レピュテーションリスクの種類とは?リスクを下げる対策も解説
レピュテーションリスクは、企業活動を行う上で見過ごすことのできないものです。
この記事では、レピュテーションリスクの種類を解説し、リスクを下げるための対策についても紹介します。
【参考】より深く知るための『オススメ』コラム
チェックリストでわかる!反社チェックの体制・運用点検リスト
目次[非表示]
- 1.レピュテーションリスクとは
- 1.1.レピュテーションリスクの意味
- 1.2.レピュテーションリスクが注視される背景
- 1.3.オペレーショナルリスク、ブランドとの違い
- 2.レピュテーションリスクの種類と原因
- 3.レピュテーションリスクによって生じる損失
- 3.1.収益の低下
- 3.2.対応コストによる損失
- 3.3.企業イメージの悪化
- 3.4.離職・採用難による損失
- 4.レピュテーションリスクを下げる5種類の対策
- 5.レピュテーションリスクの低下に有効な反社チェック(コンプライアンスチェック)
- 5.1.反社チェックとは
- 5.2.反社チェックがレピュテーションリスク低下に有効な理由
- 6.まとめ
▶とりあえずダウンロード!【無料で反社チェック体制・運用を総点検】
レピュテーションリスクとは
近年注視されるようになったレピュテーションリスクですが、そもそもレピュテーションリスクとは何なのか、その意味を解説します。
また、レピュテーションリスクが注視されるようになった背景についても紹介します。
レピュテーションリスクの意味
レピュテーションリスクは、マイナスな評判や世評により、企業やブランドの評価が下がってしまうリスクを意味する言葉です。
現代は、インターネット・SNSの評判や口コミを見て商品やサービスが信頼できるかどうか判断したり、購入するかどうかを決定したりするのが一般的であるため、レピュテーションリスクが高まれば、企業の業績の悪化にも繋がってしまいます。
関連記事:レピュテーションリスクの意味とは?リスクの種類と原因、回避する方法も解説
レピュテーションリスクが注視される背景
レピュテーションリスクが注視されるようになった背景として、企業を評価する基準の変化が挙げられます。
かつては企業の価値は売上高や利益など、財務指標で測られており、レピュテーションリスクは企業価値を左右するような要素ではありませんでした。
しかし近年、経済が成熟化したことで企業を評価する基準が多様化し、定性的な要素=「目に見えない数値化しづらい要素」も評価基準にされるようになったため、企業側はレピュテーションリスクを意識することが必要になりました。
また、情報社会が進展したことも、レピュテーションリスクが注視されるようになった大きな理由の1つです。
テレビや新聞などのマスメディアに加え、インターネット・SNSの発達により、企業のイメージがビジネスにも直結するようになりました。
メディアやインターネットを通じて、イメージづくりや情報の拡散を行い、ブランドを確立していくことができるというメリットがある反面、不祥事や悪評などが一気に拡散するリスクや、事実とは異なる情報が拡散し企業の評判が下がるなどのリスクも抱えるようになりました。
さらに、SNSの発展によって個人による発言が容易にできるようになり、消費者によるネガティブな投稿や、従業員による書き込みなどにも注意が必要になりました。
オペレーショナルリスク、ブランドとの違い
レピュテーションリスクと似た言葉に、「オペレーショナルリスク」と「ブランド」があります。
概念が似ているため混同されやすい用語ですが、少し違った意味を持っています。
オペレーショナルリスクは、通常の業務を遂行する上で発生する恐れがあるリスク全般のことを指します。
市場リスクなどが含まれ、レピュテーションリスクもオペレーショナルリスクの1つです。
ブランドは、企業側が競合他社や競合品との差別化を図ることを目的として演出する、商品・サービスにつけられる付加価値のことです。
レピュテーションリスクは消費者側から派生するものに対し、ブランドは企業側から発生するものです。
関連記事:レピュテーションリスクの使い方と例文を紹介 顕在化する原因や事例についても解説
レピュテーションリスクの種類と原因
経済産業省が公表している「先進企業から学ぶ事業リスクマネジメント」によると、レピュテーションリスクは、技術・製品要因リスク、市場リスク、信用リスク、情報システムリスクに次いで5番目に重要なリスクとされています。
レピュテーションリスクの種類と原因について、解説します。
レピュテーションリスクの7つの種類
まず、企業のレピュテーションリスクは7種類に分けられるとされています。
順番に解説します。
製品・サービス
1つ目は「製品・サービス」に関するレピュテーションです。
