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雇用保険料とは?計算方法や覚えておくべきポイントを解説

事業者は、一定の条件を満たす従業員を雇用保険に加入させる義務があります。
加入者は雇用保険料を支払う必要があり、事業者は毎月給与などから雇用保険料の計算をする必要があります。

この記事では、雇用保険料の計算方法や、覚えておくべきポイントについて解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.雇用保険料とは
    1. 1.1.雇用保険の対象者
  2. 2.雇用保険料の計算方法
    1. 2.1.賃金総額の対象になる項目
    2. 2.2.賃金総額の対象外になる項目
    3. 2.3.端数が出た場合
  3. 3.業種によって異なる雇用保険料率とは
    1. 3.1.雇用保険料率に違いがある理由
      1. 3.1.1.農林水産業、清酒製造業の事業の保険料が高い理由
      2. 3.1.2.建設事業の保険料が高い理由
  4. 4.雇用保険料について覚えておくべきポイント
    1. 4.1.賞与からも雇用保険料を控除する
    2. 4.2.65歳以上の従業員も加入させる
    3. 4.3.雇用保険料を抑える方法
  5. 5.雇用保険の対象か否かに関わらず必要な反社チェック
    1. 5.1.反社チェックを行うべき従業員とは
    2. 5.2.反社チェックを効率化できる反社チェックツール
  6. 6.まとめ

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雇用保険料とは

雇用保険料とは

そもそも雇用保険とは、企業に雇用されている人が加入する社会保険の1つで、「失業や介護・育児などで働けなくなった人」や「新しい職に就こうとしている人」に対して給付金を支払う公的な強制保険制度です。

雇用保険料とは、雇用保険の掛け金のことで、事業者と従業員の双方が支払いを負担します。
負担の割合は折半ではなく、事業者側が多く支払う仕組みになっており、保険料は労働基準監督署へ納めます。

雇用保険の対象者

事業者は規模や事業内容に関わらず、従業員を1人でも雇い入れた時点で、雇用保険の適用事業となります。

また、適用事業で働く従業員は以下の条件を満たしている場合、雇用保険に加入(被保険者となる)ことが義務付けられています。

  • 1週間の所定労働時間が30時間以上
  • 31日以上継続して雇用見込みがある

参考:厚生労働省「雇用保険制度」

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雇用保険料の計算方法

雇用保険料の計算方法

雇用保険料は、毎月の賃金総額に雇用保険料率をかけて計算されます。

雇用保険料=賃金総額×雇用保険料率

賃金総額は、従業員に支払った社会保険料や税金などを控除した金額ですが、計算時に対象となる項目と対象外の項目があります。

賃金総額の対象になる項目

賃金総額の対象になるのは以下の項目です。

  • 基本給、賞与
  • 通勤手当(非課税分を含む)、定期券・回数券
  • 扶養手当、子ども手当、家族手当
  • 超過勤務手当、深夜手当、宿直・日直手当
  • 配置転換・初任給などの調整手当
  • 技能手当、特殊作業手当、教育手当
  • 住宅手当、地域手当

など

賃金総額の対象外になる項目

賃金総額の対象外になるのは以下の項目です。

  • 役員報酬
  • 出張旅費、宿泊費
  • 結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金、年功慰労金、勤続褒賞金、退職金
  • 工具手当、寝具手当
  • 傷病手当金
  • 休業補償費
  • 解雇予告手当
  • 会社が全額負担する生命保険の掛け金
  • 財産形成貯蓄などのため事業主が負担する奨励金など
  • 持家推奨金
  • 住宅の貸与を受ける利益(福利厚生施設として認められるもの)

参考:厚生労働省「雇用保険料の対象となる賃金」

所得税の計算の際には控除の対象とならない「通勤手当」が、雇用保険料の計算の際は対象になるため注意が必要です。

また、厚生年金保険料や健康保険料は標準報酬月額を基に計算しているため、1年間の保険料に変動はありません。
しかし、雇用保険料の場合、残業手当などによって賃金総額が変動するため、毎月計算が必要となります。

端数が出た場合

雇用保険料の被保険者負担を計算した際、1円以下の端数が出た場合は、「50銭以下の場合は切り捨て、50銭1厘以上の場合は切り上げ」が原則となっています。

ただし、労使間で「すべて切り捨て」など慣習的な端数処理に関する特約がある場合、従来通りの処理を行うことも認められています。

例えば、従業員の賃金総額が200,333円だとします。
一般の事業だと仮定すると、従業員負担分の雇用保険料は1,201.998円です。
1円以下の端数は998銭で50銭を超えるため、給与から天引きする金額は1,202円となります。

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業種によって異なる雇用保険料率とは

業種によって異なる雇用保険料率とは

雇用保険料を計算する際に使用する雇用保険料率は、業種によって以下の3種類に分かれています。

  • 一般の事業(農林水産、清酒製造、建設以外)
  • 農林水産、清酒製造の事業
  • 建設の事業

雇用保険料率は、失業保険の受給者数や積立金の残高に合わせて毎年見直しが行われており、変更がある場合には毎年4月1日から施行されます。

2024年4月1日から2025年3月31日までの雇用保険料は以下を参考にしてください。

参考:厚生労働省「令和6年度の雇用保険料率について」

雇用保険料率に違いがある理由

雇用保険料率は上記の3つの業種で分類されており、それぞれ保険料率が異なります。

一般の事業が一番安く、建設事業が一番高く設定されています。
その理由について解説します。

農林水産業、清酒製造業の事業の保険料が高い理由

農林水産業や清酒製造業は、季節によって事業規模が縮小するため、就業状態が不安定になり、失業保険を受給する可能性が高いとされています。
それにより雇用保険料率が一般事業よりも高く設定されています。

