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IPO準備&急成長ベンチャーに必要な「契約管理」 法務体制強化でリスク管理

2022年3月16日(水)に行われた(株)LegalForceとソーシャルワイヤー(株)の共催セミナーですが、ご参加いただいた皆様からも大好評で終えることができました。

目玉企画であった「【対談】IPO準備中・急成長中に企業がぶつかる壁 事例と対策」では(株)LegalForceの代表取締役社長の角田望氏と、弊社代表取締役社長の庄子素史氏による急成長企業に必要な管理体制について、目から鱗な話が続々と出てきました。

本記事は対談のテーマの1つ「契約管理」について、セミナーに参加できなかった方にも、ご覧いただけるように、対談部分を余すところなく前・後編にてお届けいたします。

【参考】より深く知るための『オススメ』コラム

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反社チェック体制構築の実務者向けセミナー

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目次[非表示]

  1. 1.IPO準備・急成長ベンチャーにおける法務業務のあるべき姿とは?
    1. 1.1.ソーシャルワイヤーが上場前に直面した法務業務の課題とは
    2. 1.2.ソーシャルワイヤーがIPO準備の中で困ったことは何だったのか?
    3. 1.3.急成長企業(株)LegalForceの社長が考える法務周りの対応方法とは
      1. 1.3.1.「コアビジネスを守る契約書を作り上げる」
      2. 1.3.2.「契約書はリスク分担の取り決め書」
      3. 1.3.3.「M&A時の表面保証はしっかり精査をする」
      4. 1.3.4.「無くなったものはほぼ出てこない」
  2. 2.まとめ
  3. 3.共催セミナー協力企業のご紹介
    1. 3.1.登壇者紹介
    2. 3.2.AI契約管理システム「LegalForceキャビネ」

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IPO準備・急成長ベンチャーにおける法務業務のあるべき姿とは?

法務業務イメージ
まずは、2015年にマザーズ上場をしている弊社ソーシャルワイヤーの事例を元に、法務業務のあるべき姿について対談しています。

ソーシャルワイヤーが上場前に直面した法務業務の課題とは

課題イメージ
ソーシャルワイヤー(株)庄子素史氏(以下、庄子):当社が上場するときに法務回りにどのような課題があったのか、苦労した部分を率直にお話していきます。当時は管理部門を最小人数で回しており、できるだけ会社のリソースを営業や開発のプロフィットを生み出すところに割いていました。

 当時、法務関連の業務は各部門長や経営企画の立ち位置の人がダブルチェックをする程度で、弁護士格を有する人や法務専属の担当者は社内にいませんでした。困ったときは外部の顧問弁護士に見てもらうといった現状でした。

ソーシャルワイヤーがIPO準備の中で困ったことは何だったのか?

監査イメージ
庄子:1つ目は「抜き打ちの監査」ですね。「内部統制ができてるの?」ってところがIPOしていく上で非常に重要なテーマになります。内部統制の監査でされることは、大きな取引があった場合、例えば仕入れやお客様への支払い、M&Aなども「取引」に含まれますが、取引を監査する人はこういう大きな取引に目を付けて、この取引における承認がどういうフローで進められたのかを見られています。

 承認のフローがわかった後は、2つ目の契約書管理についてです。大きい取引だけでなく、細かいものも含めて抜き打ちで確認されます。

 当社では当時契約書を原本で管理し、Excelでデータとしてまとめていました。しかも部門ごとにバラバラでやっていました。そうすると何が起こるかというと、契約したはずなのに契約書の原本の一部が相手先から戻ってきておらず、当社で原本管理できていなかったのです。他には、契約は交わしたがExcelに入力していなかったのでその契約書が手元にないという状態。その時は本当に大変でした。

 契約書の管理は内部統制上、重要なポイントです。しかし、Excelで管理すると抜け漏れが出てきたり、部門を跨いだ一元管理が難しかった。現在はクラウドサインを活用し、承認・捺印しているので承認フロー・管理ともにスムーズになっていますが、一部では未だに原本を保管してExcel管理をしているので2重管理になってしまっている現状に課題を感じています。

 3つ目は契約書の作成です。簡単な取引であれば、営業担当が軽く変更して提出で問題ないです。しかし、複雑な取引になると、例えば「条項を加えなければならない」とか「条文を工夫しなければならない」などが発生してきます。その結果いろんな人が契約書に手を加えていくことでちょっとずつ変わってしまって原型をとどめていないみたいなこともありました。