「経済的な価値や品質の高い製品・サービスを提供している企業である」という消費者の信頼を揺るがすリスクで、商品の破損や、接客態度が悪いこと、広告と実際の商品の差による評判の低下などが含まれます。
革新
2つ目は「革新」に関するレピュテーションです。
「新しい製品・サービスを他社に先駆けて市場に投入する革新的な企業である」という消費者の信頼を揺るがすリスクで、商品のデザインやサービスの遅れを指摘するような口コミが生まれたり、売上が減少したりするリスクになります。
最新の知識やスキルを習得するための投資を惜しまず、商品の開発において他社に後れを取らないことが大切です。
職場
3つ目は「職場」に関するレピュテーションです。
「最高の従業員が働いていて、企業は従業員を適切に配置・処遇をしている」という消費者などの信頼を揺るがすリスクで、パワハラやサービス残業などにより、企業のレピュテーションが低下するリスクです。
職場のレピュテーションが低下すると、離職率の高まりや、従業員の質が悪くなってしまうことにも繋がるため、しっかりとした労務管理を行うことが重要になります。
ガバナンス
4つ目は「ガバナンス」に関するレピュテーションです。
「オープン、誠実、公正な姿勢でビジネスを行う企業である」という消費者などの信頼を揺るがすリスクです。
ガバナンスとは、統治・統制・管理などを意味する言葉で、企業のガバナンスは経営の健全化を図ることが目的です。
広告・法令違反や詐欺的な営業などはガバナンスのレピュテーションを低下させるため、営業方法や営業担当への過剰なノルマなどに注意が必要です。
関連記事:コンプライアンスとガバナンスとは?意味の違いと企業が行うべき取り組みを解説
市民
5つ目は「市民」に関するレピュテーションです。
「地域社会と環境に配慮した良き企業市民である」という消費者などの信頼を揺るがすリスクで、環境に悪い製品を使っていないか、地域貢献ができているかなどが評価の基準になる項目です。
利益の追求だけでなく、一市民としての行動に責任を持つことが求められます。
リーダーシップ
6つ目は「リーダーシップ」に関するレピュテーションです。
「将来に対する明確なビジョンを持ち、適切に組織された企業である」という消費者などの信頼を揺るがすリスクで、経営方針が頻繁に変わっていたり、経営者による発言が時代錯誤だったりすると悪影響を及ぼします。
競合の状況や自社の事業内容と市場の様子を把握し、経営者がしっかりと経営の軸を持ち、会社のあるべき姿を明確にすることが大切です。
パフォーマンス
7つ目は「パフォーマンス」に関するレピュテーションです。
「成長性・収益性の高い企業である」という消費者などの信頼を揺るがすリスクで、赤字決算や新製品の売り上げが悪いといった報道がされると、レピュテーションは悪化します。
経営が安定していることを、決算書などを通じて示すことや、資金調達や組織改革など将来に向けた取り組みも大切です。
関連記事:レピュテーションリスクを回避する方法とは?リスクが顕在化した際の対処法も紹介
レピュテーションの低下につながる3つの原因
レピュテーションの低下に繋がる原因について、3つ解説します。
企業の法令違反
レピュテーションが低下する原因の1つ目は、企業自体の法令違反など、コンプライアンスを遵守できていないことです。
不正会計や粉飾決算、過労死問題など、企業が守るべき法令の違反が発覚すれば、評判が悪くなるのは当然のことです。
事件や事故などをきっかけに発覚することが多く、健全な企業活動を行うためには、監査のポジションなどを設けることが重要です。
社員の不祥事
社員の不祥事によるレピュテーションの低下も近年頻発している原因です。
正社員に限らず、アルバイトやパート社員、派遣社員による問題も、企業側の責任が問われます。
社員の不祥事は情報の流出などの事故的なものから、パワハラやセクハラなども含まれます。
また、近年大きく問題になったSNSにおける不適切な動画の投稿なども、企業のレピュテーションを低下させる原因になります。
根拠のない風評被害
SNSやインターネットが発達したことによる弊害でもある、風評被害によるレピュテーションの低下も原因の1つです。
製品やサービスなどに関して企業側に原因があり評判が低下する場合であれば改善に取り組むことができますが、デマや根拠のない誹謗中傷などによりレピュテーションが低下するケースがあります。
関連記事:企業イメージをアップさせるコンプライアンス遵守を解説
レピュテーションリスクによって生じる損失
レピュテーションリスクによって企業側に生じる損失は大きいものになります。
主な損失を4つ解説します。
収益の低下
レピュテーションが低下すると、商品やサービスの購入が減少したり、顧客離れの原因になったりすることで、収益が低下することがあります。