ただし例外として、農林水産業の中でも季節的な事業規模の縮小や休業がないとされる以下の事業は、厚生労働省の指定で一般の事業と同じ扱いとなります。

  • 園芸サービスの事業
  • 牛馬の育成、酪農、養鶏または養豚の事業
  • 内水面養殖の事業

建設事業の保険料が高い理由

建設事業は、個人事業主などと建築物ごとに一定期間の雇用契約を結ぶケースが多いです。
そのため、失業保険を受給する可能性が他の業種より高いと考えられていることから、雇用保険料率が一番高く設定されています。

また、もう1つの理由として、建設業界独自の助成金が多いことが挙げられます。
この助成金は雇用保険料からまかなわれており、一般の事業でもらえる金額に上乗せして支給される助成金が多いという特徴があります。

参考:厚生労働省「建設事業等に関する助成金」

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雇用保険料について覚えておくべきポイント

雇用保険料について覚えておくべきポイント

雇用保険料を含め、社会保険料に関する制度や手続きは、随時見直しが行われています。
変更があった際には注意し、最新の法令に適合するよう対応していく必要があります。

雇用保険料について覚えておくべきポイントを解説します。

賞与からも雇用保険料を控除する

雇用保険料を算出する際は、給与だけでなく賞与も控除する必要があります。
賞与に対する雇用保険料の計算方法は、給与の際の計算と同じです。

また、賞与に対する雇用保険料のうち事業者負担分は、年間の給与と賞与をまとめて計算するため、毎月個別の計算は不要です。

65歳以上の従業員も加入させる

65歳以上の従業員の場合も、それ以外の従業員と同じように雇用保険に加入させる必要があります。
新しく雇用する場合でも、既存の従業員が65歳以上になる場合でも、加入要件は他の従業員と同様で、保険料率にも変わりはありません。

また、2022年1月から「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が施行されました。
この制度により、65歳以上の場合、1週間の勤務時間は2つの事業所を合算して20時間以上であればよく、双方の事業所で31日以上の雇用見込みがあれば、雇用保険の加入対象となりました。

従業員がマルチジョブホルダー制度の利用を希望する場合、事業者は必要書類に記入し、その書類を従業員がハローワークに提出します。
雇用保険の加入対象となる場合は事業所に通知が来るので、通常通り雇用保険料の徴収、納付を行いましょう。

雇用保険料を抑える方法

雇用保険料は事業主負担があり、その割合は被保険者よりも大きいことが特徴です。
雇用保険料を抑えたい場合の方法として、雇用保険の加入要件を満たさない従業員を増やす方法があります。

例えば、パート社員を雇用する場合、1週間の所定労働時間を20時間未満にすれば、雇用保険の加入義務の対象外となります。
また、雇用契約を結ばずに業務委託などの形態で働いてもらうことで、雇用保険の加入義務が生じず、雇用保険料を抑えることができます。

ただし、これらの方法は雇用保険料を抑えるという点だけに着目しているため、優秀な人材の獲得やその他の費用、業務の生産性などから総合的な考慮が必要です。

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雇用保険の対象か否かに関わらず必要な反社チェック

雇用保険の対象か否かに関わらず必要な反社チェック

雇用保険には加入要件がありますが、対象かどうかに関わらず、従業員を雇用する際には必ず反社チェックを行う必要があります。

反社チェックは、チェック対象者が「反社会的勢力でないか」「反社会的勢力と関与がないか」を調べることで、従業員のほか、取引先や株主に対しても実施します。

反社チェックを行うと、過去の逮捕歴や不祥事、不正行為などの情報を得られるため、雇用すべきでない人物を事前に見極めることができます。

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反社チェックを行うべき従業員とは

反社チェックを行うべき従業員は、雇用するすべての従業員です。
正社員だけでなく、パート・アルバイト社員や契約社員に対しても実施する必要があります。

もしも反社チェックをせず、反社会的勢力に関連する人物を雇用してしまった場合、雇用形態に関わらず事業者の責任を問われ、行政処分や刑事罰の対象になるケースもあります。

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反社チェックを効率化できる反社チェックツール

反社チェックは、自社で行うか専門の調査機関に依頼して実施します。
自社で行う場合に推奨するのが反社チェックツールの導入です。

インターネットや新聞情報を検索して反社チェックを実施することもできますが、膨大な情報量の中からネガティブな情報を探し出すのは多くの時間と手間がかかります。

反社チェックツールは、人物名や企業名を入力して検索するだけで、ネガティブな情報だけを絞り込んで検索結果として閲覧することができます。
また、記事などの証跡の保存も簡易的に行えるツールが多く、反社チェック業務の大幅な効率化が可能になります。

人の手による作業量を減らすことで、人的ミスを減らし、チェックの精度も向上させることができるため、企業における反社チェックツールの導入は年々増加しています。

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まとめ

この記事では、雇用保険料について解説してきました。
事業者は1人でも従業員を雇い入れれば雇用保険の適用事業となり、要件を満たしている従業員を雇用保険に加入させる義務があります。

雇用保険料の計算の際には、賃金総額の対象となる項目とそうでない項目があるため、確認をするようにしましょう。

また、雇用保険の対象となるかどうかに関わらず、人材を雇用する際には必ず反社チェックを行いましょう。

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反社チェックツール「RISK EYES」のブログ編集部です。反社関連の情報だけでなく、与信やコンプライアンス全般、IPO準備などについても執筆しています。
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