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人事制度とは?3本柱とその役割、制度構築のフローを解説

人事制度は人材を管理、マネジメントするために、企業に必要不可欠な仕組みの1つです。
人事制度を整備することで、企業の成長や発展にもつながります。

この記事では、人事制度とは何なのか、3本柱や役割、人事制度を構築するフローについても解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.人事制度の3本柱とその他の領域
    1. 1.1.等級制度
      1. 1.1.1.職能資格制度
      2. 1.1.2.職務等級制度
      3. 1.1.3.役割等級制度
    2. 1.2.評価制度
      1. 1.2.1.能力評価
      2. 1.2.2.職務評価
      3. 1.2.3.役割評価
      4. 1.2.4.成果評価
    3. 1.3.報酬制度
      1. 1.3.1.基本給
      2. 1.3.2.賞与
      3. 1.3.3.手当
      4. 1.3.4.退職金
    4. 1.4.その他の領域
  2. 2.人事制度の目的と役割
    1. 2.1.人的資源を最大限に活かす目的
    2. 2.2.人材を育てる・やる気を引き出す役割
  3. 3.人事制度の見直し・構築のフロー
    1. 3.1.STEP1・経営理念の再確認
    2. 3.2.STEP2・現状の分析と把握
    3. 3.3.STEP3・制度の全体計画
    4. 3.4.STEP4・3本柱の設計
    5. 3.5.STEP5・シミュレーション
    6. 3.6.STEP6・運用開始
  4. 4.人事制度の設計・改革時の注意点
    1. 4.1.企業理念と連携する
    2. 4.2.安易に流行に乗らない
    3. 4.3.従業員の公平感と納得感を重視する
  5. 5.現代の人事制度の課題と解決策
    1. 5.1.多様化した働き方への対応
    2. 5.2.業務の個別化による評価の複雑化
    3. 5.3.成果主義型における人事制度の限界
  6. 6.まとめ

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人事制度の3本柱とその他の領域

人事制度の3本柱とその他の領域

人事制度とは、広義には従業員の「採用から退職まで」の労務管理を含む「処遇」に関する仕組み全般のことです。

そして人事制度は、「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3本柱から成り立っています。
それぞれについて詳しく解説します。

等級制度

等級制度は、能力や職務内容、役割などによって定められた「等級」に基づいて従業員を序列化する、人事制度の骨組みとなっている制度です。
イメージとしては、1等級が取締役、2等級が部長、3等級が課長、4等級が社員というように等級に基づいて、従業員の立ち位置や権限、給与を決定します。

何を基準に等級を決定するかは企業によって異なり、企業風土や組織デザインにも大きく影響します。
代表的な等級制度を3つ紹介します。

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職能資格制度

職能資格制度は、これまでの日本では一般的だった「年功序列」による評価ではなく、職務遂行能力に応じて人事管理を行う制度です。
職務遂行能力にランクを付け、それに従って従業員の賃金、昇格・昇進、能力開発などを決定します。

一般的にこのランク付けのことを、参与、主事、参事、主査などと呼びます。

職務等級制度

職務等級制度は、職務分析の結果から「職務記述書」を作成し、記述書に記載のある基準を基に、結果を点数化して評価基準とする制度です。

職務等級制度は評価基準が全社で一律のため、昇格の基準が曖昧ですが、職務ごとに明確な定義をしているため、簡潔な評価を行うことができます。

役割等級制度

役割等級制度は、経営戦略などを基にして「仕事の基本的な役割」を調査し、「役割の価値」を明確化します。
そこから従業員は自身が目標とする役割を決定し、さらに個人の「成果責任」(チャレンジ目標)を加えたものを点数化し評価基準とする制度です。

役割等級制度は、以前からある職能資格制度や職務等級制度が構造的に抱える問題点を改善するため、近年導入が進んでいます。

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評価制度

評価制度は、その名の通り従業員の成果や行動を評価するため仕組みを定めた制度です。
何を評価するかという評価項目と、どう評価するのかという評価基準を明確化することで、従業員の行動を導きます。

評価の結果は等級や報酬などに反映され、等級ごとに評価の基準も変化します。代表的な評価制度を紹介します。

能力評価

能力評価は、職能資格制度に基づいた人事考課の「能力評価」のことです。
職能資格制度による評価は、「能力評価」「成績評価」「情意評価」の3種類がありますが、その中でも重点的にみるのが能力評価です。

定性的な評価であるため、曖昧になりやすいのが特徴です。

職務評価

職務評価は、職務分析を行い作成する「職務記述書」を基に、従業員が担っている職務について、その内容や作業条件、責任などについて相対的に評価をするものです。

能力が高くても、一定の職務に就いていなければ等級や報酬は低くなります。

役割評価

役割評価は、従業員それぞれの役割を評価するものです。
役職ごとにおける会社への貢献度、つまり「成果責任」について評価が行われることが一般的です。

成果評価

成果評価は、「従業員一人ひとりが成果をあげる責任がある」という考えを基に、その成果責任を評価するものです。
成果評価における「成果」は、業績や経営課題にどれだけ貢献したかという会社への貢献度を指します。