 契約書の作成者と変更履歴、誰が管理してるかなど、さらにはこの契約書は正しいのかなんていちいち顧問弁護士に確認を入れてはいませんでした。法務担当がいなかったこともあり、本当にリスクがないのかのチェックには非常に苦労しました。

 IPOの審査では、誰が契約書をリスク排除の抜けがないように確認しているかというところも問われます。「契約書の作成を誰がやってる?」「どういう風に管理しているか?」というところも抜き打ちの監査でチェックされます。

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急成長企業(株)LegalForceの社長が考える法務周りの対応方法とは


庄子:法務周りが煩雑化していくベンチャーはどうやっていくのが良いのか。アドバイスなどあれば教えてください。

「コアビジネスを守る契約書を作り上げる」

(株)LegalForce角田望氏(以下、角田):成長フェーズに応じて法務対応を作っていくことが良いですね。創業後の浅いフェーズは、顧問弁護士に相談しながら法務体制を作っていくのが王道です。このフェーズでしっかりやらなければならないのは「資金調達に関する契約書」や「コアビジネスになっていく事業に関する契約書」を作り込むこと。それは自社の事業を契約書で守ることにつながります。

 弊社ではコア事業である「LegalForce」の契約書は、ひな形をしっかり時間をかけて作っており、この契約書によって自社のビジネスを守っています。この辺りは自分たちだけでやらず、顧問弁護士と連携して作っていく体制を整えたほうがいいです。

 その後フェーズが上がっていくのにつれて、株主総会や取締役会の運用や内部統制の体制、労務周りをきちんとやらなければならないとか、法務周りの確認・運用事項が増えるので、その時に法務部門を立ち上げ、ガバナンスを見るであったり、契約書の審査や資金調達の契約書作成を行える体制を社内に作っていくようなステップを踏む。というのが法務体制構築には良いのかなと思います。

 契約という観点でのアドバイスとしては、契約前に中身を精査してビジネスを守れるような契約書を作って結ぶことです。もう1つは結んだ後、きちんと契約書を回収するのが出発点で、契約に違反しないような体制を整えることも大事です。契約に違反してしまえば大きなトラブルになり得るので、違反しない体制を作っていくことを意識し、締結前にきちんと審査してビジネスを守れる内容か、契約書を回収してちゃんと契約を守る、あるいは権利をちゃんと使うことができる状態にできればトラブルとかリスクは防いで行けます。

「契約書はリスク分担の取り決め書」

庄子:投資契約書の場合はベンチャーキャピタルさんとかに回しますが、何となくお金が入ったことで安堵感とか、決まったことに安堵して、投資契約書はあんまり見ないことも多いですね。でも実は買取条項とかにきつい条項が入っていたりする場合があって、ビジネスがうまくいってるときはいいけど、うまくいってないときに契約書の詰めの甘さが露呈して、仲が悪くなった瞬間、お互い契約書を盾に殴り合うみたいなことが発生してしまうから契約書の確認は大事ですね。

角田:そうならないのが1番ハッピーですが、契約書ってそもそもうまくいかなかったときのリスクや損失を当事者間でどう分配するのかっていう「うまくいかなかったときのリスク分担の取り決め書」なんです。事業がうまくいかなかったときにその損失をどちらが負担するのかが予め契約書に書かれていますので、そこは当然うまくいっているのがいいですが、うまくいかなかったときに「自社のビジネス・会社そのものを守る」ためには、フラットに交渉できるタイミングで交渉しきっておいたほうが後悔しなくて良いですね。

「M&A時の表面保証はしっかり精査をする」

庄子:これから上場していく企業だと上場までの間でM&Aをしたり、上場後に調達された資金で買い手側としてM&Aをしていくケースも増えてくると思うんですけど、買った会社側が売った資産の表面保証をものすごい長い期間つけられてしまったことがあると聞いたことがあります。ひどい話だと表面保証を20年ぐらいで提案されたことがあるとか。こういうところも法務周りで重要ですよね。

