつコンプライアンス違反が起こってもおかしくありません。
コンプライアンス違反を起こさないためにも、労働環境を整える必要があります。
関連記事:コンプライアンス・リスクとは?リスク管理方法とフローを解説
コンプライアンス違反を報告する仕組みがない
営業所や部署単位で、パワハラやセクハラなどのハラスメントが起こっていても、相談や報告できる仕組みがなければ、コンプライアンス違反までつながる恐れがあります。
特に立場が下の社員ほど相談しづらく、そのまま悩みを抱え込んでしまい、気づいたときには手遅れになる可能性が考えられます。
対策窓口を設け、悩みを相談しやすい環境を作ることで、間接的にコンプライアンス違反を防止しましょう。
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コンプライアンス違反の具体例
では、過去にどのようなコンプライアンス違反が起こってきたのでしょうか。
ここでは、企業が起こしたコンプライアンス違反の具体例を紹介します。
- 【パワハラ】消火器販売会社の新入社員が自殺
- 【SNSによる炎上】青汁ランキングサイト ステルスマーケティング
- 【法令違反】自動車販売会社 リコール隠し
1つずつ自社のリスクと照らし合わせてご確認ください。
【パワハラ】消火器販売会社の新入社員が自殺
消火器販売会社の新入社員Aさん(19歳)が、入社して1年も経たずに自殺した問題。
上司の日常的なパワハラが原因で、人格を否定するような発言をAさんにぶつけていました。
Aさんが仕事の失敗が多いからといって、パワハラをするのはコンプライアンス違反に該当します。
結果、Aさんはうつ状態になってしまい、自宅で首吊り自殺をしてしまいました。
【SNSによる炎上】青汁ランキングサイト ステルスマーケティング
青汁ランキングサイトを運営していたB社が、インスタグラムで同社の社員に運営・宣伝をさせていた事実を隠し、ステルスマーケティングをしていた問題。
運営している社員が、ダイエット中の女性に成りすまして、痩せる様子を公開しつつ、青汁の紹介もしていました。
B社のオフィスで撮影された写真や、社員と思われる女性が別SNSで「ダイエットの成果を強調するために、わざと太った」と告白して、問題が発覚。
B社はランキングサイト、インスタグラムの閉鎖を発表しました。
参照:IT media NEWS Instagramで“ステマ”発覚
関連記事:コンプライアンス違反の罰則とは 起こさないための対策と事例を詳しく解説
【法令違反】自動車販売会社 リコール隠し
自動車販売会社C社が、リコール※1につながる情報を社内で隠蔽したことで、2002年に2人が死亡した問題。
2002年以前にも、10車種以上のクレームが報告され続けていましたが、C社は国土交通省に通告をせず、社内隠蔽し続ける企業体質でした。
※1リコール:企業側の設計、製造による製品に欠陥がある場合に、無償で修理、交換、返金を行うこと
これらの事故を受け、当時の役員らは逮捕され、C社を退職する人が続出。
深刻な経営不振に陥りました。
参照:IT mediaビジネス ONLINE 「技術屋の頑固さ」が落とし穴
関連記事:コンプライアンス違反とは?事例や法令遵守のための取り組みを解説
コンプライアンス意識を向上させるためのポイント
コンプライアンス違反を防ぐためには、企業が法令を守るだけでなく、社員1人1人の意識を向上させる必要があります。
ここでは、コンプライアンス意識を向上させる3つのポイントを解説します。
- コンプライアンスの基準を統一する
- ゴールを共有する
- 継続的にコンプライアンス教育をする
1つずつ確認していきます。
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コンプライアンスの基準を統一する
まずは、社内全体のコンプライアンスの基準を統一しましょう。
一言にコンプライアンスといっても、人それぞれ考え方があるので、企業として求めるコンプライアンスを周知する必要があります。
具体的な方法として、「社内研修」「オンライン研修(eラーニング)」の2つがあるので、それぞれ解説します。
社内研修
社内研修では、過去のコンプライアンス事例から、違反箇所の特定や今後の対策を伝えましょう。
事例を共有することで、「今後、社内外で起きるかもしれない」「自分が起こしてしまうかもしれない」という危機感を社員1人1人に持たせて、コンプライアンスに対する意識を底上げできます。
また、普段関わらない部署同士が、互いにコンプライアンス違反のリスクを共有することで、予想できないリスクを未然に防げる可能性もあります。