「目標管理シート」を利用して、昇給額や賞与支給額などの報酬の仕組みに反映されます。

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報酬制度

報酬制度は、給与や賞与などの報酬の仕組みのことです。
給与は、等級ごとに一定の下限と上限が定められており、評価によってその範囲から金額が決定することが一般的です。

福利厚生や退職金なども報酬制度の一部として考えられます。
報酬制度の代表的な要素について解説します。

基本給

基本給は、毎月支給される固定の給与のことで、「勤続年数」「年齢」「学歴」など属人的な部分から決定する「属人給」と、仕事内容や業績、能力や成果によって決定する「仕事給」の2つから構成されます。

賞与

賞与は、ボーナスや一時金とも呼ばれ、労働基準法では特に規定のない項目です。
つまり、賞与を支払うかどうか、支払う場合はどういった頻度で、いつ支払うかも企業の自由となっています。

日本では年に2~3回、月例給与とは別に「夏季賞与」「冬季賞与」「決算賞与」などの形で、会社の業績に応じて支払われるのが一般的です。

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手当

手当は、月例給与の中で基本給とは別に支払われる項目で、主に以下のようなものがあります。

  • 等級手当
  • 役職手当
  • 特殊勤務手当
  • 家族手当
  • 住宅手当
  • 単身手当
  • 地域手当
  • 通勤手当
  • 精皆勤手当

支給基準を満たす従業員に対して、基本給にプラスして支払われます。

ただし近年では、等級や役職に応じて基本給として支払うべきだという考えや、配偶者や扶養家族に対して支払われる家族手当は女性の社会進出を阻む原因になるという考えが広がり、見直しを行う企業が増加しています。

退職金

退職金は、従業員の退職に際して支払われる報酬です。
終身雇用の仕組みが根強い日本では浸透している制度ですが、法律で定められているものではなく、退職金制度がないことは違法になりません。

働き方の多様化が進んでいることから、退職金制度を廃止する企業や、導入しない企業も増えています。

その他の領域

前述した3本柱以外にもさまざまな人事制度があります。
経営戦略に基づいて人材を効果的に活用できるよう管理する「人材管理制度」や、採用した従業員の「教育制度」、「労務管理」や「福利厚生」なども人事制度の領域です。

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人事制度の目的と役割

人事制度の目的と役割

人事制度は細かなルールを多数決定する必要があり、運用には手間がかかります。

しかし、人事制度は企業において重要な目的と役割があり、それぞれの企業において最適な仕組みを選択・構築することが必要です。
人事制度の目的と役割について解説します。

人的資源を最大限に活かす目的

人材制度の目的を簡潔にまとめると「人的資源を最大限に活かすこと」です。
人的資源とは、経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報のうちヒトを指します。

企業の目標やビジョンを実現するためには、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体の生産性を向上させることが必要不可欠です。
企業はさまざまな手法を駆使して人材管理を行いますが、その基盤になるとも言えるのが人事制度ということです。

人材を育てる・やる気を引き出す役割

人的資源を最大限に活かすために必要なのが、人材を育てて、やる気を引き出すことです。
等級制度によってキャリアが明確になれば、従業員はその目標に向かって努力する気持ちが生まれます。

評価制度によって、強みや改善点を発見すれば、その人材の成長につながり、行動が認められればモチベーションが高まります。
さらに、報酬制度によって自分の行動によって報酬が上がれば、自ら報酬がより得られるような取り組みを行う意思が強まります。

このように3本柱を中心に、人材の成長を促進し、やる気を引き出すことができれば、結果として組織全体の生産性が上がるというのが人事制度の役割です。

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人事制度の見直し・構築のフロー

人事制度の見直し・構築のフロー

人事制度を見直す際、または新たに構築する際のフローを順番に解説します。

STEP1・経営理念の再確認

人事制度は、経営理念に基づいて構築するため、まずは経営理念の再確認を行いましょう。
企業が従業員のことをどう考えているのかという人事ポリシーを明確化することが必要です。

人事ポリシーは人事制度を作るうえでの指針となり、その他の仕組みとの整合性を保つことや、社員にメッセージを伝える際にも重要な役割を担います。

STEP2・現状の分析と把握

人事制度を構築するうえで、現状を把握することが非常に重要です。
人件費や人員、個別の賃金水準など数値で表すことのできる定量分析と、数値で表すことのできない定性分析の2つの方法があります。

各部門や従業員へのヒアリングやアンケート、生産性や業績との相関などの情報を収集し、現状を分析、把握しましょう。

STEP3・制度の全体計画

現状を把握できたら、人事制度の全体計画として基本戦略を立てましょう。
どのような戦略で人材マネジメントを行っていくのかを検討し、各制度の方向性を決定します。

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STEP4・3本柱の設計

STEP3で決定した方向性に従って、人事制度の柱となる①等級制度、②評価制度、③報酬制度を策定します。
この3つは相互にリンクし、影響を与え合う関係にあるため、バランスを取りながら矛盾が生まれないように設計することが大切です。

STEP5・シミュレーション

制度を新しく構築した際、すぐに運用するのではなく、1度シミュレーションを行いましょう。
移行後の生産性や人件費などの変化も確認し、問題点や改善点があれば運用前に修正を行いましょう。