角田:投資契約でも出資を受ける側が投資家に対して表面保証することもあるし、M&Aの買収対象会社にもしなくてはいけないのですが、表面保証に違反すると大変なことになります。買う側は会社の中身を精査するわけで、表面保証違反がないかを精査する。精査した上で表面保証違反があれば売り手に責任請求をします。表面保証を飲めるのか飲めないのか、売った後に検証されたときに耐えうるのかどうかきちんと考えて保証支給するかをしっかり考えなくてはならないです。そうしないと取り返しのつかないリスクになってしまいます。

※表面保証…M&A取引において株式譲渡契約の当事者の一方が、他方の当事者に対し、契約目的物などの内容に関連して、一定時点における一定の事項が真実かつ正確であることを表明し、その内容を保証するもの

「無くなったものはほぼ出てこない」

庄子:法務回りのところでステージによってリソースを変えていけば良いと仰っていましたが、成長している企業だと、契約書って基本的に増えていきますが、契約書の管理ってどこにどんな契約書があるのかってところがどうしても可視化できないみたいなところがありますよね。結局、急にこの取引の契約書どこにあるの?って聞かれたらみんなで必死になって棚を探すみたいな。こういう会社が多いんじゃないかなと思っていて、最後にこの契約の管理についてお伺いしたいです。

角田:まず、お伝えしたいのは「無くなったものはほぼ出てこない」ってことです。後戻りできない。なので、無くなる前にきちんとその体制を作るっていうのを必ずやっておいたほうがいいですね。無くなってから後悔しても手遅れです。契約書が無くなってしまったら当然、内容がわからなくなるので契約違反をしてしまうかもしれません。せっかく有利な条件を勝ち取ってるにも関わらず、それを証明する手段がない、取引先に対して権利行使する手段がないというのは、みすみすビジネスチャンスを逃すことになり兼ねません。

 なるべく最初に体制を作っておいて、それが当然のような管理部門の文化というか、そういうオペレーションを人数が少ないうちに引いておけば、そこから規模が大きくなっても、皆がそういうものだと思って守ってくれるはずです。営業も契約を結んだらしっかり管理部門に預けようと守ってくれます。オペレーションを後から変えるのは大変なので、なるべく早い段階から体制を作っておくのが大事です。

まとめ

前編では「契約管理」を主とした法務周りの内容についての対談を紹介してきました。
コアビジネスの契約書の重要性や、無くなったものは出てこないということ。契約書の管理体制構築が大事だということが良くわかりました。

法務周りに課題を持っている企業は是非、参考にしてみてください。

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共催セミナー協力企業のご紹介

急成長中の落とし穴! IPO成功の鍵 契約管理×反社チェック ~上場企業×急成長中企業の役員対談~

今回のセミナー「急成長中の落とし穴!IPO成功の鍵 契約管理×反社チェック~上場企業×急成長企業の役員対談~」にて共催させていただきました(株)LegalForceから登壇者と取り扱いサービスをご紹介いたします。

登壇者紹介

(株)LegalForce代表取締役CEO角田望氏
株式会社LegalForce
代表取締役社長 角田 望(つのだのぞむ)氏

2010年京都大学法学部卒業、同年、旧司法試験合格、2012年弁護士登録。2013年森・濱田松本法律事務所入所、M&Aや企業間紛争解決に従事。2017年独立、法律事務所ZeLo・外国法共同事業開設及び株式会社LegalForceを設立し、現職。

AI契約管理システム「LegalForceキャビネ」

  LegalForceキャビネ(リーガルフォースキャビネ) | AI契約管理システム LegalForceキャビネ(リーガルフォースキャビネ)は、締結後の適切な契約管理をサポートする「AI契約管理システム」です。締結済みの契約書を放り込むだけで、あらゆる契約書をすばやくデータ化し、契約管理の手間を軽減。余裕のあるリスク管理を可能にします。 https://legalforce-cloud.com/cabinet


佐々木 雄輝
佐々木 雄輝
2022年にソーシャルワイヤー株式会社に入社。 反社チェックサービス『RISK EYES』のマーケティング施策の企画立案を担当。
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反社チェックは有事にならなければ後回しにされがちな業務ですが、会社の生命線ともなり得る重要な業務です。手遅れになる前に、負担が少ない方法で業務フローに組み込んではいかがでしょうか?
 

 自社の上場準備において反社チェックへの取り組みに課題を感じ、アナログ・デジタル両面で反社チェックのソリューションを提供する弊社が、反社対策の基礎から実際の対応策・事例までを幅広く解説します。

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