海外企業や外国人への反社チェックは必要?国際取引を安全に行う方法
日本国内の反社会的勢力やその関係者、反社性を帯びた企業や個人などを見分けるために契約書への暴排条項の記載や反社チェックを進めていく企業も多くなりました。
企業リスクへの意識が高まっている中で海外企業や外国人への反社チェックはどうでしょうか?
グローバルに事業を展開している企業は、「海外反社チェック」も積極的に行ってほしいところ。
今回はそんな海外反社チェックの必要性や具体的なやり方などを解説していきます。
【参考】より深く知るための『オススメ』コラム
👉企業を守る反社チェックとは 知っておくべき概要と具体的なやり方
【初心者必見】反社チェックのやり方・業務フローまとめ
目次[非表示]
- 1.海外反社をチェックする必要性とは
- 1.1.「海外反社」の定義とは
- 1.2.海外反社チェックの必要性
- 2.海外反社チェックの具体的なやり方とは
- 2.1.外部データベースの活用
- 2.1.1.1.アメリカ 財務省外国資産管理室(OFAC)
- 2.1.2.2.金融庁 コールド・コーリングリスト
- 2.1.3.3.財務省 経済制裁措置及び対象者リスト
- 2.1.4.4.経済産業省 外国ユーザーリスト
- 2.2.公知情報検索によるチェック
- 3.証券会社から見る海外反社チェック
- 4.まとめ
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海外反社をチェックする必要性とは
海外取引において、マネー・ローンダリング※(以後マネロン)やテロ組織への資金供与対策として、その関係者をビジネスから排除することが要請されています。
もし、違反してしまった場合は厳格な制裁が科される恐れがあります。
※マネー・ローンダリング:犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関等による収益の発見や検挙を逃れようとする行為。
「海外反社」の定義とは
「海外反社」を狭い意味で捉えるのであれば制裁が科される恐れがあるマネロンやテロ組織への資金供与の関係企業及び関係者を指します。
この関係企業や関係者は各国政府機関による「制裁リスト」等にリストアップされています。
ただ、そうはいっても国内における反社会的勢力や反社性を帯びた企業や個人の海外版という広い認識を持つことが最大限の企業リスク回避に繋がります。
海外反社チェックの必要性
M&Aや業務提携、第三者割当増資など、国内外問わず海外企業が関わってくることが増えてきました。
海外企業の場合でも国内企業と同じように取引リスクのある企業や個人が取引先として関わっていないかチェックするのはリスク管理上大事になってきます。
また、2001年のアメリカ同時多発テロ以降のグローバルスタンダードの捉え方として、自社の取引先についてテロリストや重要犯罪者、マネロン行為への関与があり、各国の制裁リストで公表されている企業や個人に該当しないかを中心にスクリーニングが必要だとしています。
関連記事:海外取引先への契約書に暴力団排除条項を英語で盛り込むには 海外反社チェックも解説
海外反社チェックの具体的なやり方とは
国内の反社チェックについては新聞やGoogle検索で得られる「公知情報」を元に判断することが多い中、海外反社チェックはどうやっていけばいいのでしょうか?
外部データベースの活用
各国政府機関が公表している「制裁リスト」などを利用することが一般的です。
これらのリストは原則、誰でも入手することができます。
ただ、リストを常に最新版にしておくことや、リストアップされている企業や個人の数が膨大になり管理が煩雑になってしまいます。
外部の専門会社への依頼か、反社チェックツールを利用することで正確性や効率性を担保することができます。
弊社の海外反社チェックでも外部データベースを利用しており、常に最新版を検索することができるようになっています。
以下のリストをスクリーニングできるようにしております。
1.アメリカ 財務省外国資産管理室(OFAC)
外交政策や安全保障上の目的から、アメリカが指定した国・地域や特定の団体や個人について、取引禁止や資産凍結などの措置を講じています。
この措置はOFAC規制と呼ばれています。
アメリカ人やアメリカの金融機関を含む法人のほか、アメリカ国内に所在する外国人・外国法人に適用され、主に、アメリカで決済される米ドルでの建取引が規制を受けます。
しかし、アメリカ国外で受け付けた外国為替取引であっても「制裁対象者」に関与する取引を行った場合、海外の銀行から取引を制限されるなど、その後の取引に支障が出る場合があります。
OFACでは3つの制裁リストでを検索することができます。
- SDN:米国大統領が安全保障を脅かすものと指定した国、法人、自然人リスト
- SSI:大統領行政命令13662号執行用リスト
- FDN:海外制裁逃避者リスト
アメリカの「制裁リスト」ということで、各国政府機関が公表している「制裁リスト」の大部分を網羅されています。
2.金融庁 コールド・コーリングリスト
コールド・コーリングとは、投資家に対し証券会社や投資運用会社などを装い、メールや電話などの直接対面しない方法を使用して、証券投資を勧誘する行為のことです。
詐欺的な証券投資勧誘に当たりますので、反社性を帯びているといえます。
全世界的にコールド・コーリングについて注意喚起を行っており、注意が必要です。
3.財務省 経済制裁措置及び対象者リスト
日本として経済制裁措置を行っている団体や個人の「制裁リスト」です。
4.経済産業省 外国ユーザーリスト
輸出者に対して、大量破壊兵器等の開発等の懸念が払しょくされない外国や地域所在団体の情報をまとめたリストです。
輸出する貨物等のユーザーが本リストに掲載されている場合には当該貨物が大量墓兵器等に開発等でも使われないことが明白な場合以外、輸出許可申請が必要になります。
公知情報検索によるチェック
国内の反社チェックと同じように「新聞記事検索」や「インターネット検索」が有効です。
言語の壁があり国内で検索するのは難しいので、海外も調査できる調査会社に依頼するのが1番確実です。
証券会社から見る海外反社チェック
海外拠点があるソーシャルワイヤーでは、上記にあげた外部データベースを検索しています。
しかしながら、証券会社によって、「この外部データベースが適切なのか?」の考え方が異なります。
証券会社Aによると、アメリカの財務省外国資産管理室(OFAC)より公開されている制裁リストは「米国以外の外国企業についても、一定以上の網羅性がある」という前提のもと、OFACの制裁リスト検索をお勧めされました。
一方、証券会社Bによると、海外に企業、取引先、子会社がある場合、会社がおかれている各国の制裁リストを確認することが望ましいとのことです。
しかし、すべての国が制裁リストを公開しているわけでもないので、検索できない部分は調査会社に依頼をして確認することも視野に入れるべきです。
もちろん、OFACの制裁リストである程度の範囲はカバーできていると証券会社B社からも認識されていますが、上場審査水準としてはまだまだ「弱い」とご指摘を受けたことがあります。
自社で『外部データソースの検索』から始めるのか、『調査会社に依頼』するのかを決めるためには、リスク発生時の影響度によっても異なります。
証券会社や監査法人と相談し、必要な海外反社チェック方法を検討してください。
関連記事:IPO準備企業にはなぜ監査法人が必要?必要な理由と選び方について解説
まとめ
ここまで海外反社チェックについて解説してきました。
最低限の取り組みとして、「制裁リスト」への該当がないかを確認し、取引先としてふさわしいかを調査するために、公知情報検索によるチェックも別途行うことで国際取引を安全に行うことができます。
これかもグローバル化が進んでいく中で海外企業や外国人との取引は増えていきます。
事前に反社チェックし、リスク回避できる仕組みを作っておくことが大事なので、国内だけなく海外取引についても検討してみてはどうでしょうか?
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