また、実際に規定として明文化した際に法的な問題がないかという点も、専門家を交えてチェックします。

STEP6・運用開始

シミュレーションを行い運用に問題がないと判断したら、運用を開始します。

運用前には必ず、従業員に対して制度の構築や変更の目的などを説明し、理解と協力を得る必要があります。
説明会を開くなど、十分な説明の機会を設けることを推奨します。

運用開始後もモニタリングを行い、制度の課題や従業員の反応を確認しましょう。
課題があれば、その都度改善しながら制度を浸透させることが大切です。

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人事制度の設計・改革時の注意点

人事制度の設計・改革時の注意点

人事制度の改革を行う場合、現状に何かしらの問題を抱えているケースがほとんどでしょう。
しかし、顕在化している問題点だけに目を向けて制度を設計しても、また別の問題が発生し、失敗してしまう恐れがあります。

人事制度を設計・改革する際の注意点を3つ解説します。

企業理念と連携する

人事制度はもともと、経営戦略や事業目的に最適な組織を作るためのものです。
「自社にとって最適な組織とはどういうものか」を考え、現状の問題と併せて組織デザインを設計することが大切です。

企業理念と、人事制度と、人材が一本に繋がっていることが重要です。

安易に流行に乗らない

人事制度の設計に失敗した事例として多いのが、「流行の人事制度を導入してみたが自社には合わなかった」というケースです。
もちろん、社会情勢に合わせて人事制度を変化させることは非常に重要です。

しかし、新しいトレンドや流行にはまだ見えていないリスクが存在し、安易に取り入れることは危険です。
人事制度は従業員の生活にも大きく影響するため、慎重な検討が必要です。

従業員の公平感と納得感を重視する

人事制度において、従業員が公平感と納得感を得られることは非常に重要なポイントです。
「評価の結果に納得いかない」「自分だけ昇格がないのは不公平だ」などの不満が組織に蔓延すると、組織の空気が悪くなり、結果的に生産性も低下してしまう悪循環が生まれます。

全ての従業員に公平な制度になっているか、全ての従業員が納得できるかということを意識しておきましょう。

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現代の人事制度の課題と解決策

現代の人事制度の課題と解決策

人事制度は、時代によって流行り廃りがあります。
例えば、年代別に分けると以下のような変遷があります。

1950年以降:戦後の国民生活をサポートするため、「年功型賃金」が大企業を中心に導入される
1970年以降:高度経済成長期に合わせて、「職能資格制度」が主流となる
1990年以降:バブルが崩壊し、「成果主義賃金」「目標管理制度」が導入される
2020年以降:IT化、働き方の多様化が進み「ジョブ型人事」が注目される

このように、時代に合わせて人事制度も変化を遂げてきました。
では、現代における人事制度の課題は何なのか、解決策とともに解説します。

多様化した働き方への対応

現代では、時短勤務や副業、リモートワークやフレックスタイムなど、働き方の多様化が進んでいます。
就業場所や就業スタイルが多様化すれば、それに合わせて人事制度も多様化させなければなりません。

解決策として、多様な働き方に対応できていないポイントを洗い出し、見直しと改定を行うことが挙げられます。

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業務の個別化による評価の複雑化

ジョブ型雇用の導入が進んでいるように、従業員それぞれが自身のスキルを磨き、能力を発揮するという、業務の個別化が進んでいます。
そのため、誰がどういった基準で評価をすればよいかということが非常に曖昧で、一律の基準では評価ができない状況になりつつあります。

解決策として、人事制度自体を個別化することが挙げられます。
業務や能力が個別化すると、評価する人や評価の指標によって、公平性が失われてしまいます。
個別化の度合いに合わせて人事制度も変化させる必要があります。

成果主義型における人事制度の限界

現在の日本では、多くの企業で「目標を設定し、その目標の達成を目指して働き、一定の時期に評価する」という成果主義型が導入されています。
この人事制度の仕組みは1990年代に欧米から日本へと渡ってきましたが、現在の欧米では成果主義型の人事制度は廃止する動きがみられています。

成果主義型の問題点として、個人主義によるチームワーク力の低下や、個性的な能力が尊重されないこと、ビジネス展開のスピードが低下することなどが挙げられます。
こういった点から、多くの企業が成果主義型以外の人事制度を導入するようになっているのです。

近年ではさまざまな人事制度も誕生しており、企業理念と相違のない範囲で、人事制度を見直すことが必要だと言えます。

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まとめ

この記事では、人事制度について解説してきました。人事制度は「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の3本柱から構築されており、企業ごとにさまざまなルールが設定されています。

社会情勢や時代の変化に合わせてさまざまな人事制度があり、現代に合った制度の見直しも必要となります。

しかし、トレンドや流行に安易に流されるのは危険です。
しっかりと自社の企業理念や経営戦略を確認し、人事制度を構築するようにしましょう。

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反社チェックツール「RISK EYES」のブログ編集部です。反社関連の情報だけでなく、与信やコンプライアンス全般、IPO準備などについても執筆しています。
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