短期的な損失と思われがちですが、レピュテーションリスクによって倒産に陥った事例もあるため注意が必要です。
対応コストによる損失
レピュテーションリスクの収拾には、時間と費用という2つの対応コストが発生します。
事実確認と原因の究明、事態の収拾のためには時間がかかり、さらに信頼を回復するためには長期的な企業努力も必要になります。
また、損害賠償や弁護士費用などが掛かるケースもあり、費用面においても損失が発生するでしょう。
企業イメージの悪化
レピュテーションリスクは企業イメージの悪化と直結します。
イメージが悪化すれば信頼を失うだけでなく、顧客離れや株主離れにも繋がりかねません。
企業イメージの悪化は、長期的に影響を与えるため、早急な対応をする必要があります。
離職・採用難による損失
レピュテーションの低下や、レピュテーションリスクが露見し業績や将来性が下がることが原因で、従業員の離職や、新規の採用が難しくなる可能性があります。
関連記事:レピュテーションリスクとなりうる事例や回避方法を解説
レピュテーションリスクを下げる5種類の対策
レピュテーションリスクは企業活動を行う上で、できるだけ低下させる必要があります。
レピュテーションリスクを下げる対策を5つ解説します。
積極的な情報発信
積極的に情報発信を行うことで、レピュテーションリスクを軽減できます。
消費者が自由に発言を行う場所がある現代において、自社の考えや情報の開示を積極的に行うことで、消費者側が企業の情報を信用し、誤解を解消することに繋がります。
従業員教育
従業員がレピュテーションリスクについての知識がないことや意識の低さが原因で、不祥事が起こってしまうことが少なくありません。
社内規定や業務マニュアルなどをしっかり整備し、定期的に従業員に対して教育を行うことが重要です。
企業・人物調査
社内でチェック体制を強化しておくことも、レピュテーションリスクを低減させることに繋がります。
人材採用を行う際や、不審な既存の従業員に対して人物調査を行うこと、取引を行う企業の調査を事前に行うことが重要です。
バックグラウンドチェックによる調査や、反社チェックなどが有効です。
関連記事:反社の見落としゼロへ! 既存顧客への定期的な反社チェックが必要な3つの理由
ネット情報の管理
ネットの情報が、レピュテーションの低下に直結する時代です。
最近では、ネットの悪評や誹謗中傷などの情報を監視するサービスを提供する企業も登場しています。
ネガティブな書き込みなどがあった際は削除依頼を行うことや、根拠のないデマの場合は法的措置をとることも有効です。
監視体制の強化
社内での教育をしっかりと行っていても、内部の圧力によって不正の見逃しや、発見が遅れる可能性があります。
監視体制を強化することで、不正行為やコンプライアンス違反を防止し、早期発見することに効果があります。
また、内部監査だけでなく、専門機関など第三者による監視を活用することで、より有効な対策になるでしょう。
関連記事:レピュテーションリスクの原因を作らないための対策とは?顕在化したときの対処法も解説
レピュテーションリスクの低下に有効な反社チェック(コンプライアンスチェック)
レピュテーションリスクを低下させるためには、前述のとおり人物・企業の調査も大切になります。
そこで有効なのが反社チェックです。
反社チェックについて詳しく解説します。
反社チェックとは
反社チェックとは、相手が反社会的勢力ではないか、反社会的勢力と関わりがないかどうかを確認する調査のことです。
調査する対象は取引先や自社の従業員、株主など、自社と関わる全ての人物・企業が対象になります。
関連記事:反社チェックを行うべき対象とは?チェックが必要な理由と実施方法を解説
反社チェックがレピュテーションリスク低下に有効な理由
企業が反社会的勢力と関わることは重大なコンプライアンス違反となり、マスコミの報道などで世間に公表されてしまうと、消費者や取引先などの関係者からの信用は失墜します。
反社会的勢力は一見普通の人物や企業に見えるため、気づかぬうちに関わりを持ってしまうことも少なくありません。
反社チェックを行うことで、レピュテーションリスクを減らすことが大切になります。
関連記事:反社会的勢力に対応するためのガイドライン 反社チェックの基準とは?
まとめ
レピュテーションリスクは7つの種類がありますが、どのリスクも企業活動を行っていればすぐそばに原因があるものです。
レピュテーションを低下させるため、従業員の教育や監視体制の強化などの取り組みを進めることが重要です。
関連記事:レピュテーションリスクは定量化できるのか?リスクの測定方法も解説
関連記事:反社チェックに関するルールはある?チェックのタイミングや社内の対応手順も解説