コンプライアンスに対する責任範囲を明確化するためにも、役員を含む社員全員を対象とした研修を行いましょう。
関連記事:コンプライアンス研修の目的と内容 テーマ別事例や実施方法を解説
オンライン研修(eラーニング)
社員全員を1つの場所に集めるのが厳しい場合は、インターネットを利用したオンライン研修も1つの方法です。
オンライン研修は、社員全員を集める必要がないため、出張費用や講師の工数を削減した、コストの低い研修が可能です。
特にeラーニングは、いつでも好きな時間に研修を受けられるので、社員や講師のスケジュールを押さえる必要がなく、仕事に影響しない範囲で行えます。
ただし、オンライン研修の場合、社員1人1人のコンプライアンス意識が高くなったかどうかを判断できないため、eラーニングを通した理解度チェックやテストも合わせて用意しておくとよいでしょう。
ゴールを共有する
コンプライアンスに対する企業全体のゴールを共有しましょう。
社員には役員、部長、中堅社員、新入社員など勤続年数や経験が異なる人ばかりなので、具体的なゴールがないと、企業も社員もコンプライアンスについて、よくわからないままの状態になってしまいます。
社内全体にコンプライアンスの意識を浸透させるためにも、情報伝達に重要な5W1Hを用いた設定方法をおすすめします。
- 誰に(Who)
- 何を(What)
- いつまでに(When)
- なぜ(Why)
- どのように(How)
5W1Hでゴールを明確にして、企業全体のコンプライアンス意識を高めましょう。
関連記事:質を向上させるコンプライアンス研修の資料作成方法を解説
継続的にコンプライアンス教育をする
コンプライアンス教育は1回だけで終わらず、継続的に行うことが大切です。
事業に対する法令や法律は毎年変わっているため、知らず知らずのうちにコンプライアンス違反を犯してしまうリスクがあります。
また、リモートワークによるサイバー被害や、ツイッターやインスタグラムなどのSNS経由の炎上も増えており、今後どのようなコンプライアンス違反が出てくるか予想できません。
企業全体のコンプライアンス意識を再度高めるためにも、最低でも1年に1回ペースで教育を行いましょう。
コンプライアンス遵守に必要な反社チェック・コンプライアンスチェックとは
企業全体のコンプライアンス意識を高めるのも重要ですが、反社チェック・コンプライアンスチェックも必要です。
社員はもちろん、取引先、株主など企業に関わるステークボルダー※2の中に、反社会的勢力が存在すると、企業としてコンプライアンス違反になります。
※2 ステークホルダー:株主、従業員、クライアント、取引先、金融機関など企業経営に関わる人物の総称
反社会的勢力は、暴力団をはじめ、準暴力団、暴力団関係企業の3つが存在しています。
反社会的勢力と関わることは、各都道府県の条例により厳しく規制されており、発覚すると、イメージの悪化、取引中止など企業経営に大きなダメージを与えてしまいます。
そのため、反社会的勢力が企業経営に関わるのを防ぐために、反社チェック・コンプライアンスチェックが必要となります。
反社チェックは主に3つの方法に分けられます。
- 検索エンジン、新聞記事検索ツールを利用した一次調査
- 反社チェックツール
- 調査会社、興信所などの専門機関へ依頼
Googleなどの検索エンジンを用いる一次調査は、企業内で完結する最も手軽な方法ですが、情報の信憑性が保証しきれないこともあり、必要な情報を入手できない可能性があります。
調査会社、興信所などの専門機関に依頼すると、信頼性の高い反社チェックを行えますが、1件1件に時間がかかる上に、多くのコストが発生してしまいます。
コストを抑えつつ、効率的に調査したい場合は、反社チェックツールの活用がおすすめです。
反社チェックツールは、検索したいワードを準備するだけで調べられるので、専門知識がなくても利用できます。
コストや企業のリスクに合わせたツールを選定することが大切です。
関連記事:反社チェックを無料で行う方法 ツール利用についても解説
まとめ
コンプライアンス違反は、企業イメージの悪化、取引や融資の停止、従業員の退職など企業経営に大きな影響を与えて、最悪倒産にまで追い込まれる可能性があります。
SNSなどのインターネット関係のツールが発達したことで、個人単位で問題を起こすケースも増加しているため、社員1人1人のコンプライアンスに対する意識を底上げする必要があります。
社内研修や反社チェックで、コンプライアンス違反を未然に防ぎ、健全な企業経営を継続させましょう。
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